短鎖脂肪酸は善玉菌の贈り物!

2022/03/10

 皆様は腸活されていますか? 善玉菌と食物繊維を摂れば良いのでしょう!?と思っておられる方は多いと思います。腸内に善玉菌が増えると健康になるという知識が、一般的ですよね。今日はそこのところを、少し深掘りしてみたいと思います。

 ヒトの腸内には、種類が数百種以上、菌数も100兆個以上に及ぶ腸内細菌が生息しています。重さにして1.5kgも居るのです。身体の中にどうしてそんなに細菌がいるのか不思議ですよね。実は腸内をはじめとする消化管は、口から、肛門までが1本の管になっていて、身体の外なのです。竹輪の筒の中は、竹輪の外側であるのと同じです。

 腸を全部広げるとテニスコート1面分の広さになり、その表面に、多種多様な細菌が群れを成して生息しています。その様子は顕微鏡で見ると、お花畑のように見えるため、腸内フローラと呼ばれるのです。腸内細菌はその宿主と共生関係で、一つの臓器に匹敵する働きと影響力を持っているのです。

 腸は、身体の中と外を腸上皮細胞と言う、たった1層の細胞で隔てています。食べ物から栄養や水分など、必要な栄養素を吸収しやすいように、また不要なものが排出しやすいように、薄く出来ているのです。吸収しやすいと言うことは、悪いものも入りやすいのです。食べ物に混じって、様々な細菌やウイルス、毒物も腸管を通ってゆくので、腸はそれらから身体を守る必要があります。

 そういう理由で、腸内には身体の70~80%の免疫システムが配置されています。この免疫システムに、腸内細菌が深く関わっています。腸内細菌とリンパ球が連携することで、何を取り込んで、何をブロックするのかが決まります。いつも免疫システムが働いている状態ではなくなるため、病的に続く慢性の腸内炎症を抑えてくれます。

 いつも腸内でリンパ球が戦う状態だと、常に炎症が起こっている状態となってしまいます。腸内細菌が正常に働いていない人では、免疫反応が過剰になりやすく、アレルギー疾患や、自己免疫疾患を発症しやすい状態になってしまうのです。

 そこで活躍するのが短鎖脂肪酸です。脂肪酸のうちで、炭素の数が6個以下のものが短鎖脂肪酸と呼ばれます。大腸で食物繊維やオリゴ糖などが、腸内細菌によって発酵すると生成される物質です。とても有用性が高い物質ですが、食べたり飲んだりして摂ることはできません。短鎖脂肪酸を作る善玉の腸内細菌が鍵になります。

 短鎖脂肪酸は、腸内を適度な酸性に保ち、善玉菌を応援すると共に、悪玉菌をやっつけることができます。特に酢酸には悪玉菌を退治する殺菌作用や、増殖を抑える静菌作用があることが、知られています。また酪酸は腸上皮細胞の最も重要なエネルギー源であり、抗炎症作用など優れた生理効果を発揮します。

 また、腸のぜん動運動を、活発にして排便をスムーズにすることで、便が腸内にとどまって消化物が腐敗することを防ぎます。短鎖脂肪酸は腸管内に電解質と水分を放出し、また腸粘液も分泌します。粘液で腸上皮を覆って保護することでバリア機能を高めます。粘液で便が通過しやすくなり、便の水分量を増やすことでも、便通改善に有用な働きをするのです。

 体内に吸収された、短鎖脂肪酸は、脂肪細胞へエネルギーが蓄えられるのを防ぎ、筋肉で消費されやすくする働きがあり、ダイエット効果もある物質です。また短鎖脂肪酸は、脳内伝達物質の生成を促します。セロトニンの80%が腸管で作られることが分かっています。最近では腸内細菌自体が、セロトニンを作ることも示唆されています。

 実験的に、腸内が無菌のマウスを作って調べると、セロトニンだけではなく、ノルアドレナリンや、BDNF(脳由来神経栄養因子)までが低下していることが分かっています。無菌マウスは、不安、多動、攻撃性などが、普通のマウスに比べて高まっており、ストレスホルモンの分泌も高濃度でした。

 食べ物が悪いと、腸内環境が悪くなり、不安やイライラ、攻撃性などが助長され、キレやすくなってしまうことは、ヒトの観察研究でも分かっています。アメリカの研究で、学生のカフェテリアのメニューを、ファーストフードやお菓子を無くして、野菜スティックや全粒粉穀物などに変えたところ、成績が上がり、非行や問題行動が著明に減少しました。

 腸脳相関と言って、腸と脳は密接につながっており、過敏性腸症候群や、自閉症、うつ、パーキンソン病やアルツハイマー型認知症などまで、腸内環境との関係があることが分かってきているのです。健全な精神を支えるためには、多様性のある、健全な腸内フローラが必要なのです。蒼野もこの分野には、すごく興味が湧きます。

 短鎖脂肪酸は3種類、お酢の主成分である酢酸、ブルーチーズのすっぱさや香りのもとで、保存料や着香剤としても使われるプロピオン酸、そしてバターの香りのもとになっている酪酸です。乳酸菌やビフィズス菌は酢酸を作ります。酪酸を作り出せるのは酪酸菌だけで、乳酸菌やビフィズス菌には作ることができません。

 最近では酪酸菌を摂取することで、酪酸が大腸のエネルギー源となり、炎症を抑えたり、腸の潰瘍を予防したりして、腸内環境を改善していくという、新たな腸活が注目されるようになってきています。乳酸菌やビフィズス菌が住みやすい環境を作ります。大腸が正常に機能していくためには酪酸は必要不可欠であることが分かってきたのです。

 腸内環境が悪ければ、せっかく短鎖脂肪酸が作られても、吸収されずに排出されてしまいます、逆にいえば、便中に短鎖脂肪酸が沢山排出されている人は、腸内環境が悪くなっていて、腸内細菌の多様性も失われ、全身の炎症反応も上がっています。短鎖脂肪酸は水分を引いてくるため、いつも下痢気味の人は要注意です。

 さて短鎖脂肪酸を増やすにはどうしたら良いのでしょうか? みなさんご存知のように発酵食品と、食物繊維が重要であるのは言うまでもありません。いわゆるプロバイオティクスとプレバイオティクスです。

 プロバイオティクスとしては、「酪酸菌そのもの」を豊富に含んだぬか漬けや、「乳酸菌やビフィズス菌」が取れる味噌やキムチ、納豆、ヨーグルトなど、量だけでなく多種類の発酵食品を取って、腸内細菌の多様性を増やすことが重要です。酪酸菌は摂りにくい面もあるので、医薬品のビオスリーやミヤBMなどを飲むのも良いかもしれませんね。

 プレバイオティクスとしては、1週間に30種類以上の野菜や果物、きのこなどを食べましょう。多様な食材を食べると、多様な腸内細菌が生育します。冷えたご飯などで増えるレジスタンススターチも、短鎖脂肪酸の材料となります。インド・パキスタンなどの乾燥した地域で採れる「グァー豆」から作られたグアーガム分解物は、最も酪酸を産生する比率が高いことが分かっており、次世代食物繊維と言われて注目されてきています。

 悪玉菌を増やさないように、その餌となる精製糖や脂質を減らすことや、消毒効果のあるアルコールを多飲するのは、腸内環境に悪い生活習慣です。必要のない抗生物質は、短期使用でも半年以上、腸内細菌を減らしてしまうことになるので、使わないことが重要です。

 蒼野は、今日まで酪酸菌の重要性を知らなかったので、早速グアーガム分解物のサプリを試してみることにしました。腸内細菌は面白いです。また新しいことが分かったらお伝えしますね!

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