サウナ!

2022/04/17

 今日は皆様大好き?サウナのお話を書きたいと思います。コロナ禍になって、少人数で楽しめるクローズドカルチャーの一つとして、今大人気ですよね。もちろん苦手な方もおられると思いますが、蒼野は疲れると、無性に入りたくなります。お風呂とは違った健康効果もある様なので、紹介したいと思います。

 サウナと言えばフィンランドですよね。サウナの歴史は2000年前に遡るそうです。白夜の国フィンランドで暮らすには、土地を耕すためにはまず樹木を切り倒して土地を整備することから始める必要がありました。寒い中での非常に激しい肉体労働です。その疲れを癒すために生活の知恵として生み出した「自然健康法」がサウナです。

 石を熱して,その焼け石で部屋を熱する熱気浴は、考古学的には石器時代から有ったのではないかと言われており、人類は古くからその気持ち良さに気づいていたものと思われます。同じような熱気浴は、ロシア、メキシコ、古代ローマ、オスマントルコ、韓国などでも確認されています。日本の瀬戸内沿岸でも、自然の洞窟の中で薪を燃やして熱してから、海水で濡らしたムシロを敷いて入浴する石風呂が伝えられています。

 フィンランドでは、重労働でサウナが必要で有ったこと + 森林で燃料となる薪が豊富に有ったことで、サウナ文化が発達しました。サウナ小屋の多くは湖のほとりに建てられていて、十分に暖まった後、湖に飛び込んだり、雪の中を転げ回ったりします。大自然の中で、凄く気持ち良さそうですよね!

 フィンランドには、510万人の人口に対して160万個のサウナがあり、少なくとも400万人が週に一度以上入っています。くつろぎと娯楽の場所でもあり、病気の療養や、熱で無菌に近く、温かいため、かつては出産にも使われていたそうです。

 それではサウナの健康効果について説明したいと思います。まずは文献から拾ってみると、高血圧、心臓病、呼吸器系疾患、脳卒中、感染症、認知症、アルツハイマー病などのリスクの軽減、筋骨格系疾患に関連した痛みや症状の改善、頭痛や皮膚疾患の症状の改善などに、効果があることが観察されています。結構凄いと思います。そんな薬ないですものね!

 フィンランドの2300人の観察研究では、週2~3回サウナに入る男性は、入らない男性に比べて、心血管死亡率が27%減少、週4~7回の場合、死亡リスクはさらに50%まで下がっていました。またアルツハイマーリスクは65%も減少していました。

 サウナの健康効果の基本は、全身の血流の改善にあります。入浴と違って、水圧がかからないサウナは、末梢の毛細血管に至るまで、血流が安静時の2倍近く亢進します。温熱で血管が拡張し、我々の細胞の一つ一つに、栄養を届けて、老廃物、疲労物質を捨ててくれるのです。

 全身の血流が促進されると、全ての細胞の代謝に必要な酸素と栄養が届き、細胞が元気になります。これは全ての病気の回復の基本なのです。蒼野は血圧が低くなる時があり、入浴後に湯船から出ると、くらーっとめまいがすることが有りますが、サウナではなりません。下肢の血管が、湯船の水圧で縮んでいたのが、外に出ると開くためだったのか、と今気づきました。

 精神的な疲労にも有効です。ストレスから不安や緊張のある状態になると、交感神経が優位となり、ドキドキします。全身がこわばり、硬くなった筋肉が血管を圧迫して、血圧が高くなります。温熱で、筋肉はほぐれて柔らかくなり、血管が拡張して血圧が下がります。サウナと冷水浴を繰り返すと、副交感神経が優位となるため、動悸も治ります。

 サウナにはリラックスすると同時に、適度な疲労感もあるので、非常に快眠効果が高いです。また胃腸の働きも活発になることから、食欲が増してたくさんの栄養が取れます。腸の血流が良くなり、栄養をしっかり吸収し、かつ老廃物の排出も改善し、お通じも良くなります。快眠、快食、快便は健康の秘訣ですよね!

 汗によるデトックス効果も高く、汗腺や皮脂腺もキレイになるため、加齢臭に悩む方などにも、絶大な効果があります。皮膚や皮下組織の代謝も上がり、美肌効果も期待できます。汗をかく機会の少ない現代生活では、とても貴重です。

 サウナと冷水浴の交代浴(変温浴)は、血管の反応を強く起こし、自律神経訓練に役立ちます。蒼野の外来でも、自律神経失調で、立ちくらみやめまい、ひどくなると失神してしまうような患者様には、自宅での変温浴をお勧めしています。シャワーの温度を交互に変えたり、湯船に浸かった後、足に冷水をかけるだけでも効果があるので、試してみてくださいね! 

 以前のブログ(2月10日)でも書きましたが、身体の細胞に熱を加えると、HSP(ヒート・ショック・プロティン)というタンパク質が生まれます。HSPは、さまざまなストレスによって損傷を受けた細胞のタンパク質を修復します。温めると、病気や怪我は治りやすくなるのです。逆に言えば、冷えは万病の元です。

 高温のサウナと冷水浴は、ホルミシス効果から、長寿遺伝子Sir2を活性化します。アンチエイジング効果があるのです。冷水は体の中の褐色脂肪を活性化し、脂肪を燃焼する効果が増加します。褐色細胞が増えると、体温が上がり、代謝量が増えるためダイエット効果も期待できます。

 健康効果が高いサウナですが、幾つか注意点があります。利用するのは体調がいい時にしましょう。飲酒後は入ってはいけません。入浴中に亡くなる人は日本で年間2万人もいるため、サウナでも注意が必要です。飲酒後に湯船で眠って溺れたり、心筋梗塞や狭心症といった心臓発作、西城秀樹さんのように脳梗塞などを起こす確率が上昇します。

 蒼野も先日、飲酒後にサウナで倒れ、額を切ったおじさまの縫合を行いました。飲酒で拡張した血管が、温熱でさらに広がり、汗と利尿で循環血漿量が低下するため、脳貧血発作を起こしやすくなるのです。大怪我をする可能性もありますので、十分注意が必要です。

 とにかく、こまめな水分の摂取が重要です。1回のサウナ入浴で約500mLの発汗があるため、汗で失った水分とミネラルをしっかりと補給することが必要です。何度も、しかも長時間入ると、思った以上に水分や塩分が失われます。我慢比べもやめましょうね! 冷水につかる場合は、心臓のためにも、いきなり飛び込んだりせずに、ゆっくり体を慣らしながら入る必要があります。

 蒼野が実感できるのは、なんと言っても『ととのう』と言われる気持ち良さです。しっかり体温を上げてから水風呂に浸かると、脳内ではエンドルフィンが放出されます。これはランナーズハイなどでも出てくる物質ですが、走らなくても、サウナで簡単に体験できるのです。サウナと冷水の組み合わせを2、3回繰り返すと、病みつきになるくらい気持ち良いですよね!

 いつかフィンランドを訪れて、自然の中のサウナに入ってみたい蒼野でした!

参考ページ:「社団法人日本サウナ協会」ホームページ

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