朝食は生活改善の第一歩!?

2024/01/23

 食事が健康に重要だということは、皆様ご承知の事と思います。しかし知ってはいても、なかなか今までの食事を改め、全て健康的な食事に変えるというのは難しいのではないでしょうか? 健康オタクの蒼野でも、時にはラーメンやジャンクな食べ物に惹かれて食べてしまいます。

 そこで比較的簡単に変える事ができる朝食のみを変えると、生活習慣病にどのように影響があるのかという論文を見かけたので、今日はそれを紹介したいと思います。

 食事が主な原因で起こる生活習慣病として、糖尿病は国民病の一つです。一般的な糖尿病食というのは、煩雑な料理の単位を管理する必要があり、徹底して続けるのは、かなり高いハードルがあります。しかもエネルギー比率でも、糖質約57%、脂質約25%、蛋白質18%程度に設定されていて、糖質の割合が多過ぎて、続けていると糖尿病が悪化する可能性がある食事です。

 最近の研究では、糖質制限食や、地中海食は、糖尿病予防やコントロールに有効な事が分かっていますし、高血圧も含めた生活習慣病には、DASH食も注目されています。認知症予防には、地中海食や日本食、地中海ー北欧食(MIND食)などの効果が報告されています。繰り返しになりますが、分かっていても、色々な理由で、これらを1日3食徹底して行うのは、絵に描いた餅であることが多いのです。

 それでは次善の策として行える方法は何でしょうか? 昼食は外食の人も多く、ちょっと変わったお弁当を作らなければ難しいです。夜は家庭料理であれば、ある程度コントロールできますが、会食や外食を楽しむ日が無いと、やはり楽しくはありません。そこで朝食だけを変えてみた、という実験が報告されました。

 朝食は、簡単に済ませたい人も多いので、少ない定番メニューをローテーションさせて食べている人が多いです。朝食だけを、提案されたメニューの中から選ぶことで糖尿病にどのような影響が出るのかを調べたのが、この実験になります。

 朝食の例を挙げると、糖質制限食では、ふすまパンでフレンチトーストとを作り、チーズとイチゴを乗せた朝食。脂質制限食では、普通のトーストにピーナッツバターを塗って、生りんごと一緒に食べる朝食、といった具合です。

 カナダとオーストラリアの大学の共同研究で、病歴1年以上で、HbA1c8.5%未満の、薬は多くても1種類のみを内服している2型糖尿病患者(20~79歳)121人を、2群に分けて12週間、同じカロリーの糖質制限食(60例)か、脂質制限食(61例)で朝食を食べてもらいました。もちろん昼食と夕食に制限はありません。活動量の差もありませんでした。

 12週間では、残念ながら両群の体重、腹囲、HbA1cなどに、統計的な有意差は出ませんでした。細かく見れば、HbA1cは糖質制限食が6.4~6.8%、脂質制限食が6.8~7.0%と、やはり糖質制限食の方が少し下がっていました。大きな違いが出たのは、両群の平均血糖値です。糖質制限食では、1日中血糖値の上昇が抑えられて、血糖スパイクが出にくくなっていました。

 興味深いことに、糖質制限食群では、制限のない昼食時のカロリーまで減っており、1日の摂取カロリーも減っています。仮説ではありますが、朝食に脂質制限食の、炭水化物の多い食事を摂ると、血糖スパイクが起き、昼食を低血糖の状態で迎えてしまうことから、お腹が空いていて、糖質を摂り過ぎてしまう可能性が指摘されています。

 血糖値が下がるスピードが早いと、食欲が増します。お米はパンに比べて腹持ちが良いと言いますが、細かい粉からできているパンは吸収スピードが速く、粒々を消化するお米に比べて、血糖が上がりやすいのです。食後に血糖を下げるためのインスリンもたくさん出ることから、血糖が急降下しやすくなります。

 これがいわゆる血糖スパイクなのですが、血糖値が下がるスピードが速くなるため、余計にお腹が空いて、食欲が刺激されるという訳です。実験では12週間でしたが、ずっと続けてゆけば、朝食を少し変えただけで、糖尿病のコントロールがかなり変わってくるという事がイメージできる結果です。

 この結果は、健康な我々も、ダイエットや生活習慣病予防に応用出来そうです。全員が一時流行った16時間断食までする必要は無いと思いますが、朝食の糖質量を制限するだけで、昼食の食欲もコントロールしやすくなります。朝食に菓子パンやトーストを選ばず、低糖質パンや、こんにゃくご飯、低糖質麺、具沢山の味噌汁や野菜スープを続ければ、長期間の間には大きな差が生まれそうです。

 食事は無理なく続けていけなければ、必ずリバウンドして、健康的なダイエットにはなりません。特に糖尿病と付き合ってゆく人にとっては、画期的な研究だと思います。血糖スパイクは、老化を進める大きな要素です。現代の生活習慣病の根っこには老化が潜んでいます。誰もが変えやすい朝食メニューから、糖質を少し減らしてみるというのは、かなり現実的な健康法だと思います。

 ちなみに、蒼野の朝はレモン緑茶や、レモン炭酸と、食物繊維のサプリ(PGXか発酵バガスファイバー)とプロバイオティックスサプリ(ミヤBMなど)を飲んで出かけます。そして職場でコンビニコーヒーに100%カカオチョコレートとシナモンを入れて毎日の朝食にしています。昼前までこれでお腹は減りませんし、お通じも快調ですよ! 試してみたい方は是非!!

参考文献: Postprandial glycaemic dips predict appetite and energy intake in healthy individuals. ;  Nature Metabolismvolume 3, 523–529 (2021)

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