老年期の健康!

2022/08/13

 今日も人生100年時代について考えてみたいと思います。健康寿命と平均寿命には、男性で9年、女性で12年の差があるという話はよく聞くと思います。それが具体的にどうなっているのかというのは、蒼野はイメージが出来ていませんでした。ここを深掘りしておくと、自分や家族が今後どうなって行くのかがわかり、準備も出来ると思ったのです。

 ジェロントロジー(Gerontology)という学問がある様です。「老人」を意味するギリシャ語のgeronと「学問・研究」の接尾辞-logyがつながった言葉です。加齢に伴う心身の変化を研究し、高齢社会における個人と社会の様々な課題を解決することを目的とした、AGING(加齢・高齢化)を科学する学問です。これから世界一の高齢国家になる日本にとっては必要不可欠の学問とも言えます。

 1900年台の最初に生まれ、欧米ではかなり盛んに研究されている学問で、現在はアメリカを中心に発展しています。アメリカでは約250の大学や研究機関でジェロントロジーの研究や教育が進められていますが、日本でジェロントロジーを総合的に体系的に学ぶことができるのは、まだ桜美林大学と東京大学だけなのです。

 大学の講座でジェロントロジーと打ち出している大学は、4割程度あるのですが、文学部の「高齢社会論」、看護学部の「老年看護学総論」、発達科学部の「身体機能加齢論」などの中の一項目として教えられているのみで、全体として理解できている人はまだまだ少ない様ですし、世間一般に広がってくるのはこれからだと思います。

 現時点(2020年)の我が国で65歳以上の割合は28.7%、4人に一人以上が高齢者です。女性だけで見ると既に30%を超えています。75歳以上の男女比は2:3です。2030年頃には、人口の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になります。

  しかし人生100年時代言われる現代では、80代、90代、100代の生活を具体的にイメージしておいて、出来ることなら若いうちから、心も体も、生活も準備しておくことは重要なことではないかと感じます。蒼野も漠然と、自分自身はピンピンころりを目指して、生活習慣を整え、脳機能を保ち、身体を鍛えてゆく、という事しか考えていませんでした。

 皆様も幸せな老後を送りたいですよね! そのためには具体的にサクセスフル・エイジングについてイメージしておく必要があります。どのように年を重ねていくことが理想なのか、幸せなのかを90代、100代の高齢期に至った時点まで考えてゆくことが重要なのです。

 もちろんこれは、趣味や生きがいなども大きく関わるため、人それぞれ違うところが大きいとは思います。しかしそのベースとなる、健康状態に関しては、加齢と共に変化してゆきやすいということを考えておかなければいけません。

 ピンピンころりは本当に理想のモデルで、本当に一握りの人だけが達成できるものと思います。今までの統計を参照に考えると、65歳からの約30年の健康状態には3つのステージが待ち構えている様です。これは日本の高齢者約6,000人を1987年から約30年以上にわたって追跡して、「加齢に伴う生活の自立度の変化」を調べたデータからわかります。

図表1 加齢に伴う自立度の変化パターン~全国高齢者パネル調査(JAHEAD)結果(n=5715)

 男性では3つのパターンが見られます。約2割(19.0%)の男性は70歳になる前に健康を損ねて死亡するか、重度の介助が必要となります。その原因の多くは生活習慣病です。しかし約1割(10.9%)の人は80歳、90歳まで元気なまま自立度を維持できています。そして大多数の約7割(70.1%)は75歳頃から徐々に自立度が落ちていきます。

 女性では、2つのパターンです。早期に自立度を下げてしまうのは、生活習慣病による約1割(12.1%)で、約9割(87.9%)の女性は男性の7割の方と同様に70代半ばから緩やかに自立度を下げていきます。女性は男性に比べて総じて骨や筋力が弱く、骨や筋力の衰えによる運動機能の低下が起きやすいことが、男性のように自立のまま過ごせる人が少ない理由の様です。 

 このことからなるべく自立に近い状態で年を重ねるには、男性は中年期からの生活習慣、飲酒や喫煙、メタボなどを遠ざけることが重要です。女性は足腰が弱らないように、貯筋、つまり筋トレなどの運動習慣を続けて、フレイルに陥らないことが重要であると言えます。

 統計を見ると、全員が死ぬまで自立のまま過ごせる訳ではないだろうと、蒼野も思います。人生何が起こるか分からないのは、自分が事故に遭って痛感するところでもあります。それを今から心配しても、ストレスが増えるだけで、良くはありません。ゆっくりと自立度が下がってゆくのに合わせて、生活を組み立ててゆく必要があります。

 ステージ1の段階では、できるだけ社会の中で活躍しましょう。ステージ2になって、暮らしの中で不便なことや問題が増えてゆきますが、家族や他人に面倒を見てもらわなくても良い部分を、できるだけ残してゆく工夫や努力が大切です。どんな状態になっても、自立して生活を組み立てられることは大きな幸せであり、目標となります。

 そして本格的な医療や介護を必要となるステージ3ですが、蒼野も高齢の患者様を診ていると、「最期まで住み慣れた地域や自宅の中で暮らし続けたい」と言われる方が多いです。しかし現状では病院で寝たきりになる方がとても多いのです。現在の在宅医療は家族も本当に大変ですが、今後、それが基本となり、もっと社会的に整備されてゆくと良いなあと思います。

 老年期は30年から40年という長い期間続いてゆくのです。老いの過程を受け入れながら、自分らしい暮らしの継続に取組むことを心がけてゆきましょう。医学やアンチエイジングの方法はこれからも発達し続けるはずですので、取り入れてゆきながら、自分に合うものを探し、自立期間をできるだけ長くしてゆくことを目標に、今の生活を整えてゆきましょうね!

 今日は一部しか紹介できていませんが、このジェロントロジーやサクセスフル・エイジングについて、自分の未来にもつながるため、もっと勉強したいな、と思った蒼野でした。 

参照書籍:  東大がつくった高齢社会の教科書   東京大学高齢社会総合研究機構

参照ページ: https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=65673?site=nli

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