昨日の感情のブログを書いた後、同じ事が起こっても、扁桃体が過敏に反応する人と、そうでもない人がいるなあと、夜中にふと目が覚めて思いました。きっとそれが今注目されているHSPなのだろうなあと思ったので、興味が湧いて調べてみることにしました。
HSPとはHighly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略で、心理学者のエレイン・アーロン博士によって提唱された言葉です、日本語では「繊細さん」とも呼ばれ、刺激や他人の感情に過敏に反応する人で、ストレス社会である今日では、ちょっと生きづらい思いを抱きやすい人と言われています。
生物学的にみても20~30%位が繊細な感性の持ち主だと言われています。これは猫や動物も一緒で、同じく20~30%が慎重な行動を行い、リスクを取らないタイプです。蒼野も飼っていた犬の性格を考えても納得できます。これは種の保存の為に、神様が作った性質なのですね。
HSPの人は、生存のために、群の中で必要であった人なのです。ちょっとした変化にも気付き、群れに危険を知らせる役割があったのだと思います。音や匂いにも敏感なので、敵が近くに居るのが分かったり、気圧を感じて天気が荒れるのが分かったり、食べ物が腐りかけているとか、毒が含まれているという事なんかも、その鋭敏な感覚で人よりも先に察知できた人だからです。
人間関係で言えば、空気が読めるので、群の中の人と人との関係を調整できたり、自分の意思が伝えられない赤ちゃんの泣き方だけで、して欲しい事が分かったりします。敏感であるが故に、物事の先の先まで考えて、悪い事にならない様、気にしながら暮らします。HSP本人にとっては、リスク管理能力が高い故に、まだ起こっていない、特に悪い事を、考えてしまいやすく、いつも心配し、ストレスに晒される事が多くなるのです。
この能力は、赤ちゃんを育てなければいけない女性に多く遺伝しています。良い面で見れば、情報が裏まで見えますし、完璧にやり遂げる事ができます。共感力も高く、リスク回避能力が高く、想像力も豊かです。悪い面で見ると、空気が読めすぎて、鈍感な他人がとても気になり、ストレスに感じます。ネガティブ思考に陥りやすく、扁桃体が興奮しやすいため、ストレスを余計に感じてしまいます。
扁桃体には顔の表情に反応する「顔反応性細胞」が多数存在しているため、扁桃体の感受性が鋭敏だと、人の顔色を一目見ただけで、その人の感情を推測する事ができます。それに反応して恐怖や不安、嫌悪感などが生まれるため、周りの人が全て怖くなったりしやすいのです。そして誰にも相談できず1人で抱え込み、メンタルや体調がダウンしてしまうのです。
蒼野はネットでHSP自己診断テスト(色々ありましたが)をやってみると、23個中12個以上当てはまったらHSPですというテストで、たったの2個でした。あまり意識していませんでしたが、れっきとした「鈍感さん」の様です。自分では繊細で、患者様のことも、人の気持ちもよく分かると思っていたので少しショックです。
一方、うちの奥様はHSP気質です。3人娘も感受性が豊かで、HSP気質が強い様子です。何かあるとすぐに「ごめん」と謝られます。ワンコの表情からどうして欲しいのかもすぐに察知します。音や光が強いのは嫌いです。蒼野が大好きなお出掛けや旅行も、人混みだと出たがりません。忙しくなったり、ちょっとしたトラブルがあると、とてもキツそうです。
蒼野自身は、何が悪いのか全く分からない事が多いのですが、時々配慮が足りないと怒られます。娘たちの感覚は妻と同じらしいので、蒼野は孤立無援に陥ります。夫婦はバランスと言いますが、蒼野が鈍感だからこそ、一緒にいて安らげる部分もあるのかもと、気楽に捉えてあまり深刻には受け止めていません(やっぱり鈍感で能天気です)。
昨日も書きましたが、コロナにしてもウクライナにしても、現代社会はHSPさんには生きづらい事が多くなっています。扁桃体の興奮が治りにくい、解決しないストレスが多くなっているからです。慢性のストレスで脳疲労やメンタル疾患を起こしやすい気質でもあるため、日常生活は特に気をつけて欲しいと思います。
対処法として、昨日書かなかったものとしては食事です。最近の研究で、脳内炎症でミクログリアから炎症性サイトカインが分泌されると、脳の過敏性が増し、うつ病につながるというものもあります1)。蒼野の頭痛外来の経験でも、炎症を起こしやすい小麦や砂糖、牛乳などの摂取が多い人は、片頭痛発作が多く、生活指導でやめてもらうと、頭痛日数がすぐに半減する人が多いです。
ストレスホルモンの影響で、甘いものや糖質(お菓子、ケーキ、フライドポテトなど)、アルコールなどの依存が起こりやすい体質です。血糖スパイクを作るような食材を控え、加工食品の摂取も控え、新鮮や野菜や果物、身体に良い脂質、豊富なタンパク質、発酵食品や食物繊維をメインに摂る食生活で、腸内フローラを整え、体内炎症を抑えてゆきましょう。
HSP気質の人やって欲しい習慣としては、昨日も書いたウォーキング、特に朝散歩です。自分で楽しいと思う距離を、早足で歩きましょう。季節や自然を感じたり、今度行ってみたい店を見つけたりするともっと良いです。
次はマインドフルネスです。今に集中し、今を生きましょう。過去を振り返っても変えることはできませんし、繰り返し思い出すと、脳に定着してしまいます。特に嫌な思い出は、一度だけ誰かに聞いてもらって忘れてしまいましょう。また未来の事を心配してもどうにもなりません。今できることをして備えるだけです。
慢性ストレスから抜け出すには、自分なりの気晴らしの方法をリストアップしておき、日頃からちょこちょこやって見る習慣をつけるのが効果的です。コーピングと呼ばれるこの方法は、自分が好きなことで良いのですが、アロマを焚いたり、お風呂に入ったり、歌を歌ったり、歩きに出かけたり、音楽を聞いたりというふうに、出来れば何十個か楽しいことをリストアップしておくと良いです。
そして今のストレスを漠然としたまま放置するのではなく、具体的に何からきているものなのかを再評価して確かめます。ストレスに合わせてコーピングリストから、ストレスが緩和できそうなものをやってみましょう。仕事や人間関係で発生するストレスの本質を掘り下げ、その原因になっているものが見つかれば、改善して扁桃体をトレーニングしてゆく事ができるのです。
HSPの人はある意味内向的な人が多いです。鈍感な人(蒼野??)はリスクを顧みず、未知なものに挑戦したり、無茶したりしやすいのですが、HSPの人は慎重で、外に向かうより、内面に向かう人が多くなります。そのため芸術家やアーティスト、科学者といった職業に向いています。
内面的であるということは、メンタル的にも、脳的にも様々な刺激によって、発達している人が多く、自制心が強く、感性も豊かです。これは蒼野が逆立ちしてもなかなか真似できそうにはありません。HSPの人は2~3割しかいない選ばれた人なのです。
ただ周りの人に影響を受けやすい為、誰から影響を受けるかは、慎重に選ぶ必要があります。また考え方と経験によって、外向的な才能に開花する人もいます。外向的で感受性豊かなHSPさんはオールマイティです。7~8割の好き勝手やっている鈍感な人の中で、生きづらく大変ではありますが、自分の性質を認めた上で、外向的になる方法を見つけて頂きたいなあ、と蒼野も思っています。
今日勉強して、家族への接し方をもう少し考えてみようと思った蒼野でした!
参考文献:
1)The Innate Immune Receptors TLR2/4 Mediate Repeated Social Defeat Stress-Induced Social Avoidance through Prefrontal Microglial Activation
doi:10.1016/j.neuron.2018.06.035
参考ページ: 12個以上当てはまったら“超過敏”。HSP自己診断テスト
https://www.gentosha.jp/article/16833/
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