こむら返り!

2022/05/17

 今日はこむら返りの話です。皆様も一度は経験した事があるのでは無いでしょうか? 蒼野は日曜日の朝、目が覚めて、ベッドの中で背伸びをした時に、久しぶりに左足が攣りました。素朴に「どうしてかな?」と思ったので、調べてみることにしました。

 この週末は、大阪に嫁いだ長女が帰ってきていたので、いつもの週末とは違う過ごし方になりました。金曜日が長女の誕生日だったこともあり、妻がチーズケーキを焼いたり、自分も職場近くの100年続く老舗の和菓子屋さんで、赤飯と柏餅、麩饅頭を買って帰ったりしました。

 蒼野は普段はロカボを心がけていて、ケトン体を主なエネルギーとして生きています。毎日ケトメーターでアセトンの数値をチェックしているのですが、週末の糖質過多で、いつもは20前後あるアセトン値が、1桁に低下していましたので、滅多に起こらないこむら返りへの影響を疑いました。

 もう一つは、土曜日に家族で近くの日帰り湯を訪れ、サウナに入ったことです。ドライサウナは5~7分を3回、塩サウナは20分を1回入りました。水分はミネラルウォーターで1L程摂りました。炭酸泉35分、水風呂を挟みながら、マッサージ湯や、登別温泉の湯などにもそれぞれ入り、計2時間半滞在しました。普段はサウナだけでこむら返りは起こりません。

 しかし入浴後の体重はいつもの体重より多いくらいでした。少し驚きましたが、よく考えると、おそらく日頃摂らない糖質で、グリコーゲンと水分が筋肉内に貯留したことによって、体重増加していたのだと思います。夜は久しぶりに赤ワインの炭酸割りを1杯だけ飲みました。ということで、いつもしないことを幾つか行った結果の、こむら返りでした。

 それではこれを科学的に推測してみましょう。こむら返りは異常な筋肉の収縮です。筋肉の過収縮を防ぐ腱紡錘というセンサーの働きが低下すると、筋肉を伸ばした際に、反射的に脊髄から縮むように命令が出て、筋肉の異常収縮が起こります。こむら返りは下腿の腓腹筋、ヒラメ筋が強く収縮してしまうために、痛みを感じる状態です。

 これには二つの原因があります。一つ目が神経の伝達と腱紡錘の働きを調整している、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラルバランスの乱れによるものです。これは多量の発汗、ミネラルの摂取不足、体内水分の増減などによって起こりやすくなります。

 もう一つが、局所血流の悪化です。下腿の血の巡りが悪くなると、ミネラルが筋肉や神経に届かなくなり、神経伝達や、筋収縮の異常につながります。脱水や冷え、動脈硬化などが関係します。蒼野の今回のケースでは、糖質過多による、体内水分量の乱れ+サウナの脱水、アルコールによる脱水の影響ではないかと思いました。

 急に足が攣る事は、出来れば避けたいですよね。まずは注意すべきタイミングからです。運動不足の人が急に運動して、筋疲労が溜まると攣りやすくなります。特に汗をかきやすい夏の運動は、要注意です。発汗によって、ミネラルが失われることに加え、血液がドロドロになって、血流が悪くなる事がダブルで起こるからです。

 防ぐには、喉が乾く前から、意識的にミネラルウォーターなどの補給を心がけましょう。発汗が多くなれば、経口補水液がベターです。暑い時期には食事も、素麺のみなどになり易く、栄養も偏りがちになります。ビタミン、ミネラル不足、特にビタミンB1とマグネシウムは不足しないよう心がけましょう。

 蒼野も夏のゴルフで、途中から両足のこむら返りが起こり、歩いては攣り、スイングしては攣りで往生した事があります。運動時にはいつも、こむら返りの特効薬である、芍薬甘草湯は持ち歩いているのですが、いつもはすぐ効くのに、頻発しだした後に飲んでも、無効でした。極度のミネラル不足だったと思います。

 逆に冬も、冷えて血の巡りが悪くなると起こり易くなります。寝ている時も、動かないことと、足が冷えることなどが誘因となり、夜中のこむら返りは起こり易くなると言われています。夏に下腿を出したまま、クーラーを使ったりしても起こりますので、対策を立てましょう。

 カフェインやアルコールなどは、利尿作用から脱水になり易くなります。またダイエットで糖質制限を始めると、グリコーゲンの低下と共に体内水分も失われますので、ダイエット初期にもこむら返りは起こりやすいと言われています。蒼野の場合のように、日頃ケトジェニックで過ごしている時に、急に血糖を摂りすぎても、体内水分が乱れるため、こむら返りにつながることがあるようです。

 糖尿病の初期にも、こむら返りは起き易くなります。これは病的で、毎日こむら返りが起こる人がいます。健常者では見られませんが、糖尿病患者では、4.5%に見られるそうです。週1回以上のこむら返りは、健常者で1.9%、糖尿病患者で11.5%で、明らかに有意差があります。

 糖尿病の合併症に、末梢神経の障害がありますが、高度の末梢神経障害の状態になると、かえってこむら返りは起こりにくくなります。軽症者の回復期に多いとの報告があります。骨格筋支配神経が、不安定な脱分極状態になりやすい時期に生じる症状です。

 他の誘因なく、こむら返りの頻度が、急に増えてきている人は、隠れ糖尿病の可能性は否定できませんので、きちんと診断してもらう方が良いように思います。糖を代謝するにはマグネシウムとビタミンB1が必要ですので、糖質過多によっても、ミネラルバランスは崩れる可能性があるのです。 

 逆に炭水化物を減らした時にも、こむら返りが増える事があります。ケトジェニックダイエットに移行する場面では、糖質より水分を含みにくい高脂肪・高たんぱく質食を続けるために、マグネシウムが排泄されやすくなります。ケトジェニックダイエットを行う時には、マグネシウムサプリは摂っておく方がベターです。不足すると便秘にもなり易くなります。

 ストレスでもマグネシウムは欠乏します。ストレスホルモンのコルチゾールが大量のマグネシウムを消費してしまうからです。寝不足や徹夜、疲れなどでも足は攣り易くなります。同時に目の周りがピクピクし易くなることも多いです。救急病院で働いている時には、蒼野もしばしば目の周りがピクピクしていたことを思い出しました。

  甲状腺の機能低下では、血流の悪化や筋力低下によってこむら返りが多くなります。また腎臓疾患、特に透析中はよく起こります。神経の命令が、圧迫によっておかしくなる椎間板ヘルニアや坐骨神経痛にも、こむら返りはよく合併します。下肢の静脈瘤でも血流が悪くなり原因となります。

 日頃から誰もが経験する症状ですが、続く時には他の病気が隠れていることがありますので、頭の片隅に残しておいてくださいね。対処法は皆さまご存知とは思いますが、下腿をしっかりストレッチしましょう。壁やタオルなどを使う、床でアキレス腱伸ばしをするなどです。

 芍薬甘草湯は便利です。蒼野も普通なら、飲めば数分で治り、続けて起こりにくくなります。常備しておくと安心です。薬局にも売っています。整形外科を受診すると、血流改善のためのビタミンEや筋弛緩剤(ダントリウムなど)などを処方される人もいるようです。

 日頃からミネラルが豊富な、海藻類、ナッツ、乳製品、大豆製品、果物などはしっかり摂り、脱水にならないよう、(体重×40mlー食事の水分量)の水分は確保しましょう。またこむら返りは加齢と共に増えやすい症状です。腱紡錘のセンサーは誰でも衰えるからです。

 筋肉量が減ることも関係します。動脈硬化を反映している可能性もありますので、気になる人は動脈硬化検査を一度受けてみるのも良いかもしれません。老化は足からやって来ます。毎日の歩行や、下肢の筋トレ、アキレス腱伸ばしなどのストレッチを習慣にしましょうね!

 長女も帰り、ようやくケトメーターの値も、20まで戻ってきた蒼野でした。

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