エストニア!

2022/07/14

 今日は未来の日本の医療にも参考になる、エストニアの医療事情、ICT事情について書いてみたいと思います。今後もますますICTの技術革新も進むことは間違いなく、それを積極的に取り入れることで、資源や時間の無駄が省け、より良い社会に変わって行ける可能性があると、蒼野も思いました。

 1991年にソ連崩壊の時に独立した、バルト三国の一つであるエストニアは、九州と同じくらいの国土に、人口132.6万人、日本で言えば奈良県や青森県くらいの人口の小国です。天然資源に乏しく、インターネット経済と大規模な技術革新が、国を支えてくれると考えた、平均年齢35歳の若い政府が、インターネットを基盤に国を組み立ててきました。

 情報セキュリティーの強化に注力し、グローバル化をテーマに国づくりを行った結果、欧州1位のセキュリティー国家に生まれ変わりました。世界最大のブロックチェーン企業、Guardtimeが生まれた国でもあり、2008年にはNATOのサイバーセキュリティー本部が設立されました。そして世界の先進国がIT化や強固な情報セキュリティーを参考にする国となっています。

 2007年には、総選挙でオンライン投票が可能となり、世界最速レベルのブロードバンド回線を持ち、オンラインで行う税申請は、5分ほどしかかかりません。ほとんどの公共サービスがオンラインで完結し、すべての個人の健康医療データはクラウドに保存されています。また起業率が非常に高いことでも知られています。ICTに国の未来を託した結果生まれた国なのです。

 医療分野についてもう少し詳しく見て行きましょう。2008年、「e-Health」の名のもと、世界に先駆けて医療データのデジタル化に成功しました。病院や医師によって書き込まれるデータの95%以上がデジタル化されていますが、ブロックチェーン技術によってセキュリティは担保されています。

 おかげですべての病院や大学、政府機関が、その医療データを参照にすることができます。日本のように、各病院でカルテが別々であれば、短期間に同じ検査が繰り返されたり、データが見れないことでの誤診が増えたり、何度もアレルギーのある薬が投与されたりもしないと考えられます。

 急性期病院から回復期リハビリ病院、慢性期病院へのシームレスな医療にとっても、現時点の日本では、情報提供書のみで引き継ぎが行われており、抜けてしまう情報は多いのです。特に病歴が長くなれば、それを共有するのは大変です。クラウド上で全て行えるようになることは、無用な医療リスクを避けるためにも必須であることはお分かりいただけると思います。

 このシステムは「e-Prescription(電子処方箋)」にも応用されます。医師はオンラインで処方箋を発行することができます。患者は薬局に行き、IDカード(マイナンバーカードのようなもの)を提示すれば、薬を受け取れるのです。同じ薬をもらう場合には、医師と連絡を取るだけで済み、病院に行く必要もありません。

 どこでどれだけの薬を貰っているか分かるため、薬の横流しなどの不正行為も防ぐことができます。蒼野も、薬を無くしたと言って何度も、向精神薬や睡眠剤を取りに来る患者を経験したことがあるのですが、現時点の日本では、違う医療機関を受診していたらその場で把握ができないのです。自分で使っていたら中毒にもなりますし、生活保護の人がタダで薬を手に入れて、売っているという話も聞いたことがあります。

 周りの国との連携も少しずつ進んでおり、2018年からは、フィンランドの電子処方箋がエストニアでも使用可能になるなど、拡大を見せています。現在エストニアでは99%の処方箋が、オンラインで発行されていて、患者、医師、薬局など全ての時間の短縮や労力の軽減につながっているのです。蒼野は羨ましくなってきました。

 また緊急時医療も最大限効率化されています。「e-Ambulance」といって交通事故や突然の疾患の発症の場合も、電話だけで30秒以内に正確な場所を特定して、救急車が出動します。病院に向かう間に救急車内で、その患者の過去および現在の医療データを参照にして、必要に応じた緊急の処置も講じることができるのです。

 これは非常に素晴らしいことですよね! 医療の質が劇的に上がる可能性があります。多剤服用のリスクも下がります。蒼野も救急で運ばれてきた患者様の内服薬が、手帳などで確認できない場合に、知らないで相互作用がある薬を出してしまった経験もあり、クラウド上ですぐに確認出来て、しかもシステムから警告が出れば、薬に関連する不必要な副作用や有害事象を回避できるのです。

 最近医療予約システムである、「National eBooking system」というサービスも開始されました。自分が病院で診察を受けたいときに、オンラインで診察の種類や地域、希望期間を指定して検索できます。エストニアにあるすべての病院からその専門医師の予約可能な時間を割り出して予約することができるため、各病院の予約窓口で予約する時と比べて、大幅な時間の短縮が期待されています。

 エストニアでは、各々の医療データが、生後すぐから亡くなる間際まで記録されています。名前が決まるよりも早く、マイナンバーが決まり、その人の医療データの記録が始まるということです。そしてそのデータは、あらゆる所で利用ができなければ、このシステムは成り立ちません。

 「あらゆる自分のデータを国がみることができる」ことについて、皆様はどう思われるでしょうか? 悪用の不安や、心配を口にされる方ももちろん居られると思います。個人情報の保護も声高に叫ばれる現代ではありますが、エストニアの国民はシステムの透明性と信頼性を見出したことで、このシステムが稼働しているようです。

 つまりエストニアでは、厳重なセキュリティー管理と、自分で自分のデータにいつでもアクセスできることで、誰がいつどこで自分のデータを閲覧したかチェックできるようになっているのです。また見られたく無いデータに関しては、個人がシステムから自分のデータの一部を分離できる権限も与えられています。

 この徹底的な透明性と、その透明性を担保するブロックチェーンなどの技術が、国民のサービスへの信頼となって、エストニアの医療を支えています。国民全体がこの大きな変化を受け入れたからこそ成り立っているとも言えるのです。受け入れてもらうために、国がe-Healthについて、正しく理解してもらう取り組みはずっと続けているということです。

 これは今後の医学の発達や、予防医学に対しても、利用できるビッグデータになってゆくものです。ここにAIを効率的に入れてゆくことで、さらに新たな様々な知見が集積してくると考えられます。我々にとっては、日本人のデータが重要ですので、蒼野はやはり将来の医療、日本人の健康長寿のためには、エストニアのような方向性が必要だと思います。

 日本の人口でこれらを一気に導入するのは、困難と混乱が予想されますが、まずは同じくらいの人口である県単位、もしくは都市で導入し、地域ごとのICT導入をおこなったのちに、全国展開してゆくことで、エストニアを参考にしてゆくことが可能ではないかと考えられます。

 蒼野もどんどん歳は取って行きますが、自分が慣れた古いやり方に固執することなく、みんなにとって良いもの、便利なものの導入には、積極的に関わってゆく気持ちを持ち続けたいなあという気持ちになりました!

 エストニアにはお寿司の店が、ピザやハンバーガーの店よりも多いそうです。エストニアに行ってみたくなった蒼野でした!

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