ニコチン依存症!

2022/04/21

 蒼野はこのブログを始めてから、ずっと引っかかっていて、何とかしたいな! と思っている事があります。100本目のブログ(2月5日)にも書いた、現代の依存症についてです。自分もそうですが、ヒトは、必ず、程度の差があっても、何かに依存して生きていると言う事です。

 これ自体は、自然な事でもあり、良い悪いは無いのですが、健康という視点から考えると、良い依存症と悪い依存症があるという事です。身体に悪い事で依存症になると、スローモーションの様に、徐々に身体に影響が出て、知らないうちに病気を発症し、健康長寿の達成は危うくなります。

 今日はその大元となる、依存症という状態について、もう一度考えてみたいと思います。厚生労働省のページを見ると、『依存症とはやめたくてもやめられない状態に陥ること』であり、『そのことによって本人や家族が苦痛を感じているのかどうか、生活で困りごとが生じているのかどうか』で治療の必要性の有無が論じられていました。

 蒼野は、自分も周囲も、差し当たり困っていなければ、その依存症は治療が必要ないのか?ということに、疑問を感じています。最近では、治すべきという風潮が強くなった、ニコチン依存症で考えてみましょう。これには社会的な価値観が大きく影響しています。

 蒼野が子供の頃(50年前??)には、成人男性の喫煙率は80%を超えていました(女性は約15%)。父親も当たり前に吸っていましたし、テレビや、映画などでも、俳優さんが、タバコを吸っていると、「カッコいいなあ! オトナになって吸ってみたいなあ」と思っていたものです。

 しかし、喫煙による、医学的デメリットや火災、公共マナーなどへの悪影響が一般的になるにつれて、社会的風潮が変化し、1998年頃からタバコのCMは自主規制が始まります。今はトーク番組で、タバコをふかすシーンはお目にかかりませんよね! 2010年には、喫煙率は男性で約32%、女性で約10%にまで下がっています。

 しかし、2014年のハリウッド映画のうち喫煙シーンのある作品が40%を占め、喫煙を始めた未成年のうち37%が映画をきっかけにタバコを吸い始めたという調査があります。日本のアニメでも、「ONE PIECE」「ルパン三世」「銀魂」「NANA-ナナ」、ジブリの「風立ちぬ」でも喫煙するキャラクターが多く見られます。さすがにディズニーは2015年から喫煙シーンは禁止しました。

 喫煙は、「カッコいい」「強い」「悪い」「揺るがない自分」「自立している」「大人」などのイメージが残っているため、表現者にとっては、必要不可欠なものかも知れません。しかしWHOは2016年に、タバコを吸うシーンがある映画やドラマについて、加盟各国に成人向けに指定するよう勧告しています。子供が面白い漫画が見れなくなるのも問題だとは思いますが…!

 蒼野自身は、試してはみたものの、咳き込むばかりで、カッコ良く吸えなかったことや、当時の彼女(今の奥さん)が、タバコで頭痛が起こるため、極度に嫌うことから、幸い習慣化しませんでした。自分が吸わないこともあって、脳卒中や、脳腫瘍の患者様にも、タバコの害をこれでもかと説明して、禁煙を勧めてきましたが、上手くいかないことが多かったと思います。

 依存症ってやはり脳の異常状態なのだと思います。ニコチンなどの依存物質を摂取すると、私たちの脳内ではドパミンという快楽物質が分泌されます。中枢神経が興奮することで、それが快感・よろこびにつながります。この感覚を、脳が報酬と認識すると、その報酬を求める回路が脳内にできあがります。

 ヒトは誰でも幸せになりたいと願っています。気持ちが良いことは沢山やりたいですよね。脳が報酬を得られる行動をするように、強く命令するのです。ニコチンを体に取り込む行動が習慣化されると、ドパミン分泌過剰の状態が繰り返されてゆきます。

 すると脳のドパミン感受性は、次第に低下し、以前のような強い快感や喜びが得られなくなるため、本数も増えていきます。そこまで来るとニコチンが無いと、イライラしたり、物足りなかったりと、普通の精神状態が保てなくなる悪循環に陥るのです。

 これは何の依存症でも共通するメカニズムです。脳が報酬を求めてエスカレートしているため、本人がやめたいと思ってもどうにもならない状態です。意志の弱さや性格の問題ではありません。条件さえそろえば、誰でも依存症になる可能性があると言うことなのです。

 トライしてもやめられない場合、ヒトは様々な言い訳、理由を用意します。「リラックスできる」「ほっとする」「ストレス解消」「長年の習慣だから今さら、やめることなどできないよ」「やめるくらいなら早死にしても良い」などと患者様に、沢山言われました。

 しかし実際にはやめれるヒトもいます。ニコチンには肉体的な依存は無い様なのです。やはり脳の問題です。日常からニコチンの報酬が無くなるのに耐えられない事が問題です。この状態を抜けるには3ヶ月くらいの時間が必要です。3週間目くらいが一番辛いと言われています。

 禁煙の自力での成功率は10%程度です。ニコチン依存症として、薬剤の補助や、禁煙環境を作れば、成功率は70~80%まで上昇します。これだけ社会的にも風当たりが強くなったニコチンでも、意志の力でやめれるヒトはとても少ないのです。

 依存症って本当に根が深いですよね! これは全ての依存症に共通するメカニズムです。覚醒剤や麻薬も一緒です。何度捕まっても、一度覚醒剤や麻薬で、強烈な脳の報酬を受け取ってしまえば、何かきっかけがあると、脳の命令には逆らえないヒトが多いのだと思います。

 以前のブログに書いたように、蒼野が日本人の健康長寿に大きく影響していると思う依存症は、アルコール、糖質(炭水化物、特に砂糖と小麦)、加工食品、デジタルツールです。もちろん程度がひどくなければ、これらを規制する社会的風潮も、身体に悪いと言う認識も、まだまだ浸透していません。

 本人や周囲が困る状態になってからでは、その依存症から抜けるのは本当に大変だと思います。資本主義社会では、依存しているものへの出費は、不況になっても惜しまない人が多いため、わざと依存を作るように情報操作しているように見えます。

 依存が起こる食べ物や飲み物などの物質や、ゲームやスマホなどの行為などは本当に魅力的です。蒼野も以前は毎日晩酌し、パンや麺、白米は大好物で沢山食べていました。流石にデジタルネイティブでは無いため、スマホ依存は無いと思うのですが、時間があると取り出して見ることは多いです。しかし色々勉強して、生活習慣を変えることで、危ない依存からは脱した様に思います。

 これらの依存は、人類の遺伝子には合わないものばかりです。選択肢がとても多くなっている現代で、遺伝子に合った依存にシフトすることが、健康長寿のために必要なことだなあと、改めて、つくづく思っています。

 それぞれの依存に関して、どうするのが良いのか、明日のブログでもう少し深堀して、提案してみよう、と思っている蒼野でした!

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