ヒートショックとヒートショックプロテイン

2022/02/10

 関東や北海道は大雪ですね。寒い日が続いています。皆様お身体は大丈夫でしょうか? 寒い日は暖かいお風呂が最高ですが、入浴中に亡くなる人は、年間14,000人と推測されています。原因の多くが、『ヒートショック』である可能性があると言われています。今日は『ヒートショック』関連の話題です。

 気温の変化によって血圧が上下し、体に負担がかかる現象をヒートショックといいます。血圧の乱高下に伴って、脳内出血や大動脈解離、心筋梗塞、脳梗塞などの病気が起こりやすくなります。湯船で気を失って溺水する事故も増えています。寒い時期に起こりやすいことから、11月から2月、特に寒い今の時期は注意が必要です。

 暖かいリビングから、暖房の無い脱衣所に入ると、血管が縮んで血圧が上がります。服を脱いで風呂場に入るとさらに上昇します。浴槽に入ると急に身体が温まるため、血管が開いて血圧が急下降しやすくなります。動脈硬化で、元々弱くなっている血管が破れたり、傷ついて詰まったりしやすくなるのです。

 寒いトイレなどでも、寒さで血圧が上がり、いきんだりするとさらに血圧が上がってプッツンと切れたりしやすい状況です。温度差が10℃以上ある場所は危険とされています。タイル張りのトイレや、浴室など、古い日本家屋や、露天風呂があるような温泉施設も要注意です。

 ヒートショックを起こしやすいのは、65歳以上の高齢者、高血圧や糖尿病などの動脈硬化の基盤がある人、肥満や睡眠時無呼吸症候群、不整脈のある人などです。一番風呂や、熱いお湯が好きだったりする人も要注意です。飲酒後に風呂に入るのはNGですよ! 入浴中の発汗に備えて、入浴前後の飲水も重要なポイントです。

 ヒートショックを防ぐためには、脱衣所や浴室、トイレなどは温めておくことが重要です。小さなヒーターを置いたり、風呂の蓋を開けて、湯気で室温を温めましょう。お風呂の温度が、41℃以上になると浴室での事故が増えると報告されているので、38~41℃に設定して入浴することが勧められています。家屋内の温度差を抑える、温度のバリアフリー化が叫ばれています。

 心臓疾患がある人は、半身浴がお勧めです。長く温まった後は、血管が拡張しているため、立ち上がった際に、脳貧血による立ちくらみを起こしやすくなります。意識を失って溺水したり、倒れて頭などを打たないように、ゆっくりと立ち上がり、少し座って休みましょう。脚に上がり水をかけるのも、昔からの健康法です。

 ところで、話はコロッと変わって、同じヒートショックでも、ヒートショックプロテインというタンパク質のことはご存知でしょうか? 蒼野は初めて聞いた時には、悪いものかな?というイメージがあったのですが、こちらは我々の身体の細胞の損傷を防いでくれる大切な物質です。

 熱めの風呂に浸かったり、温熱を当てるといった熱の刺激で誘導されることから、この名がつきました。ヒートショック・プロテイン(HSP)は、細胞内でタンパク質が合成されるときに、そのタンパク質が正しい構造になるよう誘導する物質です。

 何らかのストレスによってタンパク質が壊れると、HSPは壊れたタンパク質が、正しく修復されるように誘導します。修復できない程壊れているときは、速やかに分解されるように誘導するのです。HSPが十分に機能していれば、人は少々のストレスには負けずに、健康に生きられます。

 HSPはストレスによって増加するという特性があります。人類がストレスに打ち勝つための物質なのです。暑さ、寒さ、激しい運動、紫外線、物理的刺激、低酸素状態、精神的なストレスなどでも同様に増加します。しかし、最も心身に負担をかけずに済むストレスが、入浴による熱ストレスです。

 HSPは入浴によって体温が上昇することで増えます。舌下温で38度くらいを目指すのが目安となります。1回の入浴で1.2~1.5倍くらいに増え、平均的には入浴2日後をピークにその後はゆっくりと低下します。

 42℃で10分、41℃で15分、40℃で20分以上、湯船に浸かると、体温は38℃くらいに上がります。炭酸泉や、炭酸系の入浴剤を使えば、血管拡張作用があるので、もう少し短くても大丈夫です。前述のヒートショックのリスクを考えると、蒼野の感覚としては、この時期、40℃だとちょっとぬるいので、41℃15分くらいがお勧めです。

 最低でも週2回は、湯船でゆっくり温まる入浴を続けていれば、体温も上がってきますし、基礎代謝も向上しやすくなります。紫外線ストレスに強くなり、シミやシワができにくくなります。スポーツでの疲労予防効果や、パフォーマンスアップに繫がります。NK細胞の活性が上がり、免疫力もアップするのです。

 運動でHSPを増加させるには、ハアハアと息が上がるくらいの運動が必要です。ゆっくり歩く散歩では、HSPは増加しません。1日10分の運動ではHSPは増加せず、30分以上の運動を2週間続けると有意にHSPが増加します。面白いことにやり過ぎるとかえってHSPは減少するのです。

 トップアスリートであるボートこぎの選手の実験では、選手の腹筋のHSPはトレーニングにより、1週間後約2倍、2週間後約4.5倍、3週間後約5倍に増加し、4週間後には約4倍に増加していました。HSPはトレーニング2週間で最高の増加化率、3週間後に最大となり、4週間後には逆に減少し、2週間後より低下しました。

 このことから試合前のトレーニングは、やみくもに続けるのではなく、3週間前から行って、最後の仕上げに、しっかり入浴するのが良いようです。

 西洋でも東洋でも、世界中で温泉治療というのは昔から存在しています。湯治による怪我や病気の治療には、このHSPが深く関与しているようです。また、大腸菌からショウジョウバエ、ヒトに至るまで、ほとんどの生物にこのHSPが存在しています。HSPは生命を維持、保全するために欠かせないタンパク質であり、自然治癒力の一つの重要な要素でもあるのです。

 蒼野の外来に来られる方も、みんな忙しく、湯船に入っていないという人はかなりおられます。ストレス過多の現代ですので、ちゃんと脱衣所や浴室は温めた上で、ヒートショックを防ぎながら、湯船にゆっくり浸かって、ヒートショックプロテインを高めましょうね!

 毎晩スマホを持って湯船に入り、41℃で15分、少し汗が出るまで温まっている蒼野でした!

もし記事が良かったよ!と思われた方は蒼野健造公式ラインのボタンをポチッと押して、ご登録くださいね。ライン登録された方で希望される方の中で、月に1人程(まだ春までは忙しいので)オンライン面談での相談に乗りたいと思っております。