ファットアダプト 実践編

2022/01/29

 昨日書いたファットアダプトについて、書き足りないことを、書いておきたいと思います。身体が脂質をエネルギーとして、効率的に活用することができる、ファットアダプトの状態になることのメリットをもう一度おさらいしておきます。

1、筋肉の質が変わり、故障が減る

 筋肉の細胞である筋繊維も、常に新陳代謝で日々作り替えられ、2ヶ月ですっかり入れ替わります。その細胞膜は脂質で出来ており、細胞膜を通して、細胞はエネルギーと取り込んだり、細胞内外の情報をやりとりしています。毎日豊富に、体に良い脂質を摂取することで、細胞膜の機能が向上し、筋肉の弾力や柔軟性も向上するのです。結果として故障にもなりにくくなります。

2、病気から早期復帰出来る

 今までの常識では、病気や怪我からの回復期には、消化の良い粥やうどんなどが出されることが多いのですが、傷ついた臓器もタンパク質と細胞膜を作る脂質で出来ているのです。長友佑都選手が、外傷性気胸の手術後、1ヶ月で試合に復帰し、チームの誰よりも走ることができたのは、ファットアダプトのお陰だったと述べておられます。

3、精神的に安定する

 脳が糖質をエネルギーとしている状態では、食べ物による血糖の乱高下の影響を、直に影響を受けます。食後高血糖があると、インスリンの過剰分泌が起こり、誰しも大なり小なりの低血糖状態が訪れます、脳はエネルギー切れの状態となり、ぼんやりとして、集中できない状態となります。お昼ご飯の後、どうにもならない眠気に襲われるのはこのためです。ファットアダプトの状態になると、血糖値が安定し、脳の集中が途切れないだけでなく、メンタルも安定します。逆に糖質を摂りすぎると、切れやすくなるのです。

4、肌の状態が良くなる

 ファットアダプトの状態となると、肌の調子も良くなり、若返ります。肌の細胞レベルでの機能が良くなるためだと考えられます。血糖スパイクでできる、糖化最終産物(AGEs)ができにくくなるため、AGEsが起こす肌のコラーゲン劣化が起こりにくくなり、シワやシミの予防にもなるのです。

5、ダイエット効果がある

 ファットアダプトでは、糖質の摂取を減らすため、相対的に、タンパク質や脂質の摂取は増えます。すると消化管から脂質やタンパク質で分泌が増加する、コレシストキニンや、ニューロテンシンといった摂食抑制のホルモンが分泌されるため、過食が減ります。また血糖の乱高下が防げるため、食後高血糖後の低血糖を、脳がエネルギー不足と判断して、新たな食欲が湧いてくることを防いでくれるのです。

6、老化や病気の原因となる、酸化ストレスが避けられる

 この点が、蒼野が一番この食事法を採用したい理由となります。血糖スパイクは血管に酸化ストレスを与えて、動脈硬化を形成し、それ自体がサイレントキラーと呼ばれています。酸化ストレスの原因である活性酸素は、細胞内のミトコンドリアで作られます。ミトコンドリアの構成成分である脂質が良質なものに変われば、漏れ出てくる活性酸素が減ってくるのです。

 長友佑都選手によると、こういう変化が、1ヶ月ほどで自覚できるようになることが多いようです。長い目で見ると、健康長寿につながる食事の要素が揃っているように思います。それでは具体的にどんな食事なのか紹介しますね!

 基本ルールは、いかに食後高血糖を防いで、安定したエネルギー供給ができるように食べるか、ということになります。これには日常の活動強度と、個人個人のインスリン分泌能で決まります。

 人が生きてゆく上でのエネルギーとして、糖質と脂質は常に一緒に使われるのですが、活動強度によって、使われる割合が変化します。通常では、日常生活などの活動強度が低いときは、脂質が使われ、全力ダッシュや、高強度の筋トレなどでは糖質が余計に使われます。

 日常生活でうまく脂質が使えない、糖質過多の状態になっていると、余った糖質は中性脂肪に変えられて体脂肪として蓄積される上、持久力がなくなりスタミナ切れを起こしやすくなります。逆に糖質を減らして、脂質を増やすと、脂質がメインのエネルギーとして使われやすくなります。脳も筋肉も、脂質からできるケトン体を、エネルギーとして使いだすのです。

 糖質過多の基準は、食後血糖が140mg/dlを超えることです。140mg/dlを超えると、大量のインスリンが分泌され、太りやすくなる上、酸化ストレスで全身の血管が傷つきます。脂肪をエネルギーとして使いにくい状態となるのです。健康診断では、空腹時血糖しか測らないため、これが正常でも、血糖スパイクになっている人は、いくらでもいると言われています。

 1食当たりの糖質量が問題となります。一般的には1食当たり20~40gの糖質量が安全だと言われています。長友佑都選手の場合は、持続血糖モニタリングをすると40~60gまでなら、140mg/dlを超えることがなかったようです。自分が食べる食品に、どのくらいの糖質が入っているか考えるようにしましょう。

 ご存じのこととは思いますが、糖質量が多い食べ物は、主食です。ご飯、パン、麺類などです。精製してある白い食べ物は、血糖の上がりが早いです。もちろん和菓子も洋菓子も高糖質です。清涼飲料水は500mlで糖質は50g、ブドウ糖果糖液糖が入っている食品は避ける必要があります。

 調味料や味付けで、糖質が入ることも考えると、1食の主食の糖質量は20g程度が安全かと考えます。ご飯は、茶碗4割程度、食パン8枚切り1枚、蕎麦、うどんは1玉の4割まで、スパゲッティは1人前の3割までです。蒼野が考えるに、パンは物足りないし、麺は『1杯のかけそば』状態で、貧しく寂しい気持ちになると思うので、いっそおかずのみの方がストレスがないかと思います。

 ご飯に関しては、大麦やこんにゃく米を入れてカサ増しした低糖質ごはん、こんにゃく麺や豆腐麺、ふすまパンなどを使うのは良い工夫だと思います。調理法としては、血糖値が上がりにくくなる炒飯にしたり、2倍にかさが増して満足感が得られる雑炊などで食べるのもグッドです。

 食物繊維が多いものは、血糖値の上がりが遅くなるため、積極的に選びましょう。野菜、おかずと食べて、最後に糖質を食べるカーボラストも心がけましょう。果物はベリー類が低糖質です。ジュースにせず、丸のまま食べるようにしましょう。

 脂質は、オリーブオイルなどのオメガ9、青魚やエゴマ油、亜麻仁油などのオメガ3をできれば生の状態で、積極的に取りましょう。時間のたった揚げ物や、油菓子は避けて、新しい油で揚げた熱々のものを食べましょう。ショートニングやマーガリン、加工食品などのトランス脂肪酸は避けましょう。家族性高コレステロール血症でなければ、食べ物のコレステロールは気にする必要はありません。

 タンパク質は十二分に摂るべきです。運動していなければ体重×1.0g、運動で筋肉を増やしたければ、体重×1.6g、アスリートは体重×2gが必要です。肉と魚は、1日のうち、どちらも食べましょう。掌1枚分の100gで、15~20g程度のタンパク質が摂れます。特に魚は重要なので、刺身やカルパッチョ、難しいなら焼き魚で食べましょう。魚は缶詰の水煮を多用すると摂りやすいでしょう。

 野菜は1日350gが目標です。野菜を主食にすると、ファットアダプトは、ずっとやりやすくなります。具沢山味噌汁や鍋料理、スープなどは沢山食べれるので理想的です。生野菜もオリーブオイルなどをかけて1皿加えましょう。副菜は2品、たっぷり食べましょう。ナッツもうまく利用しましょう。

 デザートには、乳糖を抜くために、水切りにしたプレーンヨーグルトにベリーを加えて食べましょう。お酒は、アルコール量が増えると、ファットアダプトで大活躍する肝臓機能がダメージを受けます。飲んでも赤ワインでグラス1.5杯程度、週2~3日の休肝日を設けましょう。

 食は人生の大きな楽しみでもあり、我慢しているようでは続きません。ファットアダプトの食事は、和食からごはんと、調味料を減らして、地中海食の、良質の脂質摂取をプラスするような食事でしょうか? 楽しみながら、満足てできて、ダイエットにもなり、筋肉もついて、パフォーマンスが上がる、その上で現代病を遠ざける食事として、期待できる食事法だと思います。

 ということで、蒼野が目指す食事の方向として、現在蒼野も実践中です。できればこれから広げてゆきたいなと思っております。ファットアダプトの料理参考ページは下記の通りです。皆様もやってみて、変化があったら教えてくださいね!よろしくお願い申し上げます。

参考料理ページ ファットアダプト    https://cuore-fatadapt.com

参考書籍:  長友佑都のファットアダプト食事法 身体を劇的に変える28日間プログラム  

                            長友佑都       監修:山田 悟

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