マサイ族の秘密!

2022/05/10

 今日はマサイ族の秘密について書いてみたいと思います。極端な食生活と病気の関係が分かれば、今後の我々の食生活のヒントになると思うからです。調べてみると、とても興味深く、蒼野もいつかアフリカに行ってみたくなりました。

 マサイ族はケニア南部からタンザニア北部一帯の先住民族で、伝統的な遊牧生活を営み、文明化や定住化に抵抗を続けてきた民族です。そのため我々から見ると、びっくりするような習慣や能力を持っていることで有名なのです。

 マサイ族と聞いて、蒼野が思い浮かべるのは、1981年のアリナミンAのCMです。俳優の名高達郎さんが、マサイ族と一緒に、垂直ジャンプをする映像です。すみません、同世代じゃないとわからないと思います。「鍛えれば全身バネになる」というフレーズで、マサイ族はめっちゃ跳んでいます。興味のある方はネットで探してみて下さい!

 垂直ジャンプするのは、マサイ独特の踊りで、マサイは誰よりも高く跳ぶ者に敬意を払うそうです。女性からの人気も急上昇します。軽く70cmは跳ぶそうです。マサイ族は年中跳び続け、踊り続けています。

 次に思い出すのは、視力が異常に良いことです。マサイ族の視力は、平均で3.0~8.0程度とされており、中には視力表の2.0の記号が、30m離れたところから読み取れる、視力12.0を記録する人もいるそうです。我々からすると人間わざでは無いですよね。

 これはサバンナでいつも遠くを見て暮らしているからだそうで、家畜を見守ったり、猛獣を発見したりする必要性から得られた能力であるそうです。遠くを見る視力が常に鍛えられているのです。また暗視視力も優れており、少しの光でサバンナの暗闇の中でも周囲の状況が分かるそうです。

 しかし、都会に移り住んだマサイ族の視力は、平均1.0~1.2程度と我々と変わらなくなります。人の適応能力は、凄いということだと思います。人は環境によって、鍛えられれば、ウサギのように跳び、隼のように見る能力が備わるって、ちょっと勇気が湧いてきますよね。

 マサイ族が一番大切にしているものは牛です。牛は通貨の代わりでもあり、最も重要な財産です。賠償や結納、相続なども牛を受け渡して行います。牛を多く持つ男は、何人も妻を娶れます。持たないものは結婚も恋愛も難しいそうです。富める者がモテるのはどこの世界でも同じなのかもしれません。

 そしていよいよ食生活です。主たる食事は牛乳とヨーグルトです。放牧生活を送る中で、牛乳を瓢箪に入れていつもぶら下げています。長時間持ち歩く間に、牛乳は発酵してヨーグルトになります。1日に2~3L摂取するそうです。週に数回は牛の生き血を、牛乳に混ぜて鉄分を補うそうです。

 めっちゃ偏食です! 野菜や果物などの植物はほとんど摂らないそうです。牛は大切な財産なので、ほとんど食べることはありません。ヤギやヒツジは、お祝いや病気の療養の際に、稀に食べることはあるようです。こんな食生活では、必須ビタミン、特にビタミンCが摂れていないのではないかと思った方! 正解です。

 ヒトは体内でビタミンCを合成することが出来ません。それはマサイ族も一緒です。でもマサイ族には、ビタミンC不足で起こる壊血病は見られません。大航海時代、数ヶ月の航海で、塩漬けの保存食や乾物ばかり食べていた船員は、脱力や、体重減少、筋肉痛、関節痛などで倒れました。

 現代でも壊血病は、極端なダイエットや偏食、慢性アルコール中毒や、ヘビースモーカー、独居高齢者などで見られることはあります。厚生労働省による、ビタミンCの推奨量は1日100mgです。しかしマサイ族の食生活では、せいぜい1日30mg程度しか摂れていないのです。

 しかしマサイ族は元気です。信じられないくらい高く跳び、遠くが見え、平均身長も190cm近いのです。マサイ族21人を対象に調べた論文のデータによると、マサイ族の血清ビタミンC濃度は0.16mg/dLです。日本人の基準値は0.55~1.68mg/dLですから、はるかに低値です。

 ビタミンを信奉し、30代からマルチビタミンを飲み続けてきた蒼野としても、とても不思議です。鍛えれば、ビタミンCはあまり摂らなくても、ヒトは生きていけるのでしょうか? この回答に関してはまだ結論は出ていないようです。しかし蒼野も納得できるかもしれない仮説はあります。

 ビタミンCは有名な抗酸化ビタミンの一つです。身体の中での酸化ストレスが少なければ、必要量も少ないのではないかという仮説です。マサイ族の伝統的な食事で、他の国の人と比べて圧倒的に少ない成分は糖質です。マサイ族はスーパー糖質制限をしている民族でもあるのです。

 糖質を摂ると、血糖値が上昇し、インスリンが分泌されます。高血糖や高インスリン血症は強い酸化ストレスの原因なのです。体内でできる活性酸素も少なく、それを除去するビタミンCも消費が少なくて済んでいる可能性があります。

 環境の影響も大きいと思います。ずっと身体を動かしていることで、座り続ける我々と違って、全身の血流も良いと思います。心理的なストレスも少ないでしょう。大気汚染やタバコ、揚げ物などの酸化した食べ物、薬剤などの影響もない生活です。日本人に比べて、ビタミンCの消費はずっと少ないはずです。

 あくまで仮説で、私見でもあるのですが、妙に納得してしまう蒼野です。スリムで背が高いことに関しても、人類が農耕生活に入ってから、身長が4cm近く縮んでいたことを考えると、糖質制限しながら、牛乳を多量に摂取すること、毎日ジャンプすることが理由であると思います。

 かといって、我々がマサイ族の生活をすることも、環境を変えることも出来ません。我々は、酸化ストレスの多い世界で暮らしています。出来るだけ野菜を摂って、活性酸素を退治するべきだと思います。人によって、生活習慣によって、ビタミンCの必要量も変わります。1日100mgとは言わず、ビタミンCを摂ってほしいと思います。

 昨日も書きましたが、糖質は摂りすぎると良いことが有りません。血糖スパイクは、糖化、老化にもつながる、強い酸化ストレスです。食べ方の順番や、食物繊維、脂質を一緒に食べること、何より量を摂りすぎないことを意識して、毎日の食生活を組み立てましょうね!

 身長が170cmは欲しかった蒼野です。中学生の時にこの知識を知っていたら、マサイ族をマネして、もっとヨーグルトを食べて、毎日ジャンプできたかもと思うとちょっと残念です。

参考文献:Low ascorbate status in the Masai of Kenya  
              The American Journal of Clinical Nutrition 27: MARCH 1974, pp. 310-314.

参考記事: 野菜を食べないマサイ族の食の秘密   江部 康二

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