皆様はマスク頭痛という言葉を聞いたことがありますでしょうか? 中には長くマスク生活を送っている間に経験された方もおられるかと思います。最近は蒼野も、誰も居ない外を歩くときには、マスクは外しています。やはり解放感が違いますよね! 今日はマスク頭痛とその対処法について書いてみたいと思います。
マスク頭痛の原因は幾つか挙げられるのですが、一つ目は血中の二酸化炭素濃度の上昇で生じるものです。特に感染予防に効果のある不織布製のマスクは、通気性が悪いケースが多く、隙間がないよう正しく装着すればするほど、新鮮な空気が吸いにくくなります。
自分が吐いた二酸化炭素濃度の高い息を再び吸い込む確率は増えるため、血中の二酸化炭素濃度が上昇します。自律神経は二酸化炭素濃度をモニターしており、これが上昇すると、酸素濃度が下がっていると判断し、その分血流を増やして組織に酸素を運ぼうとします。つまり血管を拡張させて、血流を増やすという反応が起こるのです。
片頭痛をはじめとする血管性頭痛は、頭部の血管が拡張することで、周囲の三叉神経がパンパンに押されてしまい、心臓がドクンドクンと動くごとに、ズキンズキンと神経に痛みが走ります。もちろん片頭痛体質の人に起こりやすいのですが、そうでない人でも、血管の拡張が強いと痛みを感じることになります。
二つ目は、自律神経支配が交代する時に生じるマスク頭痛です。もうだいぶ慣れてしまったとは思うのですが、コロナの最初頃は、蒼野のクリニックでも患者様が激減しました。外に出たくないという方が多かったと思います。外出時には、心配、緊張しながらマスクを付けていたと思います。
つまりマスクを付けている時は交感神経優位の緊張状態です。自宅に帰ってマスクを外すと、一気に緊張が解け、副交感神経優位に交代します。交感神経が優位な状態は、動物で言うと、敵が現れ戦う必要がある時です。噛みつかれても大出血しない様に、末梢の血管は収縮しています。安心して副交感神経優位になると、血管は一気に拡がります。
血管が拡がると三叉神経を押して痛みにつながるのは、先ほどと同じです。片頭痛体質の方は、緊張が解けた時も頭痛が起こりやすいので、週末や旅行、リゾートなどで一気にリラックスすると頭痛が起こる方がおられます。折角の楽しい時間を、頭痛に悩まされるのは本当にお気の毒だと思います。
三つ目は、元々の片頭痛の患者様の中には、ずっとマスクを掛けているだけでも、頭痛が誘発される方がおられます。全国に840万人、女性が4倍多い片頭痛の患者様は、三叉神経が過敏な方が多くみられます。耳や顔面にマスクの紐やマスクが当たっていると、ピリピリした違和感を感じたりします。
実はこれは片頭痛の前兆の一つです。アロディニアと言って、三叉神経が過敏になっている状態です。そのまま放置すると高率に片頭痛を起こしてしまいます。眼鏡やサングラスがかけられないとか、お団子ヘアや三つ編み、ポニーテールが鬱陶しいと言うのも同じである可能性があります。
ひどいアロディニアを持つ方の中には、小さい頃の水ぼうそうとか、帯状疱疹の既往がある方も多いです。帯状疱疹ウイルスは、いったん感染すると、身体の中のどこかの神経節に潜んでいることが多いのです。三叉神経節に帯状疱疹ウイルスが潜んでいる人では、それが時々活性化することで、三叉神経を介して片頭痛を起こすことがわかっています。
全ての方に有効ではないかもしれませんが、アロディニアがひどい方、片頭痛が重症である方の中には、帯状疱疹ワクチンを打つことで、アロディニアや頭痛が軽くなる方がおられます。後頭神経痛も、かなりの確率で帯状疱疹が関与していますので、よければ以前のブログを参照下さい( https://blue-zone-life.com/ヘルペス神経痛?/ )
四つ目は、肩こり、首こりによる緊張性頭痛が、マスクで増悪する場合です。マスクであまり表情を作らずに済む生活では、顔面の血流も悪くなり、筋肉の動きも制限されます。口も大きく開けられないため、筋肉が緊張しやすくなり、筋肉の緊張は周囲にも波及するため、重たい頭痛が起きやすくなります。
ということで、マスク頭痛の予防法です。周囲に人がいなければ、マスクを外しましょう!深呼吸したり、何回か早めの呼吸で二酸化炭素濃度を下げるのも意識すると良いです。マスクを外せず、痛くなりそうな時には、少量のブドウ糖を、飴などで摂取するとか、カフェインを入れると、血管が収縮しやすくなります。
喉がカラカラになると、口の粘膜の三叉神経が刺激されて誘因になることがあるため、水分は食事以外で、こまめに、体重×40mlー1200ml/日 以上は摂取しましょう。梅雨時期は湿度が高いので、カラカラにはなりにくいとは思います。
二重マスクは、二酸化炭素濃度を上げやすくなるため、頭痛の観点からはあまり勧められません。ベースに呼吸器疾患があると、二酸化炭素が溜まりやすくなることもあります。喫煙者の20%以上に見られる慢性閉塞性肺疾患(COPD)です。推定で530万人、有病率は8.6%です。
COPDの患者様は、明け方頭痛で目が覚めるという人が多いようです。元々の肺の換気が悪いために、寝ている間に二酸化炭素がたまってしまい、それが頭部の血管を広げて頭痛を起こしてしまうと考えられています。COPDは20年以上の喫煙で40歳以降に起こってくるため、もし喫煙されている方がおられる様であれば、ぜひ禁煙をトライしましょう!
以前から現代社会はストレス社会ですが、コロナ禍でさらにストレスが加わっている様に感じます。ストレスから身を守ろうと無意識に背中を丸めることが多くなり、また交感神経が優位な時には呼吸が浅くなります。在宅ワークが増えて、運動不足になっている人も多くなっているでしょう。マスクも含めて軽い酸欠になっている人が多いと言われています。
ストレス時、呼吸が浅いと横隔膜が硬くなってくることが多く、深い呼吸が出来にくくなっています。横隔膜をほぐし、深呼吸を復活させなければいけません。横隔膜は加齢と共に硬くなり、動きづらくなるため、横隔膜ほぐしはアンチエイジングにもつながります。
横隔膜をほぐして、酸素をいっぱい取り込み、全身に送り込みましょう。腸のマッサージにもなるため、腸活にもつながります。動画を撮りましたので、皆様も1日1回やってみてくださいね! 3秒吸って10秒吐くです。
横隔膜ほぐし 動画: https://youtu.be/4HMJgr1g1MI
今からさらに暑くなります。マスクをしなくて良い日が来るのを心待ちにしている蒼野でした。
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