蒼野は子供の頃から、人の体や健康に興味があり、いろいろな健康法を自分の身体で試してきました。最近脳ドックや健診をしていてしばしば思うのは、こんなに画像や数値が悪くて、メタボなのに、どうして関心が無いのだろうと不思議に思える人が一定数おられる事です。
そこで今日は健康に関心が無い人について、調べてみることにしました。まずは統計から考えてみます。厚生労働省が2019年に実施した「国民健康・栄養調査」の結果でも、20歳以上で食生活や運動について関心が無く、今の習慣を変えるつもりは無い人がある程度おられます。
関心がなく、変えようとも思わない人は、食習慣では男性24.6% 女性25.0%、運動習慣では、男性23.9%、女性 26.3%でした。関心はあって半年以内には変えたいと思っている人、1ヶ月以内に変えようと思っている人を合わせて、現在取り組めていない人に関しては、食習慣では男性で58.2%、女性55.4%、運動習慣では、男性で58.5%、女性62.5%と、過半数が現時点では生活が変えられていないという回答になっています。
食事と運動が健康に重要である事は、知らない人はいない様に思うのですが、どうしてこういう結果になってしまうのでしょうか? 蒼野自身は、現在自らの健康の優先順位をNo.1にしているので理解に苦しむ結果ではあります。健康行動に取り組めない理由を考えてみましょう!
もちろん世代間の差は大きいです。若い程、現時点で健康に問題が無い人は多いためか、関心が無く、変えようと思わない人が多い傾向です。女性は美容の問題があり、20代から変えようと思う人は多いものの、なかなか変えられていないという結果になっています。男女共に、忙しい30~40代の働き盛りの人も、改善しなければと思っていますが、行動につながっていない人の割合が多くなっています。
50、60、70代と加齢が進むに従って、少しずつ生活に改善が見られる人が多くなってきます。これは自覚症状や、病気の診断などの影響が考えられます。できない理由として多いのが「仕事・家事・育児などが忙しくて時間がない」でした。これは変えようと思っているけど現在変えられていない人に多い理由です。
仕事+家事、育児で時間がなくなっているのは特に女性で多く、自分の健康に関しては最低限の健康維持で精一杯、健康増進の余裕がないということになります。特に子供が小さい場合には、優先順位が上げられないのは仕方が無い事なのかも知れません。運動する時間も無ければ、健康的な食事を用意する時間も無いと、なかなか取り組めないのは当たり前ですよね!
また、軽い不調はあっても、自分や家族、友人などが健康であると思っている場合には、行動は変わりにくいようです。時々頭痛があったり、睡眠不足であったり、体重が増えてきていたりしても、生活するのに支障が無ければ、なかなか健康増進を優先することは難しいのでしょう。
蒼野は仕事上、そうしているうちにある日突然、脳卒中になって運ばれてくる人を沢山診てきたため、そのままではまずいということが身に染みています。しかし周囲にも、自分にもそういう体験が無い人が、明日も今日と同じように元気で過ごせると信じてしまうのは、人間の性なのでしょう。
世知辛い話にはなりますが、理想の健康生活にはお金もかかります。新鮮な野菜や果物たっぷりの食事、おいしい刺身やお肉、平飼い鶏の卵などのタンパク質を毎日続けるには、それなりのコストが必要です。世帯年収が低い家庭では、即席麺やご飯中心の主食完結型の食事が多くなり、肥満率も増加することがわかっています。
収入が少ないことで、健康診断を受けていない人も増えてしまいます。スポーツジムに行くのもお金がかかります。低価格の食事には、添加物も多く、栄養にも乏しいことが多いため、身体や脳のパフォーマンスも上がりにくく、そのために収入が上がらないという悪循環に陥ってしまう人も多く居られるように思います。
周囲の環境も重要です。家族の好みが、濃い味付けの高カロリー食だった場合には、いつも減塩の低カロリー、低糖質食を食べるのは難しいです。いつもそばにお菓子があって、食べている人がいる場合にも、我慢するのは難しいです。自宅に運動するスペースが無かったり、近所の道が真っ暗だったりしても、運動習慣は続けにくいでしょう。
また健康習慣に取り組んでも、苦痛だったり、楽しく無かったり、結果が出なかったりすれば、いずれはやめてしまいます。ポケモンGOやスウェットコインなどのようなアプリを使ったり、みんちゃれのように、一緒に頑張る仲間を作ることで頑張れる人はいると思います。ちゃんと結果の出る知識なしに頑張っても、結果は出ないため、健康リテラシーもとても重要です。
面倒くさくて出来ない人はとても多いです。その人の価値観で、他に重要な事があるとそちらを優先するのは当然です。人生は選択の連続です。そしてその時の気持ちで選択しています。「今日は焼肉食べ放題なので特別な日、ダイエットは明日から」とか「涼しくなったら運動を始めよう」などの選択をした記憶は、蒼野もあります。
生活習慣病になりたい人は居ないと思いますが、頭脳明晰でバリバリ仕事ができる社長さんなどでも、毎日お酒を飲み、タバコを吸い、運動する時間がなく、すでに採血データに異常が出始めていて、血圧や血糖値が高めという方はよく見かけます。しかし生活改善についてお話ししても、「今はまだ大丈夫だから、そのうち改善します」などと言われることは多いのです。
医者の不養生という言葉があるように、健康リテラシーは人一倍あるはずの人間でさえ、自分は大丈夫、明日も今日と同じように元気でいるはずだと信じ込んでいます。メタボリックな身体のまま、不健康な生活を繰り返している、という人も、蒼野の回りにも結構居られるのです。
そういう人間の行動の背景には、認知の歪みがあります。将来のベネフィットよりも、目の前のベネフィット、つまり病気にならない将来よりも、目の前の揚げ物やお酒を選んでしまいやすいのが人間です。今簡単に得られる物を、将来のために捨てるという選択はとても難しいのです。
健康は無くして初めて、その大切さが分かります。蒼野も自分の人生に大怪我という転機が訪れることは全く予想していませんでした。毎日元気に暮らして行けるとずっと信じていました。しかし怪我のおかげで、現在は健康習慣への取り組みの優先順位を上げる事ができ、毎日元気でいる幸せに気づけるようになりました。
人生を長い目で見た時の優先順位について、ちゃんと考えてみることをお勧めします。幸せの基盤は健康です。どんなにお金があっても健康が無ければ幸せを感じる事は出来ません。健康リテラシーを高めながら、環境を整え、出来ることから、食事、運動、睡眠を整えてゆきましょう。お金をかけなくてもできる健康法も沢山あります。
将来の健康を守るのは、今の皆様の生活です。身体に悪い生活を続けていくのは、ロシアンルーレットで、1発だけ玉が入った銃の引き金を弾き続けているような物です。銃は遠ざけてしまうのが一番です。これからも銃を遠ざける情報を伝え続けたいと思う蒼野でした!
参考ページ: 厚生労働省 令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf
参考書籍: 健康寿命を延ばす「選択」 浅野 拓
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