医療崩壊!

2022/07/23

 今日は最近の発熱外来と、全国のコロナ報道を見ていて感じることを、私見として書かせて頂きます。あまりに急に患者数が増えてしまい、医療機関や保健所などがパンクしているところが増えてきているのではないかと感じています。

 7月の最初のブログで、BA.5はヤバいかもと書かせて頂きましたが、予想を超える感染力で、全国で感染爆発が起こっています。6月には午前午後2~3人ずつで、陽性率が3~5割くらいだった蒼野の病院の発熱外来も、今週は午前午後10~15人ずつと増え、陽性率も9割程度と陽性で無い人が珍しい状況になってきています。

 昨日の外来での問診では、3年ぶりに行われた山笠を見に行ったり、参加したりした人が多かった印象です。多くの人が集まると、やはり感染が増えている印象です。福岡県の感染者数も、昨日は一昨日1万人を突破し、昨日は12155人と過去最多を更新しました。

 家族内感染が増えているため、70歳を超えるお年寄りの感染も、6月にはほとんど居なかったのに、増えてきています。先日はそれほど重症ではない高齢の発熱患者様が救急車で来院され、陽性が判明、当院では、寝たきりの患者様も多く、感染リスクの点からも、コロナの入院対応は出来ないのですが、ご家族が自宅に帰るのに難色を示され、他病院でも受け入れ先が見つからずに、救急外来が何時間もストップしてしまいました。

 結局は自宅療養で了承して頂いたのですが、これだけ増えると、保健所からの連絡や指示が来るのはずっと先になります。今は大丈夫でも、急変時にどうなるのか心配されるご家族の気持ちも分からないでは無いです。ですが全体の状況を考えてもらえなければ、こんなふうにして救急が回らなくなる、というのも肌で感じました。

 当院でもスタッフの感染が数人ですが出てきています。家族の感染で休む人も居ます。病棟スタッフがたくさん休む事態になれば、入院患者様を感染させる訳にはいかないので、残りの元気なスタッフだけで働かなければならなくなります。人手の確保のため、外来を閉める事にもなるでしょうし、普段できていたことも、あっという間にできなくなると思いました。

 ニュースを見ると、沖縄では県内21重点医療機関の医療従事者の欠勤が、7月20日には939人となっていました。50人以上の欠勤者がいるのは約8病院、102人の欠勤者が出た沖縄県立中部病院では、全診療科の一般外来を停止、入院の必要がない救急外来も停止にせざるを得ない様です。蒼野の病院ではスタッフ感染も怖いため、発熱者の救急要請はお断りする事になってしまいました。

 BA.5株はまだ衰える事なく、今後も患者数は鰻登りになるように感じています。BA.5の特徴をおさらいすると、感染力は第6波のBA.2株の1.4倍、症状は倦怠感(76%)、咳(58%)、発熱(58%)で、下痢などの腹部症状や鼻水も多い印象です。重症化率はBA.2と同等で、ワクチン接種が進んだことで、0.8倍程度とのことです。しかしワクチン接種や過去の感染があっても、再感染しやすく、中和抗体薬が効きにくい特徴があります。

 日本とほぼワクチン接種率は変わらないポルトガルでは、5月にBA.5が増えてきて、現在は収束に向かっているそうです。感染者数は最大でしたが、重症者は少なく、特に若い人では普通の風邪の様だったとのことです。しかし、感染者数が多い分、死亡者数は増え、死亡者の95%が80歳以上だったということです。

 歴史上で分かっているのは、ウイルスが強毒化すると宿主が死亡してしまうため、基本的に変異は弱毒化する方向で進みやすいということです。そこで致死率について比べて見ると、デルタ株は60歳未満0.08%、60歳以上2.5%と危険でしたが、BA.2になって60歳未満0.01%、60歳以上1.99%となっています。ちなみに季節性インフルエンザの致死率は、60歳未満0.01%、60歳以上0.55%です。

 世の中は経済活動は抑制しないという方針で進んでおり、これは世界的に見ても間違いない方向だと思います。しかし若年者のリスクはインフルエンザと同等になっている今、今までと同様、コロナを感染症2類相当で進めてゆくと、医療は崩壊しそうです。福岡ではPCRの結果が返ってくるのがどんどん遅くなっていますし、保健所からの連絡も滞っています。

 ちなみに2類相当では、外出自粛、入院勧告、就業制限が無症状者にも適応されます。医療関係者に適応がある限り、感染者が増えると、日本全体の病院が機能しなくなります。本日、国から待機期間が縮小されると通達がありましたが、それだけで対応できるのか、まだ心配です。

 蒼野の私見としては、運用が難しいのは承知していますが、リスクの低い若年者に関しては、5類相当(季節性インフルエンザの扱い)にしてゆく時期になっている様に思います。60歳以上や糖尿病は介護が必要な人に関しては、致死率が高いため、別の扱いが必要かもしれません。しかしこのまま救急が診れなくなれば、他の疾患の救急患者が亡くなったり、必要な手術が受けられない患者様が増えてゆきます。

 新しいニュースでは、今後の変異株でとても心配な情報があります。BA.2から派生したBA.2.75株、今までとはかなり違うということで通称「ケンタウロス」と呼ばれる新変異株が報告されています。ケンタウロス株の感染力は実に、BA.5株の3.24倍にも達するという研究結果が出ているのです。

 現在のBA.5の感染力は、初期の武漢株の5倍強、その3倍以上となると、ケンタウロス株は1人の感染者から60人を超える感染者が発生していく状況になるということです。スパイク遺伝子の変異がBA.2よりも8個多く、ワクチン接種と自然感染などでできた免疫抗体を回避する性質がさらに強まります。そして昨日韓国では3例目が見つかったそうです。

 普通に考えると、日本でももうすぐケンタウロス株に置き換わるのでしょうね! どう考えても、今のシステムのままでは、他の疾患も含めて、助かる命が助からなくなります。システムを変えても、感染者数があまりに急増すると、混乱は必ず起こると思いますが、勇気を持って政策の変更を進めて頂きたいと思っています。

 スペイン風邪は1918年から1921年の3年間、3波で収束した様です。グローバル社会となり、人の行き来が当時とは比べ物にならないため、同じ様には行かないとは思いますが、収束の基本は集団免疫の獲得と、ウイルスの弱毒化、感染予防策以外には無い様です。

 スペイン風邪の時の対処も、マスク使用の奨励、マスクは多くの人が集まる所では必須、流行地では人が集まらない事、患者隔離と外出の遠慮、うがいの奨励だったそうです。100年前なのに、現代と変わらないので、蒼野は笑ってしまいました。

 現在若い人のコロナ自体でのリスクは減って来ていますが、医療崩壊の時期の、怪我や病気の危険度は上昇中であることは、皆様も意識しておいて頂きたいと思います。またお年寄りと高リスクの方は十分な感染予防対策をお願いいたします。

 まだまだ第7波が酷くなりそうな事を憂いながら、第8波の到来が本当に心配な蒼野でした。

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