寒冷刺激と健康!

2022/07/25

 水に入ることは昔からある健康法の一つです。実際に蒼野もサウナ後の水風呂はすごく気持ちが良く感じます。今日目にした記事に氷水に入るアスリートの話題があり、興味を惹かれたので、調べてみることにしました。

 水に入るという行為は、古代より様々な民族で行われてきています。もちろんそのメカニズムは分からなかったと思うのですが、世界中で行われ、受け継いできたことを考えると、その魅力や健康効果は確かにあるのだろうと思います。

 古代ローマの公衆浴場にも、熱い風呂の横に大きな冷水のプールがあり、フリギダリウムと呼ばれていたそうです。これはイングランドでも遺跡として見つかっています。また古代北欧、スカンジナビア半島でも、冬に凍った湖に穴を空けて入っていました。

 我が国も含めて、寒中水泳はロシア、中国、カナダ、バルト3国や本場フィンランドで行われる冬の風物詩です。我が国独特の滝行などは、古事記や日本書紀にも記載があり、こちらも長い歴史があります。それでは何故人は冷たい水に入りたがるのか考えてみます。

 一番新しい知見からすれば、オートファジーの活性化ですよね! 細胞内のリサイクル機能であるオートファジーは寒冷刺激で促されます。体一つ一つの細胞の老廃物や毒物が無くなり、新しい細胞に生まれ変わるということが気持ちが良いのは当たり前かもしれません。

 脂肪燃焼も高まります。体内の脂肪細胞には白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞、ベージュ脂肪細胞があり、褐色脂肪細胞とベージュ脂肪細胞は体温を維持するために熱を発生させ、カロリーを燃焼させる効果を持っています。2012年に発見されたベージュ脂肪細胞は、寒冷刺激により、内臓や血管の平滑筋や白色脂肪細胞が変化して出来るものです。

 これは原始時代から寒冷環境の中で生き延びるためのシステムです。ベージュ脂肪細胞が増えてエネルギー消費が増えれば、痩せやすくもなります。冬がダイエットに向いていると言われるのはこのためです。実験では、DHAやEPA、カプサイシンなどもベージュ脂肪細胞を増やす応答を引き起こすことが分かっています。

 冷水に入ることで、身体の血管は自然に収縮します。また怪我や捻挫、筋肉痛など組織の炎症を防いでくれます。怪我をしたらまず冷やすというのは皆様ご存知ですよね!冷水に入った後、一旦収縮した血管が開いて、血流が改善するため、組織の老廃物が除去されやすくなり、怪我や痛みが治りやすくなります。

 免疫力を高める効果もあります。一時的な寒冷刺激は、身体にとって適度なストレスとなり、抗酸化物質のグルタチオンの増加、身体全体の抗酸化も進み、免疫力が高まります。エネルギーとして筋肉内のグリコーゲンを使い尽くすと、テストステロンと成長ホルモンの分泌も促され、身体が修復します。

 寒冷刺激は、甲状腺機能をアップさせ、ミトコンドリアの機能も改善します。そうすることでエネルギー産生を増やすのです。ノルアドレナリンも放出され、痛みを感じにくく、代謝を上昇させます。エネルギーが増すことで、疲労からの回復も早くなります。

 トップアスリートには、これを利用している人が沢山います。ハードなトレーニングや試合が続くときには、素早い回復が必要になります。筋肉が痛み炎症を起こしていることもあり、運動直後に氷を入れたバスタブに15分ほど浸かると、疲労回復効果が半端ないらしいのです。

 2016年のウィンブルドンで優勝したアンディ・マリーが優勝カップを持って、アイスバスに入っている写真を見つけました。また2003年の女子マラソン世界記録保持者ポーラ・ラドクリフもアイスバスを習慣にしていたとのことです。クロスフィット・ゲームズで4連覇を成し遂げたリッチ・フローニングも、アイスバスに浸かりながらインタビューに答えています。

 筋肉の炎症を抑えるためには、冷却は有効な方法です。アイスパックやスプレーが患部のみを冷やすのに対し、アイスバスは全身を一気に冷やすことができるのが最大の長所です。激しい運動を行った直後は、体温が上がり、筋肉が腫れます。アイスバスに入ると、血管が収縮して、炎症や疲労物質が除かれた後、体の中心部から手足の先への血流が促進され、筋肉が修復するのです。

 初心者のアイスバスの安全な入り方は運動終了後15分以内に、11~15度の水に8~10分浸かるというものです。サウナの水風呂が17~20度ですので、それでもかなり冷たいと思います。最初は3~5分くらいで始め、10分を越えないこと、15度から始めることが大切です。

 良い面ばかり書いてきたのですが、この方法は全員に良いことばかりではないようです。元々血圧が高い人では、急に寒冷刺激を受けると、急に血圧が上がり、脳卒中や心臓発作、不整脈などの引きがねになる可能性があります。特に不整脈は元気な若い人でも起こることがあり、突然死につながることがあるので要注意です。

 意識を失うと溺水の可能性もあるため、手足に水をかけて温度に慣らしながら入りましょう。サウナ後の水風呂も同様です。ヒートショックと呼ばれるこういう発作を起こさないよう、身体を慣らしてゆく必要があります。

 アイスバスは、入った後に副交感神経が優位となり、ストレス緩和効果や、安眠効果も報告されています。蒼野も以前からストレス過多の患者様、自律神経失調の患者様には、温冷浴をお勧めしていました。自宅での擬似サウナのような方法ですが、湯船に浸かってから、シャワーで水を浴びるというのを繰り返し、湯船3回、シャワー4回で最後はシャワーで終えるというものです。

 自律神経訓練にもなるため、めまいや立ちくらみの患者様や、朝起きれず学校に行けない学生さんなどが、ちゃんと実行してくれれば効果がある方法です。昔からサウナで整ったり、雪見風呂が気持ち良かったりするのは、自律神経のバランスが良くなることが大きいと思います。

 最新の機器ではクライオセラピーというのがあるそうです。マイナス110℃~190℃の超低温環境を作り出す機器に入って、全身を1~3分間冷却する方法だそうです。オートファジーの活性化、免疫機能の改善、血流改善や美肌、脂肪燃焼、アンチエイジングやデトックスなどが謳われています。

 1回1万円くらいするので、なかなか試す気にはなりませんが、セレブの間で流行っていたり、クリスチアーノ・ロナウドやNBAのレブロン・ジェームズが自宅に買ったと聞くと、ちょっと興味をそそられます。しかし急に冷やすので血圧上昇や不整脈による事故の可能性はあり、死亡例の報告もあるようです。

 蒼野は以前から夏場は湯船で暖まった後、水のシャワーで入浴を締めくくるようにしています。コロナに負けないためにも、今年は秋から冬もやってみようかなと思い始めたところです。

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