朝は食べる、食べない、どっちが正解?

2022/09/22

 朝ごはんについての健康記事を読んでいると、食べるのが常識という記事と、食べないのが、健康に繋がるという記事の二つがあります。今日はどちらが正しいのかを、蒼野なりに考えてみたいと思います。

 蒼野は昔はしっかりご飯を食べる派でした。もちろん前の日が飲み会だったりして、遅くまで飲み食いした日は、朝欲しく無いのですが、体のため、仕事のためと思って食べていました。以前の健康情報は、朝ごはんは食べるべきで、体に良いという一辺倒だった記憶が有ります。

 2016年に大隅良典教授がオートファジー研究でノーベル賞を授賞されて、長寿のためにはカロリー制限が重要であることが知られるようになりました。以来16時間以上の断食で、オートファジーが一段と活性化し、アンチエイジングになり、かつダイエットにも有効であることも検証されてきました。

 2019年に『「空腹」こそ最強のクスリ』という本が出版され、ベストセラーとなり、2020年辺りから一般にも浸透し始め、ダイエットで朝食を抜く人も多くなったように思います。蒼野自身は、2020年の事故で、右の外転神経が麻痺したこともあり、少しでも事故の神経損傷を良くしたいと思いました。オートファジーを起こすことで、残った神経細胞の機能が改善するかもと思い、2021年春くらいから朝食を抜き始め、夏には毎日抜く生活になっています。

 流石に神経損傷が完治はしてはいませんが、慣れたのもあり、複視がありながらも普通に暮らせるようになりました。これに関しては朝食抜きと朝食ありを比べることが出来ないので、どちらが良いとは言えません。しかし体重は落ちました。事故前はマックス68kgくらいあったのですが、一時は56kg、体脂肪率9.2%まで落ちました。

 今まで取れなかったお腹の浮き輪もほとんど取れて、腹筋がうっすら見える所まで来ましたが、In Body(体組成計)で筋肉もちょっとづつ落ちてきたため、このままでは老後が心配になり、少し緩めており、現在は59kg、体脂肪率11%、BMI 22前後でキープしています。

 自分で朝食を食べていた時期と、抜いている現在を比べると、確かに体重キープは楽になりました。以前は胃薬を飲む機会が時々あったのですが、要らなくなりました。ただ3食食べていた時には1日3回、普通にお通じが出ていたのに、1日1~2回になり、当初は少し出にくさを感じることはありました。

 朝食抜きは絶対という決まりではなく、今は休日の朝ワンコと2時間近く散歩して、空腹を感じる時には、食べる事もあります。しかし毎朝食べていた時と比べると、お腹の不調を感じることは激減した様に感じます。ということで蒼野にとっては、朝食抜きが合っていた様なのです。

 自分が調子が良いので、家族にも勧めたのですが、妻と同居の次女は朝は食べないと気持ちが悪くなるのだそうです。三女は食べなくても大丈夫みたいです。健康診断をしていて感じるのは、朝食べない人が健康かというと、そうでもなくて、BMIがしっかり25以上あったり、お腹の不調や、様々な不定愁訴がある人も多いということです。

 こういう人は「朝食べない」のではなく、「朝食べられない」人かもしれませんね! 現代では20代から40代の男性の4人に1人は、朝食を食べていないそうです。大きな理由は夜食べるのが遅い、食べてすぐに寝るという人が多いです。朝食べないのでお腹が空いて、昼はガッツリ丼やカレー、麺類などを食べる人も多い印象です。

 これは健康とは程遠い朝食抜きだと感じます。朝食を食べるとセカンドミール効果と言って、昼食後の血糖スパイクが小さくなります。朝食を摂らないと、昼食後に血糖が急上昇し全身の血管を傷め、急降下して眠くなり、仕事のパフォーマンスが落ちてしまいます。そして急上昇した血糖が脂肪に変えられて、かえって太ってしまうのです。

 国内の45~74歳の男女8万人以上を対象に、約13年間追跡した研究では、「朝食を毎日とっている」と答えた人に比べて、「週5~6日」の人は1.1倍、「週3~4日」の人は1.22倍、「週0~2日」の人は1.36倍、脳卒中のリスクが高くなっていました1)。朝食を抜く時には、病気の原因となる食後血糖スパイクを抑えなければ、身体に悪いのです。

 また朝食は体内時計のリセットにはとても重要です。朝日を目に入れることで、視床下部の主時計がリセットされます。朝散歩で筋肉の副時計が、朝ごはんで消化管の副時計がリセットされるのです。体内時計は自律神経をうまく働かせるために、きちんとリセットする必要があります。メンタルに負荷がかかっている様な人では、自律神経が狂ってしまうため、ストレスの多い人は毎朝朝食を食べる必要があるのです!

 また、朝ごはんを食べない子どもより、食べた子どものほうが学習成績が良いという研究も多いです。成長期には十分なエネルギーが必要です。一度にたくさん食べられない子供では、3食キチンと食べる必要があると、蒼野も思います。朝から食べれない子供さんのためには、やはり夕食を18時くらいに、早く食べ終わることが重要ですね!

 一方朝食抜きのメリットも様々あります。食事は習慣なので、現代人は歳を取っても若い頃と同じように食べ過ぎている人は多いのです。学生の時は活動的でも、会社ではずっとデスクワーク、食べることでストレス発散してしまうと、例外なく太ってしまいます。朝お腹がぺこぺこで食べるのなら良いのですが、なんとなく習慣で食べている人は多くは無いでしょうか?

 日本で「1日3食」が広まったのは江戸時代以降で、それまでは「1日2食」が一般的でした。原始人は獲物が獲れた時に食べたと思うので、毎朝食べていた原始人もいないと思います。人類のDNAとして、3食食べる必要は無かった可能性があります。人類はオートファジーを駆使して、医療のない時代を生き抜いてきました。これには食べれない時間が大きく関与していたと思うのです。

 食事の間隔は少なくとも、1日一回12時間以上は必要です。消化管を酷使することになるからです。16時間空ければ、蒼野の体験としてはお腹がグーっとなり、空腹を感じることができ、美味しく食べることが出来ます。グーっと鳴るのは、空腹期収縮と言って、消化管のクリーニングのサインです。これは腸内細菌の健康維持にも絶対に必要なのです。

 朝食は食べるのが良いのか、食べないのが良いのかについての結論は、『その人のライフスタイルによる』とさせていただきます! ただルールがあります。『お腹が空いた時に食べる』『血糖値を急上昇させないように食べる』の2点です。どちらの場合でも糖質炭水化物の1回量には注意してくださいね。糖質量で40gは超えないように、タンパク質と野菜中心に食べましょう。

 朝食を食べる人が、寝る前に食べていたら身体に悪いし太ります。食べない人が昼食に炭水化物をドカ食いしたら生活習慣病になります。食べる人は夕食を早めに済ませるのが重要です。成長期やメンタルが落ちている人には3食しっかりが良いと思います。

 我々の身体は本来20時~4時までは吸収の時間帯で、消化は不得意な時間帯だそうです。もし仕事時間が自由になる時期が来たら、朝しっかり食べて、夜抜く16時間ファスティングに変えてみたいなあと思う蒼野でした。

参考文献:1)Association of Breakfast Intake With Incident Stroke and Coronary Heart Disease
The Japan Public Health Center–Based Study.   Stroke  Vol.47, No.2 477–481 2016 

参考書籍: 「空腹」こそ最強のクスリ   青木 厚

もし記事が良かったよ!と思われた方は蒼野健造公式ラインのボタンをポチッと押して、ご登録くださいね。ライン登録された方で希望される方は、オンライン面談での相談に乗りたいと思っております。