酸化、糖化、慢性炎症、腸内細菌叢と書いてきて、蒼野の頭の中で、ようやく現代病、慢性疾患に対する知識が整理されてきましたので、それについて是非書きたいと思います。現時点での総まとめです。
現代社会において、医学は日進月歩で進んでいるのに、どうして病気が増えているのか? 人はなぜ病気になるのか? たいそうな話題なのですが、現時点での蒼野なりの私見を書いておきたいのです。
まず私たちの遺伝子は、まだサバンナで暮らしていた頃から、ほとんど変わっていないことが前提です。飢餓の歴史を乗り越えるために、人間は本能的に、カロリーの高い食物、糖や脂肪には目がないですし、目の前にあるものは、誰かに食べられる前に、食べてしまうようにできています。
1万年前に農耕生活に入り、エジプトのミイラになるような王族に、動脈硬化が見られるようになりました。近代に入って資本主義社会となり、売れる商品の研究が進んでくると、思わず沢山買って食べてしまうしかないような、加工食品や料理が、満ち溢れる社会となりました。
本能に訴える、スイーツやお菓子や揚げ物、飲めば幸せを感じる甘い飲み物、脂肪と糖の素晴らしいコラボレーション、幸せが簡単に手に入るアルコールやカフェイン飲料、安い上に美味しいと感じる食品添加物やトランス脂肪酸などが身の回りに溢れています。
CMでもテレビのバラエティでも、美味しそうなスイーツだらけだったりしますよね! 蒼野も見ると思わず買ってみたくなります。一方、身体に良いと言われる食材は、安い加工食品に比べると、野菜も果物もお金がかかります。賃金が上がりにくい社会でもあり、景気も上がらない時に節約するのは、食費になることが多いのではないでしょうか?
一番安くて、依存性のある食材は、小麦粉や、お米、ブドウ糖果糖液糖です。糖質を食べると、幸せの脳内物質が出るため、強い中毒性があるのです。これらの食材に、うまく化学物質を合わせて、本能に訴える美味しい加工食品が作られています。意志の力だけでこれらを食べないことは、とても難しい世の中になっていると思いませんか?
結果として、いつも同じようなものを食べる、糖質過剰の生活になりやすくなります。糖質が増えると、血糖値が上がり、インスリンが沢山分泌されます。インスリンが常に出ていると、細胞はインスリンの受容体の数を減らして、血糖値が下がりにくくなります。オオカミ少年が、いつもオオカミが来たと叫んでいると、誰も気に留めなくなることと似ています。これがインスリン抵抗性です。
インスリンの抵抗性のために、細胞に取り込まれなくなって溢れた、血中の糖は中性脂肪に変えられ、どんどん脂肪細胞や肝臓に溜め込まれてゆきます。内臓脂肪も増えて、脂肪肝の状態になってゆくのです。メタボリックシンドロームの始まりです。
血糖スパイクによって、全身の血管が傷み、血流が悪くなります。血流が悪い部分で活性酸素が発生し、炎症が起こります。余った糖がタンパクと結合し、AGEsが沢山作られ、糖化によって、慢性炎症が進みます。
また糖質過剰、食物繊維不足、加工食品の多い食事が、腸内細菌叢を変えて行きます。デブ菌が増えて、痩せ菌が減って行きます。腸内の炎症を抑える善玉菌が作る短鎖脂肪酸が少なくなり、腸内でも炎症が起こります。
腸の炎症によって、腸粘膜上皮の結合が緩み、リーキーガットの状態になります。食べ物の中の、毒素や、異物が体内に沢山入ってくることで、免疫反応が活性化し、更に多くの炎症が起こります。自己免疫疾患やアレルギー疾患が多発することになるのです。
内臓脂肪が多くなると、満腹ホルモンと言われるレプチンが、沢山分泌されるようになります。レプチン自体も炎症物質です。レプチン濃度が上がると、全身炎症が悪化すると同時に、インスリンと同じように、レプチンがあっても満腹を感じなくなります。これがレプチン抵抗性です。
ヒトはインスリン抵抗性による、食後の血糖スパイクでお腹が空き、レプチン抵抗性によって満腹にならず、腸内細菌が変化することで、満腹中枢を刺激するホルモンも出なくなって、更にお腹が空くのです。体重のセットポイントは上がりっぱなしとなり、高度肥満につながってゆきます。
運動が減っていることや、デジタル社会や人間関係の様々なストレス、睡眠が悪くなっていることや、忙しすぎることも、これに拍車をかけて行きます。こう考えると、病気にならない方がおかしいと思いませんか?
メタボリックシンドロームから生還するには、まずは肥満の解消からです。それもリバウンドしない解消です。意志の強い人は、短期的なダイエットは成功するかもしれません。しかし、インスリン抵抗性や、レプチン抵抗性が残っている状態では、100%リバウンドします。腸内環境の改善も含めて、全ての問題を解決しなければいけないのです。
腸に良い食べ物とか、身体によいサプリメントとか、一部の取り組みだけでは解決しない問題です。根本的には、白い3悪魔と呼ばれる、砂糖、小麦、白米を減らすこと、それを原始人が食べていたであろう自然な食材に置き換えてゆくことが基本です。
16時間の間欠ファスティングや、ボーンブロスファスティングなどで、腸を休め、糖質を全く摂らない時間を作ることで、糖への依存症と、インスリン抵抗性を治しましょう。エネルギーは良い脂肪から摂ることがお勧めです。そうして内臓脂肪が減ってくれば、レプチン抵抗性も解決することができます。慣れれば、我慢することなく続けられる方法なので、是非、生活に取り入れて頂きたいと思います。
ファスティング+糖質制限は最初が一番大変です。まずは3悪魔の摂取を減らして、慣らして行きましょう。腸内環境が改善し、インスリン抵抗性、レプチン抵抗性が無くなって来れば、16時間ファスティングの2回目の食事で、糖質もあまり制限が要らなくなります。食べるものの制約がなくなることで、一生続けられるダイエット法になるはずです。
一定期間、加工食品を取らないでいると、久しぶりに食べた時に身体が拒否するような反応が起こるようになります。蒼野も頭痛持ちではないのに、安いお弁当や、チェーン店の料理などを食べると、気分が悪くなったり、頭が痛くなったりします。そうなれば、身体に悪い食べ物のCMを見ても、食べたいとは思わなくなります。
全身の炎症が治れば、免疫力も上がり、感染症に罹りにくくなります。がん、心血管疾患、脳疾患、内臓疾患、アレルギーや自己免疫疾患、メンタル疾患、認知症などの神経変性疾患etc. も遠ざけることができます。痛みも全身の炎症があると強くなりますので、痛みの解決になる可能性も高いと、頭痛外来をしていて思います。
勉強してきて、様々な病気の見えない根っこが、現代社会で普通に生きる中にあることがわかりました。それを意識して、生活習慣が変えられれば、ほとんどの病気が改善するかもしれないと思い始めるようになりました。
貴方が死ぬまで介護が要らない一生を送るために、自分が納得してできることからで良いので、一つ一つ、生活習慣を見直してみてくださいね!
もし記事が良かったよ!と思われた方は蒼野健造公式ラインのボタンをポチッと押して、ご登録くださいね。ライン登録された方で希望される方の中で、月に1人程(まだ春までは忙しいので)オンライン面談での相談に乗りたいと思っております。