睡眠と体重と内臓脂肪!

2022/04/28

 急に暑くなったので、3日前と2日前は、時々目が覚めて、気持ちよく眠れなかった蒼野です。夕べは涼しくなったので、快適に朝までぐっすりでした。よく眠れると、複視の後遺症の調子も良く、気分良く一日過ごせるのです。今日は睡眠が、ダイエットにも大きく関わるという研究のお話です。

 睡眠時間が不足すると、様々な病気のリスクが上昇するという疫学研究は、今までにも沢山報告されています。例えば、睡眠時間が5時間未満のグループでは、7時間以上のグループと比較すると、糖尿病発症のオッズ比が5倍になります。

 糖尿病患者で比べてみると、睡眠時間が6.5~7.4時間のグループのHbA1cは7.32%、4.5時間未満7.52%、4.5~5.4時間7.40%、8.5時間以上7.43%と、睡眠は短すぎても、長すぎても血糖コントロールは悪くなるようです。ちゃんと寝ないと糖尿病は悪くなります。

 今回の新しい研究は、シカゴ大学のランダム化比較試験ですが、21歳から40歳までの80人のBMI25~30の過体重の人で、睡眠時間が6.5時間以下の人を対象に行われました。短い睡眠時間を長くした時にどうなるかを示した研究は、今までにはありませんでした。活動量計をつけた状態で、睡眠時間を、長くするグループと、そのままのグループで比較しました。

 睡眠時間を長くしたグループは、約1.2時間長く眠るようになり、その結果、エネルギー摂取量が減少しました。1時間長く眠ると、活動量は変化しないにもかかわらず、エネルギー摂取量は162kcal/日減少していました。睡眠時間が短いグループは有意にエネルギー摂取量が114.9kcal増えていました。

 両群のエネルギー消費量は差はなく、結果として、睡眠時間が長くなったグループの体重は、2週間で0.48kg減少しました。短いグループは0.39kg増えていたのです。まさに「寝る子は育つ」だけではなく、「寝ない大人は太る』「寝る大人はやせる」ことが証明されました。

 過去のコホート研究のメタ解析でも、7時間睡眠から、1時間睡眠時間が減ると、肥満リスクが9%上昇すること。ランダム化試験のメタ解析でも、短時間睡眠の人は平均で252kcal/日ほど、余計に摂取することなどが報告されており、今回の睡眠時間を増やすと、痩せるという結果からも、ダイエットをしたければ、睡眠時間を増やすべきであろうと結論しています。

 もう一つの研究は、米メイヨークリニック医科大学の、19~39歳の肥満ではない健康な12人を、4時間の睡眠を取る群(睡眠制限群)と9時間の睡眠を取る群(対照群)にランダムに割り付けて行った比較試験です。試験期間は21日間で、いずれの群も、最初の4日間の睡眠時間は9時間とし(順応期)、その後、4時間と9時間の群で、それぞれ2週間を過ごした後、9時間睡眠で3日間を過ごしました(回復期)。

 4時間群では睡眠が制限されていた期間に、たんぱく質と脂肪の摂取量がそれぞれ13%と17%増加し、摂取カロリーは308kcal/日も増えていました。睡眠制限が始まると食欲が増進し、ピークに達した後、徐々に低下して最初のレベルに戻りました。活動レベルについては、両群共に、順応期から回復期の間を通じてほぼ一定でした。結果、4時間群では9時間群に比べて、体重が0.5kg、内臓脂肪は11%増加していました。

 驚くべきは、回復期に入って、摂取カロリーが戻り、さらに9時間睡眠に戻った時期においても、4時間群では、内臓脂肪は増え続けていたことです。理由ははっきりしていませんが、睡眠不足が内臓脂肪蓄積を引き起こすという新しい因子である可能性を示唆しています。

 ナポレオンは3時間しか寝なかったと言われ、ショートスリーパーだったことは、皆様ご存知だと思います。残されている若いころ(1802年)の肖像画とくらべると、1814年の肖像画は、どっぷりとしたお腹が描かれていることは、最近の研究結果からも、納得できることかもしれません。

 確かに世の中にはショートスリーパーの人は居られると思うのですが、この結果を見ると、病気のリスクに繋がりかねないですよね。皆様はよくご存じだと思いますが、長期にわたって、内臓脂肪が多くなれば、メタボリックシンドロームへとつながり、様々な生活習慣病の源になってしまいます。

 これは蒼野の私見なのですが、睡眠が短くなると、ヒトはその分の体力を栄養を摂って補おうとするのかも知れませんね。蒼野の経験では、蒼野は風邪を引く前には、何も症状が無い時期から、必ず異常に食欲が亢進します。皆様にはそんなことは無いでしょうか? 風邪症状が出るとめっきり食欲はなくなります。食べれなくなるのを身体が予測して、食欲が亢進している様な気がします。

 ダイエットには、食事と運動だけでなく、睡眠も大きく影響する可能性があることが、わかってきている、と言えるのでしょうね。本当に生活習慣は、日々どう生きるかの積み重ねです。ストレスも多く、時間がない現代人は、十分で良質な睡眠時間を確保するのが大変になっていることも、肥満が増えてきている原因の一つなのだと思います。

 メタボが続けば、自分の人生や健康に大きく影響することは、意識しておく必要があります。ダイエットするなら、まずは睡眠時間の確保から行うことが重要だと思います。蒼野も、どうやったら良い睡眠がとれるか、日々研究中です。また新しい知見がありましたら、すぐに書きたいと思っています。

 今日はよく寝たためか、ブログを書く時間が短くて済んだ蒼野でした。

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