筋トレと健康!

2022/03/26

 今日は筋トレに関する最近の研究で、少し意外な結果が出ているものがあったので紹介したいと思います。皆様は運動は沢山すればする程、健康に良いと思われていますでしょうか? 実は病気になりにくい適度な運動量というのがあるようなのです。

 2月28日に、筋力トレーニングと全死亡や心血管障害、がん、糖尿病などの疾患の関連についての東北大学の研究結果が発表されました。有酸素運動と疾患との関係の研究は、今まで多く検討されているのですが、筋トレと疾患の関係については、十分な検討がなされていませんでした。

 今まで報告されている論文から、筋トレと死亡、慢性疾患との関係について、前向きコホート研究16件についてレビューし、メタ解析を行いました。筋トレを全くしない群と比べると、筋トレをしている群は、全死亡、癌、糖尿病などのリスクが10~17%低いことが分かりました。癌の中でも大腸がんや腎癌、膀胱癌、膵癌とはあまり関係がありませんでした。

 また、筋トレの量としては、週に30~60分の筋トレを実施している人のリスクが最も低くなり(10~17%低下)、週130~140分を超えるとこれらのリスクが上昇してゆくことが分かりました。このことから、筋トレには長期的な健康増進効果があるものの、やり過ぎると効果が得られなくなる可能性があると報告しました。

 蒼野としては、週140分以上の筋トレというところが、ちょっと衝撃でした。毎日する人は、1日20分ということですよね! 1日休みで24分、2日休みで28分までが、1日のトレーニング時間ということになります。ちょっとした筋トレで、健康効果が最大化するというのは知っておいても良いことだと思いました。

 疫学的にも、激しいスポーツをするアスリート、プロレスラー、相撲取り、ボディビルダーなどは寿命が短いと言われることもあります。一流のアスリートになるには、それこそ、血の滲むような練習に耐えて頑張る人や、身体を壊しても構わないという極端な人もいたりします。

 やり過ぎると健康を害する恐れがあるというのは、普通に考えてもそうだろうなと思います。平均寿命を見ると、日本人の平均が女性87.3歳、男性81.2歳であることに比べて、一流アスリートでは、長距離の陸上で80歳、剣道77歳、ゴルフ73歳、ラグビー72歳、短距離の陸上70歳、馬術68歳、サッカー68歳、プロ野球68歳、レスリング65歳、自転車57歳、相撲56~58歳となっています。

 これも衝撃の結果ですよね! 厳しい競争がある、激しいプロスポーツは活性酸素が多く出ることによる酸化が進みやすいことや、メンタル的なストレスで、ストレスホルモンが多く分泌されることによる、酸化や糖化などが関係しているのかもしれませんね。

 ゴルフなどは健康に良いイメージが大きいのですが、プロになると、何度も1パット何百万円の勝負を繰り返すことによる、ダメージの蓄積が大きいように思います。自転車も、競技となると活性酸素が出まくる運動になり、しかも転倒のリスクなども伴うことが寿命に影響しているように思います。

 相撲では、激しい稽古と共に、体重増加の必要から、食べることによる体の負担が、さらに糖化リスクを高めることも影響しているのだと思います。番付が上がると、勝たなくてはならない精神的ストレスも高く、寿命を縮めているのでしょう。

 スーパーマッチョのボディビルダーの世界では、体作り自体がビジネスです。プロのボディビルダーにおいて、30代、40代という若さで急死しているケースは、ほどんどが心臓疾患で亡くなっているようです。

 そこにはアナボリックステロイド(筋肉増強剤)の使用が関与しているようです。ドーピング検査のないボディビルの世界では、使っていないと勝てないということもあり、結果が全てと考えると、命を懸けてできることは全てやるということなのだと思います。

 素人には関係が無い話かもしれませんが、目的が健康のための身体作りであれば、しっかり時間をかけて行うことが重要の様です。短期間に食べまくってバルクアップし、今度は極限まで絞りまくるという食事の要素は、身体にかなりの負担がかかることになります。

 体脂肪の減少には時間をかける必要があり、急激な減量はリスクが大きいのです。またプロテインの過剰摂取も、腎臓負荷が強くなるため、適度に抑える必要があります。やはり「過ぎたるは及ばざるが如し」ですので、健康のための運動は、ほどほどが良いのだと思いました。

 結構ネガティブな情報を書いてしまいましたが、基本的には適度の筋トレは健康効果が高いのです。高齢になるにつれて、自然に筋肉量は減ってゆきやすいことがあります。若い時から適度な筋力トレーニングで『貯筋』しておくことが健康長寿のためには必要となります。

 筋トレすることで、代謝が上がり、冷え性が改善し、免疫力がアップします。疲れにくくなり、ストレスの発散にもなります。加齢とともに減ってゆく成長ホルモンの分泌を促し、アンチエイジング効果も得られます。脳細胞への良い影響や、メンタルの安定にも大きく関与します。

 睡眠時間や睡眠の質の改善にも、有酸素運動よりも筋力トレーニングの方が効果的である可能性を示唆するデータが、3月1~4日の米国心臓協会の学会で報告されています。運動習慣のない406人(年齢範囲35~70歳、女性53%)を有酸素運動群101人、筋力トレーニング群102人、両方とも行った群101人、および運動を課さない対照群102人で比較しました。

 筋トレ群のみで統計的に有意に、睡眠時間が17分伸びて、入眠するまでの時間も3分早くなりました。他の3群では変化がありませんでした。睡眠時間が就床時間に占める割合(睡眠効率)は筋トレ群と両方とも行った群で有意に上昇しましたが、他の2群では変化なしでした。

 この結果に関しては、筋トレを行った方が、成長ホルモンの分泌が多くなることで、睡眠が改善する可能性と、筋肉回復のために、身体が睡眠を必要とするために、睡眠が改善する可能性が指摘されています。

 今日は、筋力トレーニングに関する、新しい知見について書いてみました。蒼野も1日15分くらいの筋トレを、仕事から歩いて帰った後にする様にしています。目に見えて身体が変わる感じではないけど、健康を目的に続けていこうと思いました!

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