腸内細菌 コリンセラ

2022/01/09

 皆様、お元気でお過ごしでしょうか? オミクロン株はやはりすごい感染力ですね。今日ウチに届いた西日本新聞に、気になる話題があったので、今日はこれについて書いてみようと思います。

 アジアなどで新型コロナウイルスの死亡率が低い要因に、腸内細菌が関連している可能性があると、名古屋大などのチームが米科学誌に発表しました。計10カ国の健康な人の腸内細菌を調べると、アジアや北欧では「コリンセラ」という種の細菌を多く持つ人の割合が高い事がわかりました。

 コリンセラ属は肝臓で作られて腸内に放出される一次胆汁酸を、二次胆汁酸に変換することが知られています。この二次胆汁酸が、新型コロナウイルスが感染する際の受容体である、ACE2への結合を防ぐと考えられています。

      コリンセラを多く持つ人の割合  100万人当たりのCOVID19死者数
フィンランド       61%               127人
ドイツ          53%               752人
韓国           50%                 29人
日本           34%                 52人
カナダ          20%               554人
英国           18%               1,680人
ベルギー         15%               1,853人
米国             9%               1,430人
イタリア                           8%                1,522人
メキシコ           4%                1,306人 

 計953人のデータで、綺麗な直線状になっている訳ではありませんが、コリンセラが感染予防効果を持つ物質を作ることからも、コリンセラが少ない人が多い国では、死亡率が高くなる傾向にあるようです。

 そこでコリンセラがどういう菌なのかも調べてみました。現在、コリンセラ属には、本菌を含めて4菌種が発見されており、すべてがヒトから分離されていました。

 コリンセラ菌は善玉菌かと思いきや、食物繊維の摂取量が少ないと増える細菌のため、食生活が偏ると、増加するようです。摂南大学の研究では、本学ラグビー部員の腸内環境調査で、コリンセラ菌が一般健常人の2倍以上多く存在していて、学生アスリートの腸内環境が深刻な状況であることを明らかにしました。

 アイルランド代表のラグビー選手は1日4500kcalの食事で39gの食物繊維を摂取するのに対し、摂南大学ラグビー部員は、4000~4800kcalの食事で12~14gしか摂取しておらず、一般健常人の平均摂取量17gよりも少ない結果でした。

 学生アスリートは、一般健常人と比べて、悪玉菌やそれらが作るコハク酸(悪い物質)が多く、コハク酸は大腸炎患者レベルに達している選手もいる事がわかりました。酪酸(良い物質)が少なく、25%の学生で検出できませんでした。そして、ほぼ全員が排便異常を抱えていることもわかりました。

 学生アスリートは、タンパク質や炭水化物が体作りに重要であるとの情報から、これらを好んで食べていたことで、結果、食物繊維が不足していました。

 食物繊維の摂取量は日本人男性で1日21gが目標とされていますが、実は食べる量に応じて増やす必要があります。1日に高カロリーを摂取するアスリートの場合、食事1000kcalあたり14gの食物繊維摂取が目標となることも、知っておく必要があります。バルクアップする人は意識しておいてくださいね!

 学生アスリートに、4週間、サプリメントと食事で1日40gの食物繊維を摂ってもらったところ、摂取前には検出できなかったビフィズス菌や酪酸菌などの善玉菌が大きく増え、コハク酸の量は1/5に減少しました。そして体重(筋肉量)が増加、便通の改善、ニキビが治るなど、体調の改善が見られたとのことです。

 蒼野が考えるに、コリンセラを増やしたいから、学生アスリートのような食事にするというのは、短絡的でもあり、誤りだと思います。ヒトの腸管には40兆にもおよぶ細菌が「腸内細菌叢」を形成しており、我々と共生しています。その中にある程度のコリンセラが含まれていることが、一つのポイントではないでしょうか?

 重要なことは「腸内細菌叢」の多様性です。米国微生物学会によると、新型コロナに感染して重症化した人は、腸内の健康状態が悪い傾向にあります。研究では、高血圧・糖尿病・肥満などの基礎疾患をもつ人や、高齢の人は、新型コロナが重症化するリスクが高いことが示されており、これらの人は腸内細菌叢の多様性が減少し、有益な菌が少なく、悪玉の菌が多い傾向が示されているのです。

 59万人以上の成人を対象とした調査では、植物性食品の摂取量が多い人は、摂取量が少ない人に比べて、新型コロナの発症リスクが9%低く、重症化リスクは41%低いことが示されました。米国と英国で実施されたスマートフォンを利用した研究のデータの解析で判明しました。野菜や果物などの健康的とされる植物性食品を多く摂取すれば、食物繊維の摂取も増えて、「腸内細菌叢」の多様性が保たれます。

 心配な報告もあります。シンガポールで、オンラインでの食料品やデリバリーの注文アプリで得たデータを使用し、ロックダウンと食生活との関連を調査しました。シンガポールの1万1,372人のデータを解析したところ、ロックダウン中の野菜や野菜料理の注文は15%減少し、バーベキューや揚げ物などは11%増加していました。外出禁止令が出された時期には、野菜・野菜料理の注文は21%減少していました。

 コロナ禍で収入を減らしてしまい、食生活が貧しくなっている人は少なくないと思います。安く手に入る手軽な食品は、小麦を始めとする穀物や脂肪です。偏った不健康な食事と、社会経済的な欠乏の2つが、新型コロナのリスクをさらに高めている可能性があるのです。

 もちろん感染予防のために、まずしなければならないのは、ワクチン接種を受けること、さらにはマスク着用や、手洗いや消毒を徹底するなどの、一般的な注意事項を守ることです。そうしたことを行ったうえで、1人ひとりが健康的な食事に注意を払うことは、感染や、重症化のリスクを減らすのに役立つ可能性があると思います。

 原始人の食生活は豊かでした。同じものばかり食べる食生活は、本当に最近のことなのです。豊かな腸内細菌叢のためにも、様々な、彩り豊かな食材を、生活に取り入れて行きましょう。食品への投資は、将来の健康への投資です。工夫しながら、美味しく食生活を楽しみましょうね!

 最後に、腸活のために蒼野が摂っているサプリメント情報を! 

青バナナパウダー(食物繊維、難消化性デンプン)は、プロテインに混ぜて摂取しています。そしてもう一つはプロバイオティックス菌が8種類ブレンドされて、1カプセルに300億CFU入っているものです。私見ですが、飲み始めてから、お通じで毎日バナナが出てくるようになりました。

MRM, 未加工オーガニックグリーンバナナ粉末、240 g

https://jp.iherb.com/pr/mrm-raw-organic-green-banana-powder-8-5-oz-240-g/96387?rcode=DBO7172

California Gold Nutrition, LactoBif(ラクトビフィ)プロバイオティクス、300CFU、ベジカプセル60

https://jp.iherb.com/pr/california-gold-nutrition-lactobif-probiotics-30-billion-cfu-60-veggie-capsules/64009?rcode=DBO7172


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