進化医学

2021/10/30

 ダーウィンの進化論は、すべての生き物は不変のものではなく、生き残ってゆくために、自らの遺伝子を自然選択することで、今ここに生きているという考え方です。進化するためには長い年月が必要ですが、遺伝子に合わない急激な環境変化、特に食事、運動、睡眠など生命に関わる活動に関する変化は、その個体の病気を誘発することは自明の理と考えます。

 蒼野健造は、ずっと携わってきた西洋医学が、生活習慣に起因する病気に対しては、対症療法がほとんどであり、根治治療がとても少ない現実をずっと感じてきました。なので進化医学の考え方に基づいて、色々な病気を考え、根治できる方法を探求するという方法に、とても魅力を感じています。それを追求することが、体に優しい上、真の根治につながり、ひいては360度の健康、毎日気分良く、不調のない元気な生活が送れ、健康寿命の延伸につながるものだと考えています。

 二本足歩行をしたと考えられる最古の人類の祖先が出現したのは、580万年前と言われています。アウストラロピテクスの出現が400万年前、脳の容積はどんどん大きくなり、19万5千年前に、直接の祖先であるホモサピエンスが出現しています。人類は狩猟採集生活で長い年月をかけて、遺伝子を自然選択して生き残ってきました。

 農耕生活が始まったのが1万年前、日本人が白米をみんなが毎日食べれるようになったのは明治以降、みんなが砂糖が食べれるようになったのも明治以降です。パンが一般化して食べられるようになったのは第二次世界大戦以降ということで、現代人は進化してきた遺伝子には選択肢が無かった食べ物を、毎日沢山食べるようになってきています。

 元々人類の食生活は飢餓の連続であり、そのために食料が少なくても生き残れるように進化してきました。狩猟で毎日獲物がとれるわけでもありませんし、果物や木の実がいつも採集できたわけでもありません。生き残りのための最終兵器が節約遺伝子です。人類はカロリーのあるものに出会うと出来るだけ沢山食べて、それを脂肪に変えて飢餓に備えてきました。糖分や脂肪分を好むように進化しており、その遺伝子には逆らえないのです。大好きな甘いお菓子やクリーム、真っ白なご飯やパン、麺などの誘惑には逆らえないと思いませんか?体の脂肪が減りにくいのも、人類が生き残るための武器だったのです。

 人類の遺伝子情報の変異は、100万年当たりで0.5%と考えられていて、現代のように急激に仕事内容が変わり、食事が変わり、生活習慣が変わると遺伝子はついてゆけないのです。現代の生活習慣病と呼ばれる慢性疾患の原因はそこにあると蒼野健造は考えます。

今こそ、健康寿命を伸ばし、死ぬまで元気に動ける体を保つためには、最適な食事や生活習慣をよく考えて、習慣として実行してゆく時であると思います。今後もこの考えに基づいて情報を発信してゆきたいと思っています。