隠れ低血糖!

2022/08/30

 今日は隠れ低血糖の話を書きたいと思います。これによる不調があっても、病院で診断されることはまずありません。自律神経の失調とも裏表の関係でもあり、数々の不調の原因となりますが、検査値で異常が出ないためにメンタル疾患と間違われることが多いのです。潜在的に誰にでも起こっている状態ではないかと推測されますので、皆様もチェックしてみて下さいね。

 「だるくて、朝起きられない」「いつもだるくて疲れている。」「イライラしやすい」「昼食後、抵抗できないほど眠くなる」「気分が落ち込んで、やる気がでない」あるいは「ダイエットをしても、やせられない、リバウンドする」「ときどき手足に痺れや震えを感じる」「夜眠りにくい」などの症状は、隠れ低血糖の可能性があるそうです。

 蒼野の外来でもよく聞く訴えです。採血でも、大きな異常値は見つからず、脳にも異常は認めません。今まで蒼野は生活歴を聞いて、ストレスが多いようなら、うつ病や、うつ状態を疑っていました。投薬としては、漢方での調節とし、食事、運動、睡眠の指導を行っていました。訴えが強ければ軽い抗うつ薬や抗不安薬なども考慮します。

 本を読むと、隠れ低血糖は思った以上に多く、うつと間違われることが多い状態のようです。ベースには糖質まみれの現代生活があります。糖は脳の報酬系に直接働いて、美味しく感じ、繰り返し食べたくなり、中毒になりやすい食べ物です。おまけに価格も安いため、まさに主食です。外食から、お惣菜、普通は糖が加えられないような料理にまで、糖が加えられていたりします。

 寿司のシャリにも砂糖水を少し加えると、美味しく感じるといいます。大衆向けに売る側からすれば、加えないで戦うのは不可能だと思います。テレビのバラエティやグルメ番組では必ずスイーツが特集され、B級グルメも糖質、炭水化物の塊であることが圧倒的に多いのです。外食やお弁当でも、糖質、炭水化物を抜いて満足できるものはほとんど無いのでは無いでしょうか?

 糖質を沢山摂ると、食後に血糖が急上昇します。高血糖は血管を傷めるため、身体は急いでインスリンを大量に分泌します。すると今度は急に血糖が下がってしまうのです。反応性低血糖症と呼ばれ、糖質を沢山食べれば誰にでも起こることです。場合によっては3~4時間後に空腹時の半分にまで下がることもあります。

 低血糖状態となると、身体のエネルギー不足の状態となり、だるさや疲れ、眠気などの原因となります。脳のエネルギー不足も同時に起こるため、気分の落ち込み、やる気の低下、イライラするなどの症状も現れるのです。

 低血糖発作に反応して今度は、血糖を上げるホルモンが大量に分泌されます。メインは副腎皮質から分泌されるコルチゾールです。コルチゾールは糖、タンパク、脂質の代謝に関わっており、ストレスに対抗し、身体の炎症を抑えてくれるホルモンです。コルチゾールが筋肉を分解し、アミノ酸から糖新生を行います。

 また血糖を上げるアドレナリンやノルアドレナリンも副腎髄質から分泌され、肝臓のグリコーゲンを糖に変えます。一緒に交感神経の働きが高まり、心臓がバクバクと動悸を打ち、手足が痺れたり、筋肉がこわばったりしやすくなります。身体は戦闘モードとなり、イライラや落ち込み、不安、恐怖なども出てきやすくなるのです。

 インスリン分泌が多くなるとそれだけ太ります。またコルチゾールが沢山出ると、太りやすくなるため、ダイエットも難しくなります。もちろんリバウンドもしやすくなるのです。食事の量はそれほど増えていないのに、太ってくるというのは、血糖スパイクを作るような食べ方が原因であることが多いのです。

 食事をとった後も血糖値が上がらない無反応性低血糖症という病態も見られることがあります。10~30代前半の人に多いのですが、血糖値が上がらないため、常に脳も身体もエネルギー不足となります。だるくて、疲れやすく、メンタルも不安定で、日常生活に支障をきたします。

 糖質過多の生活で、膵臓が過敏に反応するようになり、食べた後のインスリン分泌の速度が上昇することで血糖が上がらなくなります。常に副腎から血糖を上げるホルモンが分泌されるため、交感神経優位の失調状態となり、上記の不定愁訴が乱立することになります。

 糖質過多の生活で、膵臓が酷使されるのは皆様もご存じだと思いますが、このように副腎も酷使されます。副腎疲労症候群と言って、副腎機能が低下してしまうと日常に必要なコルチゾールまで、分泌ができなくなってしまいます。ストレスに弱くなり、メンタルの不調や不眠、倦怠感などの原因となり、免疫抑制効果も低下するために、アレルギー疾患も増悪します。

 ヒトの体内リズムでは、朝コルチゾールが分泌されて高まることで、交感神経優位となり、昼間元気に活動する事が出来ます。夕方から夜にかけてコルチゾールが減ってくることで、副交感神経が優位となって、しっかり眠り、栄養を吸収して、疲労を取り、身体を回復させることができるのです。このサイクルが壊れると、さまざまな不調が現れます。

 これで糖質過多の食生活と、隠れ低血糖、副腎疲労とメンタルの不調、アレルギー疾患の関係がお分かりいただけたのではないでしょうか? 症状改善のための抗うつ剤や抗アレルギー剤の投与だけでは治らないのも納得できます。近年うつや不安障害などのメンタル疾患は急増しています。しかしその8割に隠れ低血糖が関与している可能性が指摘されています。

 低血糖が起こると糖質が欲しくなります。すぐにお腹が空いて、10時のおやつ、3時のおやつが必要な人は、隠れ低血糖の可能性が高いです。糖質が頻繁に必要となることで、糖質中毒、糖質依存症が完成します。意識しなければ抜け出ることができなくなるのです。

 治すためにすることは、過剰な糖質摂取を止める事だけなのです。食べ方も工夫して、食後高血糖を防ぎましょう。食事の順番としては、ベジファーストで食物繊維を先に入れる、または食が細い人では、タンパク質と脂肪から摂取するのがお勧めです。必須アミノ酸と必須脂肪酸というものがあって、これらは生きてゆくためには食事で摂るしかありません。必須糖質というものは無いのです。

 あまり食べれない人に関しては、必要なタンパクと脂肪から食べ始める方が良いようです。隠れ低血糖の落とし穴としては、健康に気を配って昔の知識で、和食の粗食にしている方です。ご飯中心に食べてしまうと、糖質過多になっている可能性があります。おかず中心の食事に変えてゆくべきです。食事の最後に糖質を少し入れるのは構いません。

 糖質依存の状態で食事を変えると、糖新生ができにくくなっていることもあり、最初はだるさがひどくなったりと調子が悪くなります。調子が悪くなることで、隠れ低血糖が証明されるということでもあります。しかしそこを頑張って地道に続けると、抜け出せます。

 食事のポイントが5つあります。

1、高タンパク、高脂質、低糖質食にすること、カロリーは考えなくても太らず、慣れると食欲も落ち着きます。

2、最初に食べるのは、食物繊維、タンパク、脂質からです。

3、最後にご飯などを少量食べます(茶碗半分くらい、または同等のスイーツも可)。

4、最初のきつい間は、ナッツや煮干し、ゆで卵、焼き鳥などのおやつで乗り切り、お腹が空かなくなったらやめます。

5、腸の健康のために小麦のグルテン、牛乳のカゼインと乳糖は控えます。

 蒼野も思い出してみると、糖質制限していなかった頃は、時々イライラすることがあって、たまに家族に対して怒ったりしていたなあと思います。今は全く無いので、やはり低血糖の影響があったように思います。

 夕食の糖質も控え目にしているのですが、昨日はたまたま塩豆大福があって食事の最後に食べました。するといつもは目が覚めない夜中2時に目が覚めました。今日読みながら、食後の低血糖で交感神経を刺激するホルモンが出た影響なのだろうと推測しました。

 自分の食べた物の影響が、少しずつ自覚でき始めている蒼野でした!

参考書籍: 疲労も肥満も「隠れ低血糖」が原因だった      溝口 徹

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