食べ放題の科学!

2022/05/22

 今日は食べ放題についての考察です。蒼野は昨日久しぶりにリアルでの漢方の勉強会に出席しました。コロナ以前には勉強会という名の集まりは、数多く催されており、勉強会の後には懇親会がセットでついていたものです。昨日も懇親会は無しでしたが、ここ2年くらい、懇親会での食べ放題はしていないなあと思い出しました。

 コロナ以前は、新薬の勉強会などが、ホテルで行われることが多く、終わればホテルの立食で、好きなものを好きなだけ食べても、飲んでも良いことがほとんどでした。根っからの貧乏性である蒼野は、ただでの飲食は大好きで、ダイエットを心がけていたにも関わらず、その日は特別ということにして、お腹がいっぱいになるまで詰め込んでいたのです。

 今冷静になって考えると、決して身体に良いことはありません。自分でお金を出していないので、元を取る必要もないのですが、目の前に様々な料理が並んでいると、赤ワインを片手に、気がつくと全料理の味見をしてしまっていました。普段では有り得ない食欲ですよね!

 食欲をコントロールする脳の仕組みには、大きく分けると2つあります。1つは代謝調節系食欲コントロールです。これは動物にも共通の、脳にある満腹中枢と摂食中枢によってコントロールされるシステムです。血糖値や遊離脂肪酸を感知して、空腹ホルモンや満腹ホルモンが、視床下部の中枢に届くことで、「お腹が空いた」「お腹いっぱい」と感じます。

 もう一つは認知調節系食欲コントロールです。こちらは脳の前頭葉、海馬、扁桃体の働きで記憶や習慣によって左右される食欲です。美味しいものなら、お腹がはち切れるまで食べたり、デザートが別腹だったり、ストレス発散のために気持ち良くなる為に食べたりします。人間はこの食欲があるために食べ過ぎるのです。

 これは元々、人類の飢餓の歴史を乗り越えるために備わったシステムの一つです。果実の沢山なった樹を見つけたら、原始人は自分のキャパシティギリギリまで食べたのです。適度に食べて、翌日また食べようと思っても、次の日にはもう無くなっている可能性は高いのです。エネルギーが得られるチャンスを逃したら、死んでしまうかもしれません。

 蒼野は目の前に美味しそうなものが並んでいると、好奇心もあり、全部を味見しないと気が済まないのです。しかし今考えると、大好きなステーキや天ぷら、鰻なんかも、次から次に食べていると、めちゃくちゃ美味しかったという記憶が残っていません。食べる前が一番ワクワクして楽しい時間だったような気がします。

 ワインも4~5杯飲むと、次の日になれば、何を食べたかもそれほど覚えていません。胃のもたれと、食べ過ぎてしまった軽い罪悪感が残ります。そして日頃は糖質制限を頑張っているにもかかわらず、年々増えてくる、お腹周りの浮き輪が減ることは無かったのです。懇親会が無くなったことで、健康リスクが減ったのなら、コロナ様さまです(笑)。

 食べ過ぎの、影響を考えてみましょう。食べる量が多ければ、消化するのに時間とエネルギーが必要となり、どうしても胃腸や肝臓などに負担がかかります。特に夜、食べすぎてしまうと、食べ物の消化のために、内臓が寝ている間も酷使され、睡眠の質も低下します。

 糖質制限をしていたにも関わらず、蒼野は生クリームが大好きなので、締めには沢山並んでいる小さなケーキを数個食べていました。糖質も十分摂っていたと思います。アルコール、糖質と脂質で、身体の中は中性脂肪値が上昇し、糖化も進み、血はドロドロになって血流が悪くなり、活性酸素が出まくっていたのではないでしょうか?

 現代社会で餓死することはあり得ないので、食べ盛りの中学生や高校生ならともかく、ある程度の年齢の大人は、食べ過ぎれば身体に良いことは何もないと思います。いかに食べ過ぎを防ぐかが大事ですよね! 認知脳、報酬脳をコントロールして、視床下部の命令で食欲をコントロールすることが鍵になります。

 「次は何を食べようか」という期待感は、食欲増進につながります。逆に同じものばかり食べると、食欲は抑制されるようです。1992年にアメリカの心理学者が行った実験によると、唾液量を測りながら、チーズバーガーだけを食べさせると、唾液分泌は徐々に減少しながら、平均4.5個で満腹となりました。その後さらにチーズバーガーを食べてもらうと、唾液はさらに減少しました。しかし、さらにピザに変えた群では、唾液分泌が上昇したのです。

 種類が違うものが並んだ、ビュッフェで沢山食べてしまうのは、脳が満腹感を感じにくい状況になっていることを認識しましょう。また一人で食べる食事より、会話を楽しんだり、精神的に高揚している時には「オレキシン」という脳内物質が分泌されます。オレキシンをラットの脳内に投与すると通常の6~10倍のエサを食べるようになるのです。恐ろしいですよね!

 食べ放題の前の食事内容でも、食べれる量は変わるようです。テレビでの実験レベルなのですが、同じくらい食べる人を、昼食抜き、昼食は和定食、昼食がトンカツ定食に分けて、焼肉食べ放題に行ってもらうと、トンカツ組が一番沢山食べれたとのことです。

 ヒトは空腹になると、体内の脂肪が分解されて、遊離脂肪酸が血液中に出てきて、脳の摂食中枢が刺激され、食欲を感じます。食べ放題の前の食事でトンカツなどの遊離脂肪酸が出やすい食事を食べていると、脳が飢餓状態だと感じて、食べ放題の量が増えるという結果になったようです。

 また飲み物によっても食べれる量は変わります。炭酸水と水、ジュースで比べると、炭酸水が一番沢山食べられます。炭酸水の二酸化炭素が、胃の血管を拡張させ、消化管の蠕動運動が活発になることによって、胃から腸への移行がスムーズになることが原因のようです。アルコール自体にも食欲を増す効果があるため、ビールやハイボールは、食欲増進作用がとても強い飲み物なのですね。ビール腹の理由が、さらに納得いきました。

 また脳の認知による食欲についても、回転すし店の食べ放題で、「食べ終わったお皿を、積み上げていく」のと、「お皿を、片付ける」のとではかなり違うそうです。お皿が目の前にないと、食べた量を脳が認識しないため、まだまだ食べられると勘違いして、食べる量が増えるそうです。
血糖値が上がるのには少し時間がかかるため、満腹の信号が伝わる前に食べ過ぎるのだと思います。

 こう考えると、食べ放題のビュッフェには、いつも以上に食べてしまう要素が満載になっていることがわかりますね! 自分でお金を出す食べ放題はさらに元を取ろうという気持ちまでが、食欲に乗ってきます。しかし飲食店も商売ですので、フードファイターでもなければ、元が取れるほどは食べれないシステムになっています。

 食材の値段を抑えるために、保存液につけたり、消毒液につけたりすることで、野菜にも栄養が残っていません。料理にも高い食材は使われておらず、味を改善するための添加物が満載だと思います。身体に悪いものを食べ過ぎ、健康リスクを増すのは最悪だと思いませんか? 

 かといってシニア世代の蒼野も金輪際ビュッフェに行かない訳ではありません。マインドセットを変えて臨みたいと思います。それは「食べない放題」です! 沢山の自分の好きな物だけを、ゆっくりと、食べられる量だけ食べるということです。コース料理でもこれほど多種類の料理が食べられる場所はないので、それを楽しみにゆくというマインドです。若い人がいっぱい食べるのを見るのも楽しみです。

 脳が勘違いしないよう、本能のままに食べない習慣をつけたい蒼野でした。

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