今日は体内時計が狂った時の対処法について書いてみます。サーカディアンリズム(概日リズム)は人間の健康にとって本当に大事である事が分かってきました。太陽が昇ったら目覚め、暗くなったら寝るというのは、太古の昔から人類がおくってきた営みです。
人間の細胞には、体内時計があって、その時計に従って、ホルモンや脳内伝達物質などの分泌が行われ、自律神経もコントロールされています。リズムが狂うと、必要なタイミングで、必要な物質が分泌されなくなり、自律神経のコントロールもバラバラになってしまいます。身体中の体内時計がちゃんと同期している事は、健康にとって必須の条件なのです。
具体的には、体内時計が狂っていると、朝のセロトニンが上昇せず、昼間ののアセチルコリンが上昇しないために、本来のパフォーマンスが発揮できません。夜はメラトニンが上がらないために、リラックス出来ずに不眠になり、免疫力が低下し、新陳代謝も低下するため、疲れが取れなくなるという事です。
研究でも睡眠相後退症候群のような、体内時計が狂った状態になると、メンタル疾患、脳梗塞、心筋梗塞、高血圧、糖尿病、癌、自律神経失調症や更年期障害まで、ありとあらゆる病気のリスクをあげてしまうのです。
しかし現代生活では体内時計は狂いやすくなっています。休みの日に普段の日よりも起きるのが90分以上遅くなる方、休み明けの月曜から水曜くらいまで、何か調子が悪く、すっきりしない方などは、体内時計が狂っていることを疑って、リセットを心掛ける必要があります。
14894人の学生を2年間、デジタルデバイスへのログイン記録によって活動時間を割り出した研究によると1)、62%が体内時計に合わない生活を送っていました。そして概日リズムとのずれが大きくなるにつれて成績が悪くなっていました。体内時計が狂う生活では、パフォーマンスが下がることが証明されました。
地球の自転では1日は24時間です。しかしヒトの体内時計は、24時間10分前後であるため、リセットを繰り返していかないと、どんどん狂ってしまうのです。人にはクロノタイプと言って、朝型、夜型、中間型、夜型のショートスリーパーが居まることが分かっています。朝から学校や会社が始まる現代生活には夜型の人間が不利であり、体内時計が狂いやすいこともわかっています。
群れで暮らしていた原始人の時代は、敵から群れを守るために、誰かが起きて見張っている必要があったことから、クロノタイプの遺伝子が受け継がれてきたという説が有力なようです。この辺は以前のブログに書きましたのでご参照ください。
夜型の人は夕方くらいからパフォーマンスが上がり、力が出てくるタイプなので、現代の生活スタイルに合わせるのは難しいのです。運動能力についても、クロノタイプの影響は大きいのです。朝方は午前中の後半、中間型はお昼の0時から3時、夜型は夕方から夜にかけて能力がピークになり、時間によってパフォーマンスは26%も変動します2)。
しかしたとえ夜型や、ショートスリパーであったとしても、睡眠時間はそれぞれ7時間と6時間程度が必要なのです。遅く寝ると言っても0時を超えると、昼間の時間への影響が大きくなります。つまり、夜更かししている人は、自分で気づいていないだけで、昼間のパフォーマンスが26%も体内時計の影響で低下している可能性があるのです。
これで体内時計をリセットする必要性については分かっていただけたでしょうか? それではその方法についてお伝えします。体内時計は、脳の視神経につながる視交叉上核が司る主時計と、各種臓器など、全身の細胞が刻んでいる副時計があります。主と副をどちらもちゃんと同期させるのが重要なのです。
リセットの引き金になるものは太陽の光と食事です。朝になって太陽の光を20分浴びることで、体内時計はリセットされ始めます。起床後1時間以内に散歩するのは、これ以上無い良い健康習慣です。出来ない人は最初はベランダでコーヒーを飲む事からで良いので、太陽光を目に入れましょう。
食事については、蒼野のように16時間断食をしている人はどうしたら良いのかというと、固形物ほどのリセット効果は無いものの、規則正しく生活していれば、朝飲み物を500~1000mlをしっかり飲みさえすれば、消化管への刺激によってリセットのスイッチが押されるようです。蒼野も毎日緑茶とコーヒーを合わせて500ml以上は飲んでいます。もちろん常温の水でも大丈夫です。
夜更かしした後や、時差ボケ状態の時にしっかり戻したい時には、水分では効果が弱いため、やはり朝ごはんが重要になります。バランスの良い、和食の朝ごはんはとても良いです。リセットの強さは、食べる量に比例するため、朝からガッツリ食べると良いのです。
リセット力が強いのは、GI値の高い炭水化物やタンパク質です。インスリンをたっぷり出せば、脳と内臓の細胞に働いて、時計を合わせて行ってくれるのです。朝ご飯のリセット効果を上昇させる方法がもう一つあります。朝ご飯前の断食時間が長い程リセットが効きます。つまり夜食を食べた翌日の朝ご飯ではリセットは効きにくいのですが、夜断食して、朝ごはんを食べるとばっちりリセットできるのです。
リセットしやすくなる食べ物というものも存在します。レモンに含まれるリモネンという香り成分がリセット効果が強いということがわかっています。昨日書いたレモン緑茶は、16時間断食の時に、体内時計をリセットしてくれると思います。しばらく愛飲してみようと思います。
また漢方の生薬でも内臓のリセット作用があるものが報告されています。猪令という水毒に効く生薬は、腎臓の体内時計をリセットしてくれます。また柴胡という生薬は肝臓の体内時計をリセットする作用があるそうです。これも断食時には応用できそうです。
疲れている時なら、補中益気湯に入っている柴胡を利用したり、むくみがある時には五苓散を朝飲んだりするのは、体内時計のリセットにもなるということになります。これも断食中のリセットに使えそうな方法です。子供の睡眠相後退症候群には、苓桂朮甘湯がよく効きます。
それから運動でも体内時計はリセット出来ます。朝すっきりしない時には、早歩きや階段の上り下りを10分ほどやってみましょう。10分間の階段昇降は、朝のコーヒーよりも覚醒効果、リセット効果が優れています。食前に行えば、オートファジーを活性化し、アンチエイジング効果が期待されます。食後に行えば、ダイエットが楽になります。お好みで選んでくださいね。
今のところ規則正しい生活が送れている、朝方タイプの蒼野です。夜型タイプやショートスリーパーは、大変だと思いますが、特に体内時計のリセットを意識して生活すると、日中のパフォーマンスが上がってくると思います。皆様忙しいとは思いますが、生活リズムの意識が健康長寿につながりますので、意識してゆきましょうね!
昨日日本代表がコスタリカに負けて、少し遅くまで寝れなかったので、夕食は軽く抑えました。明日の朝食でリセットしたいと思っている蒼野でした。
参考文献:
1)3.4 million real-world learning management system logins reveal the majority of students experience social jet lag correlated with decreased performance. ; Scientific Reportsvolume 8, Article number: 4793 (2018)
参考書籍:
2)最良の効果を得るタイミング :4つの睡眠タイプから最高の自分になれる瞬間を知る マイケル・ブレウス
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過去ブログ:
https://blue-zone-life.com/1486-2/
https://blue-zone-life.com/朝型人間、夜型人間/
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