鼻呼吸は万病を治す!?

2022/12/01

 昨日は呼吸の免疫の関所である上咽頭のお話だったのですが、空気がそこを通らなければ、免疫力も発動できません。人間は鼻呼吸で生きることで、鼻毛や上咽頭で、空気中のゴミや細菌、ウイルスなどを身体の中に入れないようにできています。鼻呼吸が基本であり、鼻呼吸で生きることは、健康にとって大きなメリットがあります。

 しかし日本人では大人の7割、子供の8割が口呼吸だそうです。口呼吸は様々な疾患の原因になりうるのです。しかし自分では意識できている人は2割程度と、気付いている人が少ないのが現状です。今日は健康のために、鼻呼吸を習慣にしましょうというお話です。

 ヒトは鼻でも口でも呼吸はすることが出来ます。口で呼吸するのは、邪魔するものが無いため楽なのです。しかしそのまま汚い外気が気管に入り、肺に達する事になります。口で呼吸すると口腔内が乾燥する上、扁桃腺や咽頭粘膜に直接細菌やウイルスが届き、炎症が起きやすくなります。そこで免疫力の浪費が起こることで免疫力が低下してしまいます。

 美容にも影響が出やすくなります。いつも口で呼吸していると、口は開いているため、顔面の表情筋も緩んでいます。出っ歯になりやすく、歳と共に顔面の筋肉が衰えると、顔が弛み、二重顎にもなりやすくなります。老け顔の原因にもなりうるということなのです。

 鼻が詰まっているのに、一生懸命鼻だけで呼吸する人はいないと思います。近年花粉症など4人にひとりは常に鼻呼吸がしにくい状態になっています。呼吸をする時に、呼吸の抵抗の8割は鼻を通る時に生じます。抵抗が強くなると、無意識のまま口呼吸になってしまうのが問題なのです。

 また寝ている時は副交感神経優位になっており、副交感神経が優位な状態では、粘膜は分厚くなりやすいため、鼻が詰まりやすく、抵抗が大きくなり、口呼吸になりやすいのです。さらに顔面の筋肉、特に顎の筋肉が衰えると、口は開けっ放しになりやすく、口呼吸になりやすくなります。また噛み合わせが悪いと口は閉じにくくなります。

 日本人はもともと顎は小さめで、肥満などが加わると、気道が舌根が落ちてきて閉塞しやすく、睡眠時無呼吸症候群の状態になっている人は、少しでも抵抗を減らすために口呼吸になっています。成人男性の約3~7%、女性の約2~5%にみられると言われています。いびきが大きい人は要注意です。

 コロナ禍になって日中はマスクをしていることもあり、表情筋を動かす頻度は減っています。顔面の筋肉が衰えることで、口呼吸になりやすくなります。朝喉がカラカラに乾いているようだと、口呼吸を疑うべきです。スマホ等で下を向く姿勢が多く、猫背になり口が開きやすくなっていることも大きく関係しています。若い人では固いものを食べなくなったのもリスクになっています。

 蒼野自身で考えてみると、リスクは高く、知らないうちに口呼吸になっていたように思います。スギヒノキ花粉症ですし、毎日ではないですが喉がカラカラになって起きることもあります。いびきも指摘されたことがあり、睡眠外来で、調べてみると軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群でした。

 口呼吸は様々な疾患の原因に繋がっています。口が乾くことで、唾液による抗菌作用が行き渡らず、歯周病菌や虫歯菌が増えやすくなります。口臭が出て、歯周病や歯肉炎、虫歯も増えるのです。また菌は歯肉から全身に回り、全身の慢性炎症や、認知症の原因を作ります。扁桃腺が腫れやすくなり、慢性扁桃炎を繰り返すと、IgA腎症の発症に繋がることもあります。

 風邪などの空気感染で起こる病気に罹りやすくなり、口腔内、咽頭、気管支などで炎症が起こりやすい状態で過ごすことになります。これは関節リウマチや気管支喘息、一見関係ないと思われるようなアトピー性皮膚炎やうつ病、過敏性腸症候群なども増やすことが分かっています。

 つまり口呼吸で過ごすことは、ずっと身体にストレスを与え続け、病気の原因を作り、身体を老化させているとも言えるのです。なるべく鼻呼吸を多くするように、習慣を取り戻す必要があります。

 鼻呼吸に変えることで、生活の質は高まり、集中力がアップし、疲れにくくなります。鼻呼吸に変える意識を持って生活してゆきましょう。やり方としては舌の位置を意識しましょう。舌が口腔内の天井に付いていて、空気の通り道を塞いでいれば、鼻呼吸をせざるを得ません。これが正しい舌の位置です。

 しかし舌の筋肉が衰えて弱くなると、舌の位置が下がってしまい、口呼吸になりやすくなります。また表情筋が弱ると、口は開きっぱなしになりやすくなるのです。舌も顔面も筋肉ですから、鍛えれば強くなります。顔のトレーニングをする人は少ないのですが、毎日効果的にトレーニングを行い、鼻呼吸を意識すれば、徐々に口呼吸を卒業できます。

 トレーニングの方法は、みらいクリニック院長として、予防医学を追求されている今井 一彰先生が提唱されている「あいうべ体操」が有名です。声は出しても出さなくても良いですから、大きく口を開けて「あ」、口を横に広げて「い」、口を尖らせて「う」、舌を思い切り出して「べ」です。この4つを1日計30セットやっていると、口が閉まりやすくなり、舌の力が付いて口呼吸がしやすくなります。

 特に加齢によって、全身の筋肉が落ちると、口周りの筋肉も落ちてしまい、高齢者の死亡原因として非常に多い、誤嚥性肺炎のリスクが上昇してきます。あいうべ体操を習慣にすることによって、そのリスクも低下するのです。蒼野もお風呂とか、誰も見ていない道を歩いている時とかにちょこちょこやっています。

 寝ている間に関しては、意識できないため、「マウステープ」の仕様が薦められます。うつ伏せや横向きで寝る時には口は開きやすくなります。疲れが溜まった時にも口呼吸になりやすくなります。起床時の喉のヒリヒリ感などがある人は、口が開かないようテープで止めてみましょう。医療用のテープを5cmほど口の真ん中に貼るだけです。

 鼻呼吸で生活し、病原体は上咽頭でブロックし、1日2回の鼻うがいで洗い流すというのは、ポストコロナを健やかに過ごすためにも、健康長寿のためにもとても重要な方法だと思います。今まであまり意識してきませんでしたが、舌をしっかり天井につけて口を閉じて鼻呼吸で過ごし、「あいうべ体操」と「マウステープ」を習慣にしたい蒼野でした!

参考書籍:  薬に頼らない新時代の医学   今井 一彰  

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