世の中には様々なサプリメントがあるのですが、コロナ禍で注目を集めている、５アミノレブリン酸（5-ALA）について、今日は紹介したいと思います。こんな時期ですから、飲むだけで感染率が下がるもので、副作用がない物があれば、知っておいても良いと思います。

　長崎大学の研究で、本年4月8日に国際学術誌「Tropical Medicine and Health」に掲載された研究があります。オミクロン株を用いて、培養細胞における感染実験を行った結果、5-ALAが濃度依存的な感染抑制効果を示したという結果です１）。

　5-ALAというのは、天然で合成されるアミノ酸でこれまでの研究でも、新型コロナウイルスのデルタ株を含む 4 種の変異株の感染を、培養細胞において一定の濃度以上で完全に抑制するというデータが出ていました２）。そして明らかな細胞毒性も今までに確認されていません。

　5-ALAは、体内に入ると速やかに代謝され、プロトポルフィリンⅨという物質に変わり、これが鉄と結合することで、ヘムという物質に変わります。あのヘモグロビンのヘムです。このプロトポルフィリンⅨとヘムがウイルスのスパイクタンパクの表面にくっついて塞ぐことで、ウイルスは細胞と結合できなくなるため、細胞への感染が起こりにくくなります。

　また細胞内に入っても、ウイルスのグアニン四重鎖構造に、ヘムやプロトポルフィリンⅨが結合すると増殖ができなくなります。またヘムを分解する酵素が誘導されますが、この酵素には抗炎症作用があるため、サイトカインストームを防いだり、後遺症を防いだりする効果があると推測されています。

　元々5-ALAは、私たちの細胞内のミトコンドリアで生産され、エネルギー生産の効率を高めて代謝アップに働く成分です。ミトコンドリアの数を増やすと同時に活性化し、ATP産生を促進する作用のある、エネルギーの潤滑油とも言える物質なのです。

　17歳をピークに、その後下降の一途をたどります。しかも体内での貯蔵量は非常に少なく、外から摂取しても瞬時に体内で消費されてしまうため、不足しがちであることがわかっています。5-ALAが減ってくると、老廃物が溜まり、筋肉が衰え、体温が下がって、病気になりやすくなります。代謝も落ちるので太りやすくもなります。

　生活習慣も密接に関係しており、睡眠不足や、運動不足、過労、飲酒、喫煙、食生活の乱れなどで低下してゆきます。5-ALAは、様々な食材に含まれています。タコ、イカ、バナナ、ピーマン、ほうれん草や巨峰。また発酵食品の醤油、納豆、日本酒、黒酢、ワインなどに入っています。普通に食べると1日３mg程の摂取が可能です。特に甘酒に多く含まれています。

　やはり効率的に摂取するにはサプリメントが確実なようです。かつて5-ALAは、研究の試薬にしか使われておらず、重さで言えばプラチナよりも高価な成分でした。しかし最近工業的に大量生産できるようになり、長崎大学が使った日本製の5-ALAでも、50mg/日で１カ月分のサプリメントが3500円程度です。

　オミクロン株は、5-ALAおよび5-ALA＋鉄剤（クエン酸第一鉄ナトリウム）で感染抑制効果が確認されています。女性では鉄不足の人も多いため、5-ALAと同時に鉄剤を飲んでおく方が安心かもしれませんね！　5-ALAの感染抑制の作用メカニズムは、前述のように、細胞への侵入阻止、ウイルスの複製阻害など複数あることから、今後の変異株に対してもある程度効果が、期待できると考えられます。

　5-ALAは、細胞のエネルギーを回復してくれる成分であるため、感染予防だけでなく、様々な分野で使われています。まずは化粧水です。皮膚から吸収された5-ALAは皮膚細胞のATPを増やし、その代謝の過程で水と二酸化炭素を出します。この水は代謝水と呼ばれ、年齢と共に減ってゆく細胞内の水分を増やしてくれます。皮膚細胞の水分が増えれば、シワが改善しやすくなるのです。乾燥のひどいアトピーにも有効です。

　これを頭皮に応用すると、5-ALA入りの育毛剤によって、加齢によってエネルギー不足になった、毛母細胞やメラニン産生細胞の元になる幹細胞のミトコンドリアを増やし、これらの細胞を活性化することで、発毛促進効果が認められているのです。

　また大人ニキビの治療にも応用されています。20歳以下のニキビは、皮脂の過剰分泌が原因となることが多いのですが、大人になると毛穴周囲の角質が厚くなって、毛穴が塞がる角栓によって出来やすくなります。出口が詰まって溜まった皮脂にアクネ菌が増殖して炎症を起こすのです。

　5-ALAを塗ると、毛穴や皮脂腺周囲に集まりやすい性質があり、その部分でプロトポルフィリンⅨに変化し、光に当たると、活性酸素が発生し皮脂腺を壊し、アクネ菌を死滅させることで、ニキビが治りやすくなります。

　5-ALAと鉄剤を一緒に摂ると、ラットで内臓脂肪の減少が認められるという実験が、京都府立医大の研究で発表されています３）。ミトコンドリアが増えて、活性化されることで、脂肪からのエネルギー産生が増加します。またミトコンドリアで熱を生み出すUCPというタンパクも増加します。

　健常者が5-ALA＋鉄剤を内服した実験では、90分から150分後の酸素消費量が1.4倍、120分から150分の体温も1.3倍に上昇しました。基礎代謝自体が上がることで、内臓脂肪も減り、痩せやすくなるのです。UCPは動物が冬眠するときに脂肪燃焼で体温を保つタンパクです。

　これはメタボリックシンドロームを筆頭とする、生活習慣病にも良い影響が出る成分と言えますね。また体温上昇は免疫力アップにつながります。細菌やウイルスの感染だけでなく、体温が高いことでがん細胞も増殖しにくくなります。

　5-ALAを応用した悪性腫瘍への治療も、どんどん発達しています。これについては、長くなるので明日書かせて頂きます。蒼野が行っていた、過去の悪性脳腫瘍の治療を考えると隔世の感があります。

　ここで5-ALAの効果をまとめておきます。歳と共に低下してくるミトコンドリアの機能を高めてくれるという作用はめちゃくちゃ魅力的です。細胞の水分を増やし、保湿する肌のアンチエイジング効果が期待できます。髪を増やし、白髪を減らします。代謝が上がりダイエット効果が期待できます。内臓脂肪が減り、糖尿病予防やコレステロール、中性脂肪低下にも寄与することで、生活習慣病の予防効果もあります。体温が高くなり、免疫力アップ、感染にも癌にも強くなります。

　基本的にはアミノ酸なので、内服することでの副作用は考えにくいです。毎日だるい、朝が起きにくい、疲れが取れにくくなった、肌がカサカサ、貧血でふらつく、風邪をひきやすいなど、症状がある人は、5-ALA＋鉄剤を試してみませんか？

　先ほど、楽天お買い物マラソンで探し、思わすポチッてみた蒼野でした。

参考文献：

１）5-Aminolevulinic acid antiviral efficacy against SARS-CoV-2 omicron variant in vitro　　Tropical Medicine and Health　volume 50 : 30 (2022)

２）Antiviral activity of 5-aminolevulinic acid against variants of severe acute respiratory syndrome coronavirus 2　　：　Tropical Medicine and Health　volume50；6 (2022)

３）5-アミノレブリン酸(ALA)はラットの内臓脂肪蓄積を抑制する　　J-GLOBAL ID：201102288956161960

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