癌が治る!? ケトジェニックダイエットの威力!

2022/03/22

 先日のブログで、ケトジェニックダイエットが頭痛を改善する、というお話を書いたのですが、今度は、癌が制御できるかもしれない、というお話について書いてみたいと思います。

 がん細胞が主な栄養源としているのは糖質です。血糖値が最低限に維持できる体内環境では、がんは増殖しにくいことがわかっています。正常の細胞はケトン体をエネルギーとして利用できるのですが、がん細胞はケトン体が使えないため、エネルギー不足となり、兵糧攻めにすることができるのです。

 人間は炭水化物、タンパク質、脂質という三大栄養素が必要です。厚生労働省が作成した「日本人の食事摂取基準2015年版」では、推奨する三大栄養素の摂取割合(PFCバランス)は、炭水化物50~65%、タンパク質13~20%、脂質20~30%と明記されています。

 しかしこの割合に関しては、さまざまな意見があり、人間が最も健康でいられるPFCバランスについては、まだ議論の余地があると蒼野は思っています。炭水化物過多の食事は、人類の歴史の中で、農耕生活後の本当に短い期間で行われてきたものであり、DNAに合ったものではないと考えるからです。

 糖質を控え、脂肪を増やすケトジェニックダイエットは、古くはてんかん患者に応用され、効果が確認されてきました。長い歴史もあり、危険な食事法ではありません。近年はケトン食の継続によってがん患者の予後が改善する可能性が報告され、日本国内でもその臨床効果が注目を集めてきています。

 2011年ドイツのグループが末期のがん患者にケトン食を試したところ、QOL(Quolity Of Life)の改善が得られたとの臨床結果が報告され、以後、欧米ではケトン食の臨床効果のが研究されるようになりました。

 2013年からは、大阪大学医学系研究科・萩原圭祐特任教授が国内で初めて「がんケトン食療法」の臨床研究を開始しています。抗がん剤効果が期待できなくなった、末期癌であるステージ4の乳がん患者55名が研究に参加され、37名が5年間、定められたケトン食を続けました。

 驚いたのはその期間に、炭水化物の摂取を極端に控えた糖質制限食を指導したところ、まもなく3センチ大の腫瘍がほぼ消失。肺転移と皮膚転移の一部も消失し、QOL(生活の質)が大きく改善された患者様がおられたことです。

 27%でがんが消失して完全寛解状態となり、癌が30%以上消失した部分奏功が11.1%、癌の進行制御が44.4%、悪化は16.7%でした。完全寛解が部分奏効よりも多いのは、がんの顕著な縮小や転移巣の消失によって、通常は手術不能なステージ4にもかかわらず、手術に持ち込めた症例が多いためです。

 末期癌にも関わらず、完全寛解も含めた病状コントロール率が、ケトン食だけで83%になっているというのは、今までの常識では考えられないことであり、これまでの医学界の常識を覆したと言っても過言ではありません。今後も期待を持って研究が続けられる予定となっています。

 今回のケトジェニックダイエットメニューに関しては、和食ベースで考えられました。炭水化物を極端にカットする代わりに、健常者の約2倍のタンパク質を摂取します。主食は全てNG。良質なタンパク質と脂質をメインにした食事です。PFCはP=30%、F =60%以上、C=10%以下となります。

 青魚など魚介類の刺身は積極的に摂取するように勧めました。肉は、飽和脂肪酸の少ない鶏肉(皮はNG)や牛・豚のヒレ、モモ肉を選び、脂身の部分をできるだけカットして食べます。特に鶏の胸肉は、イミダゾールジペプチドという抗疲労成分が豊富に含まれていることから推奨しています。

 最初の1週間は糖質10g/日,2週~3カ月では,糖質20g/日以下,3カ月以降は,糖質30g/日以下としています.標準体重あたり30kcalを目安に、エネルギー補給に際しては,MCTオイル,ケトンフォーミュラを使用して、体内をケトジェニックに保つようにしています。

 タンパク質と脂質が多くなるケトン食では、便秘になる人が多くなります。炭水化物内の食物繊維が摂れないため、積極的に食物繊維や発酵食品を摂ることがポイントになるようです。食物繊維と発酵食品を多く取り入れることで腸内細菌に働きかけ、便通を整えると同時に、免疫力がアップする可能性があるのです。

 特に味噌汁などは、ホッとする食べ物でもあり、精神的にも、肉体的にも効果があります。日本人が受け継いてきている腸内細菌を考えても、手間ひまかけて作られた和食ベースでの献立が理想的であると考えました。欧米で良いといわれている食材の中には、日本人にはプラスにならない物がある可能性は高いと考えているのです。 

 がん患者様のそれまでの食生活を尋ねると、朝食はパンと答える人が多いとのことです。がんも体に合わないものを食べ続けたために、発症する可能性があります。例えば海苔は、海外の人が食べても栄養が吸収できません。日本人特有の腸内細菌によって、海苔のビタミンや葉酸が吸収できるのです。

 ケトン食の有効性を示す根拠のひとつにイヌイットの研究があります。魚やアザラシばかり食べる伝統的なイヌイットの食事は、炭水化物が少なく、脂肪とタンパク質の多いケトン食の近いものです。イヌイットは癌の発生率が極めて低いことが報告されていました。しかし1910年以降に欧米型の食文化が流入し、1950年代からは大腸がん、肺がん、乳がん、前立腺がんなど、先進国に見られるがんが急速に増加しています。

 ヒトは通常、睡眠中には血糖値が下がって、ケトン体が上昇するようにできていますが、加齢によって、睡眠中のケトン体上昇は低下することも観察されています。研究の結果と合わせて考えても、年齢が上がるとケトン体が減少するので発癌しやすくなるのではないかという仮説も立てられています。

 ケトン体は体内の慢性炎症も抑えてくれます。またアルツハイマー型認知症になると、脳細胞は糖質をエネルギーとして取り込めなくなりますが、ケトン体は取り込めるため、ケトン体の血中濃度が上昇すると、認知機能も改善することがわかっています。

 ケトジェニックな体内環境を保つためには、糖質制限が必須です。余分な脂肪が燃やされるため、メタボリックシンドロームの改善も容易です。血糖スパイクが起こらないため、空腹にもなりにくいので続けやすいダイエットです。蒼野もゆるく続けてもう10年以上経ちました。

 癌や認知症になりたくない人、メタボリックシンドロームを改善したい人は是非試してもらいたい食事法です。すごく速く痩せますよ!! 大好きで毎日糖質を食べている人には、少しハードルが高いとは思いますが、これからの健康法の革命にもなる食事法だと思うので、一度体験してもらいたいなあと思います。

 蒼野は家庭では主食は食べませんが、いまだに甘いものは大好きです。時々お楽しみとして食べながら、これからも糖質制限と、おかず多めの食事を続けてゆきたいなあと思っています。

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