人生100年時代に備える必要があることとか、コロナ禍で、筋トレがブームになっています。男性なら、逞しい胸板や肩、腕、逆三角形の後ろ姿や、6パックの腹筋が手に入ったら、アニメのヒーローみたいで、テンション上がりまくりですよね。蒼野も年甲斐もなく憧れたりします。
女性なら、スリムで引き締まったしなやかな身体、キュッとくびれて、川の字が浮き出たお腹には憧れるのではないでしょうか? その為には、自分にとって食事、運動、睡眠の、正しいサイクルを回し続けなければいけません。最近の筋トレブームの中、憧れて努力し続けるがゆえに、陥ってしまう『オーバートレーニング症候群』で挫折する人が増えている様です。
『オーバートレーニング症候群』とは、過剰なトレーニングを、長時間続けることによって、疲労が蓄積していき、回復できなくなった慢性疲労状態です。ボディメイクの大会など、目標があると、根性がある人ほど、自分を追い込みます。筋トレで、筋肉を効率よく肥大させるには、自分の限界まで頑張ることが必要です。
1回だけのトレーニングで発症することはありませんが、 しっかり休息するという意識を持たずに、ストイックに頑張り続けると、疲労が蓄積しすぎて、回復が追いつかず、日常生活でもだるさや重たさ、息切れなどの支障が出始めます。トレーニングのパフォーマンスが下がり、不調を感じ始めます。
『オーバートレーニング症候群』には、明確な診断基準がないため、深刻に捉えにくい病態です。不調は練習不足のためと考えて、調子を上げるためにさらにトレーニングに励んでしまう悪循環に陥いると、それこそ身体を壊すこともあるのです。食欲低下、手足のしびれ、体重の減少や、不眠や不安、集中力低下まで出てくることもあります。
蒼野も15年ほど前に、ゴルフに熱中し始めた頃、やればやるだけうまくなる様な気がして、打ちっぱなしで毎日500球打っていました。その結果頚椎椎間板ヘルニアを発症し、右手の親指から人差し指が痺れ、肩こりの痛みで動けなくなったことを思い出しました。今考えると『アホ!』としか思えません。
なので『オーバートレーニング症候群』になる人の気持ちはよく分かります。その頃は「トレーニングの知識が無かったなあ」と思います。性格としては、真面目で、ストイック、練習熱心な人がなりやすいと言われています。
チェック項目としては、休息時の頻脈や血圧変化、食欲不振や体重減少、メンタルの不安定、注意力低下、睡眠の悪化、長く残る筋肉痛、筋トレ記録の停滞などがそのサインとなります。あなたの身体や心が発するサインを見落とさないようにしましょう。
休息もトレーニングの重要な要素です。疲れきっている時にはしっかりと休みましょう。チームスポーツや、試合が近づいている時には、気持ちも焦ると思いますが、しっかり休まないことには改善しませんので、身体を動かしたくても、軽い運動も控える方が良いくらいです。
『オーバートレーニング症候群』にならないためには、自分の疲労度を、例えば5段階で評価して、記録してゆきましょう。疲労度が強い日が続く様なら、練習内容の見直しも必要です。最近では監督やコーチにもこういった知識が浸透してきており、野球でも、昔のように高校生のエースが肩を壊したりすることは減ってきている気がしますね。
また先日の佐々木朗希選手のように、2試合パーフェクトが掛かっていても、疲労度の判断で交代させるようになってきたのだと思います。無理をすると、『オーバートレーニング症候群』のために、競技を引退してしまうプロアスリートもいるからです。
運動慣れしていないと、疲労度の判断がつかないことも多いため、我々アマチュアレベルの場合は、余計に意識しておく必要がありそうですね! 『オーバートレーニング症候群』は市民ランナーにも見られる症状です。いったんなってしまうと、回復までに長い時間がかかることがあります。
オーバートレーニングの症状は、人によってさまざまですし、どれくらい休息すれば良いのかも、人それぞれです。蒼野も少しずつ筋トレの負荷は上げているつもりですが、先日はやり過ぎて、1週間くらい腰痛が続きました。休み過ぎも気にはなりましたが、特に大会を目標にしている訳でもないため、治るまでお休みし、事なきを得ました。
オーバートレーニングの回復は、休息以外に方法は無い様です。その期間は数か月から年単位に渡ることもあるとのことなので、十分に注意が必要ですね。せっかく思い立って、健康や理想の身体を目指しているのに、運動できなくなるのはとても悲しいです。
特に注意が必要なのは、パーソナルトレーニングだと言われています。2022年4月21日に、国民生活センターの方から、『パーソナル筋力トレーニングでのけがや体調不良に注意!』というレポートが発表されました。パーソナルトレーナーの個別指導で重傷を負う人が増えているらしいのです。
パーソナルトレーナーは、法的な資格義務はありません。鍛えて素晴らしい身体を作った運動経験を持つトレーナーでも、解剖学や運動生理学、栄養学など幅広い知識を持たずに指導する人も、中にはいたりもするのです。
国民生活センターによると、パーソナルトレーニングが原因で、全治1か月以上のケガをしたり、体調不良が続くケースが、2017年度には9件でしたが、2021年には33件に増加しているとのことです。腰椎の圧迫骨折や、椎間板ヘルニア、肩の腱板損傷、肋骨などの疲労骨折などが報告されています。
運動経験が少なく、自分の身体の声を聞くことに慣れていない、真面目な人は、トレーナーの指示や応援によって、痛みがあっても無理してしまいやすいのだと思います。骨粗鬆症が進んでいる方だったりすると、普通なら折れたりしない負荷でも、折れることもあります。
蒼野は高校生の時に、偏食だった同級生が、休憩時間にボールを投げただけで橈骨と尺骨が折れたというのを覚えています。本当にびっくりしました。逆にトレーナーの立場から言えば、それまでの食生活や、運動経験まで含めて考え、追い込む限界を見極めるのは、難しいことなのだと思います。
大きな怪我につながる人は、健康を意識し始める30歳代~40歳代で、女性が約9割(88.6%、93件、2021年)と圧倒的に多いとのことです。運動強度が低いと期待する効果が得られませんし、過度な運動強度だと身体を壊してしまうことがあるのです。
パーソナルトレーナーは、個々の依頼者にあった、適切な運動強度を見極めるスキルが求められます。しかし、高齢者や疾患を持つ人、運動不足の人は、処方すべき運動強度の範囲が非常に狭いため、見極めを誤ると事故につながってしまうということです。
蒼野も、健康長寿のピースとして、運動を指導してゆきたいと思っています。怪我につながらないように、でも効果が出るように、一人一人を見ながら、安全第一にやって行きたいと思います。
まだ自分のトレーニングでは、限界まで追い込んだことのない蒼野でした!
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