アクティブレスト

2022/05/02

 ゴールデンウィーク真っ只中の現在、皆様はどうお過ごしでしょうか? たまの長いお休みです。ゆっくり家でくつろいだり、ゲームを思う存分したり、ネットサーフィンしたり、NetflixやYouTubeの動画を見たりする人も多いのではないでしょうか?

 日頃の疲れを癒すための、こういう生活は、かえって脳の疲労の原因になってしまう事があります。ずっと休んでいたはずなのに、脳が疲れてしまうのです。体の疲労とは違うため、その回復には体の疲労とは別の対処が必要となります。今日は誰もが感じることのある、脳疲労について書いてみたいと思います。

 世界中の成人のおよそ20%の人が永続的な疲労を感じていると言われています。その半数に当たる10%は日常生活に支障が出るほどの疲労を感じているのです。疲労は身体が発するSOSの一種です。エネルギーもモチベーションも低下し、集中できなくなり、作業効率が低下します。病気のサインであることもあるのです。

 疲労には三種類あると言われています。肉体的な疲労は、身体がヘトヘトに疲れた状態です。タンパク質を中心に、エネルギーになる食べ物、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養をしっかり摂取し、十分な睡眠を取って回復を図ります。

 精神的な疲労は、ストレスを原因とする心の疲れです。気分が沈む、イライラする、食欲が無い、眠れない、不安になるなど、うつ病に繋がりかねない状態です。進行すれば心身症といって、頭痛や目眩、動悸なども伴う様になります。蒼野の外来にも沢山受診されます。

 これは脳内にセロトニンが枯渇した状態です。セロトニンの低下がうつの原因とも言われています。気持ち、考え方の切り替えと、楽しみを見つけること。朝太陽を浴びて散歩し、セロトニンを増やす事、良い腸内細菌が育つように食生活を変えてゆく事等がポイントになります。

 うつ病にまでなってしまうと、アメリカの4000例の研究では、あらゆる治療を1年間施しても、寛解率は67%だそうです。しかもそのうち半数は再発します。残りの33%程度は寛解も難しいのです。ストレスは溜め続けない、無理して頑張りすぎないことが本当に大切です。

 最後は神経的な疲労=脳疲労は、頭を使いすぎて起こる疲労です。楽しみで見たりする動画やゲームなどもやりすぎると脳が疲れてしまいます。勉強のし過ぎなどでも起こります。集中力がなくなり、理解力、思考力、記憶力、注意力などが低下し、作業効率が明らかに低下してしまうのです。

 脳疲労の回復には、脳の血流が重要です。脳血流改善という点からは、水分をしっかり摂ること、ガムを噛むことなども効果的です。サプリメントで、血管拡張作用のある『イチョウ葉エキス』を補給するのも良いと思います。蒼野も眠い時などに、時々使うのですが、頭がスッキリする気がします(私見です)。夜飲むと寝にくくなったりもします。

 夕方以降でなければ、5~30分以下の短時間の昼寝、コーヒーナップなどでも脳はリフレッシュします。これも最近背もたれが倒せるゲームチェアを、ブログ用に買ったので、能率が悪くなってきた時に試しています。本当に少し目をつぶって、うとうとするだけでも、作業効率が蘇ります。

 やはり現代生活では、座りすぎ、デスクワークでの疲労が多いのでは無いかと思います。ホットアイマスクや、首や肩を温める、マッサージする。湿布や軟膏や鍼を使うのも良い方法です。楽しいゲームをしていても、長時間、同じ姿勢で行うと、どっと疲れます。こまめな起立や肩回し、身体回しなどの体操は習慣にしてしまえば楽です。

 疲労について、分類して考えてみましたが、これらが絡み合った疲労も多い様に思います。食べて、寝るだけで治る肉体的な疲労以外の、精神的疲労や神経的疲労に対して、一番効果的なのは、アクティブレストと言われる休養です。これは意識して取り入れている人は少ないのでは無いでしょうか?

 アクティブレストは、元々はスポーツ選手が翌日まで疲れを残さないために生まれた疲労回復法で、運動後に軽く体を動かすクールダウンもアクティブレストのひとつです。いわゆる整理体操というやつですね。適度に体を動かして筋肉をほぐし、全身の血の巡りを良くして、酸素や栄養が体全体に届けて、疲労を回復するのです。

 軽度の全身運動を行い、呼吸循環器系を刺激し、酸素摂取を増やします。血流が良くなることで、疲労物質の排出も進み、硬くなった首や肩の筋肉もほぐれやすくなります。筋肉が収縮することで、逆に筋肉内にある動脈や静脈の循環も良くなります。

 運動はセロトニンやドーパミン、BDNFの分泌を促進するため、ストレスの緩和やメンタルの安定、脳機能の回復などの面でも、非常に有効です。自律神経も整いやすくなり、運動の後はリラックスして、イライラや不安がなくなりやすくなります。

 蒼野の外来でも、頭痛やめまい、全身倦怠などで悩む、疲れて忙しい社会人は問診すると、運動していない人が圧倒的に多いです。自分ができる範囲の、ハードではない、気軽に続けられる、やっていて気持ちの良い運動を選んで、アクティブレストを生活に取り入れましょう。

 息が上がらない程度の軽いウォーキングやジョギングは、手軽に始めやすく、おすすめです。蒼野も事故の後、毎日歩く様になってから、随分元気になり、疲れ知らずになりました。

 プールや入浴など、水に全身を浸ける方法も効果的です。無理に泳がなくても、水中歩行はとても有効な全身運動です。水圧によって血流が増える作用も期待できます。お休みには、温泉を訪れたり、日帰り湯を使ったりするのも楽しいし、心も身体も癒されます。

 仕事中、特にデスクワークであれば、30分~1時間に1回は椅子から立ち上がって、肩回し、身体回しをしましょう。頭痛体操とも言われている動かし方ですが、10回ずつやれば十分です。分かりにくければ、公式ラインで「コリ改善」と送ってもらうと動画をプレゼントしています。

 朝と寝る前にはストレッチがお勧めです。じっくりと筋肉を伸ばしてゆき、気持ちが良いと感じるところで20秒ほどキープします。これも蒼野は習慣にしています。朝は、ストレッチで身体が目覚めますし、夜は眠る前の合図となり、ぐっすり眠れます。

 とにかく、家で長時間、ずっと同じ姿勢で、ゲームやネットサーフィンや動画視聴をするだけの休日は、作らない様にしましょうね。自然の中に出かけるのは良いですね。アクティブレストを兼ねることもできますし、我々の中にある太古からの遺伝子によって癒されます。(12/1ブログ バイオフィリア参照)。ダブルの効果でとても良い休息になると思います。

 せっかくのGWです。休み明けにキツくならない様に、アクティブレストをぜひ試してみましょう。そして少しでも運動の習慣を取り入れる事ができれば、また一歩健康長寿に近づくことになりますね。

 昨日は、3時間日帰り湯に入って、その後アイスを食べながら、ゆっくり歩いて帰った蒼野でした。気持ちよかったー!!

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