今日は日本人の健康寿命をいかにして伸ばすかのヒントになるかもしれないお話です。エビデンスのある答えではないので、ゆるっと知ってもらいたい話題になります。健康寿命は、3年に1回行われる国民生活基礎調査から、「健康上の問題で日常生活に影響がない」と答えた人の割合や年齢別の人口、死亡者数などで算出されています。
日本人が介護なしに自分で自立して生活を送れる健康寿命と、実際に命が尽きる平均寿命の間には、男性で9.13年、女性で12.68年の差があることは、皆様もご存じのことと思います。平均的な生活をしていたら、蒼野も最後の9年は、寝たきりだったり、娘や妻の世話にならないといけないと思うと、避けたい気持ちでいっぱいになります。
厚生労働省による「47都道府県・健康寿命ランキング」によると、2019年は、男性は1位大分、2位山梨、3位埼玉、4位滋賀です。女性は1位三重、2位山梨、3位宮崎、4位大分でした。この中で三重や山梨、埼玉などは以前から上位におり、注目すべきはジャンプアップした大分や宮崎、男性は4位なのに、女性は46位の滋賀でしょうか? その理由を考えてみましょう。
まず上位安定で、今回女性トップの三重県ですが、アンケートでは、幸福を考えたとき、健康重視の考え方をする人の割合が多く、普段から健康に気を付ける県民性がありそうです。三重県が全国の生産量の6割を占めるアオサや魚介類の消費が多いことも関係がありそうです。
三重県内には全国で2160人居る海女のうち、最も多い973人の海女がいます。統計に影響するほどの人数ではないと思いますが、元気な高齢の海女の方もおられることで、年を重ねても活動的に生きる、という文化があるのではないかと、推測されます。
男女共に2位の山梨県は、がん検診の受診率が高く、健康志向の県民性が表れています。そして山梨県独特の『無尽』という習慣があります。山梨県では、男女関係なく、同級生や同じ趣味をもつ仲間が定期的に集まって懇親会をしたり旅行したりする習慣があり、高齢になっても人とのつながりが保たれる人が多いのです。
一方で今回男性トップ、女性4位になった大分県ですが、2010年には男性が39位、女性が34位と低迷していました。そこから大分県健康づくり支援課などが危機感をもって取り組んだことが実を結んだようです。
高齢者が趣味や運動をする『集いの場』事業に力を入れ、県内に約3000カ所ある集いの場の参加率は16.3%(’19年時点)と全国1位。さらに健康経営事業所の認定制度を2014年にスタートし、健康診断の受診率100%、禁煙を掲げる事業所が708カ所に増え、若い世代にも健康指導を働きかけた結果のジャンプアップのようです。
前回25位から3位に大躍進した宮崎県では、県の健康増進課が、全国平均(26.2%)よりも高いメタボ予備軍率(28.8%)に注目し、『1日野菜プラス100グラム』を合言葉に、『ベジ活』事業を始めました。全国有数の野菜の生産地なのに、県民の野菜の摂取量が不足していたからです。
具体的には、野菜を積極的に提供する飲食店や総菜店を利用すれば、プレゼントがもらえるキャンペーンを展開しました。また運動・スポーツ実践率についても、スマホを使ったウオーキングアプリを県が開発して、1日8000歩を目標に、歩数に応じてプレゼントが当たるキャンペーンも展開したのです。
さらに食塩の摂取量を1日2グラム減らすことや、フッ素が入った歯磨き粉で歯を磨く習慣を呼びかけました。 その結果、宮崎県は女性の健康寿命を、16年の74.94歳から76.71歳まで、1.77年も延ばすことに成功したとのことなのです。全員がきっちり行った訳ではないと思いますが、生活習慣が変われば、健康寿命が延びるということがよくわかりますよね!
男女差のある滋賀県ですが、男性の健康観は、仕事や趣味など自分がやりたいことができるかどうかであり、 それらを行える身体機能が保てているかが、健康判断の基準でした。健康診断のデータを重視して、生活習慣で改善できると、考えている人が多くいました。
一方女性では、育児、家事、仕事などの自身の役割を「いつも通りに」果たせているかどうかで、 健康を判断していました。痛みやだるさなどの自覚症状があっても、日常生活が送れていれば、健康上の問題とは考えず、健康診断や検診を受診していない人が多くいました。考え方の差で4位と46位という差があるのかもしれないと思うと、個人の健康観は重要ですね!
健康長寿県の共通点としては、県民の気質が、おおらかでざっくばらん、のんびりしていて和気あいあいなどの特徴があるようです。
蒼野が考える健康長寿県の要素としては、
1,ストレスをためない考え方と、毎日楽しく暮らしていること。
2,自然豊かな環境、豊かな食材を使った伝統食。
3,運動習慣があって、毎日身体を動かしていること。
4,高齢になっても人の役に立つ仕事を続けていること。
5,他人との繋がりも豊かで、コミュニケーションが活発であること。
6,健康に対する考え方が、積極的で病気になる前に予防しようと思っていること。
等が健康寿命に関係しているように思いました。
誰にも訪れる死に関しては受け入れるしかないと思っていますし、事故を経験して、いつ突然そんなことが起こってもおかしくないのは、自覚しています。しかし人生の最後の数年間を介助が必要な状態で過ごすことは、出来ることなら避けたいですよね!
健康寿命と、県ごとの生活習慣を比べて見ると、考え方を改めて、生活を変えてゆければ、不自由なく暮らせる時間が増えると思います。自分の体調を見守り、ストレスをやり過ごし、新鮮で良質なものを食べて、毎日運動し、きちんと睡眠をとり、沢山の人と一緒に笑いながら暮らしてゆければ、後悔することのない人生になるように思いました。
ランキングを眺めると、出身地の広島や、今住んでいる福岡、妹がいる東京や、娘がいる大阪の順位が全部下半分にあることが、少し気になってしまった蒼野でした。
参考ページ: 健康寿命の令和元年値について 厚生労働省
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