今日は梅雨時の体調管理について書いてみたいと思います。地球温暖化の影響か、最近の異常気象にはびっくりさせられる事も多い気がしますね。怪我をするような雹が降ったりとか…。今から梅雨も本格化しそうな時期、体調良く過ごしたいものです。
ヒトは体内の環境が一定になるよう、ホメオスタシスという機能が備わっており、天気など外界の変化に対応して、身体の中ではさまざまな反応が起こります。雨が降る時は、低気圧が来た時だというのは皆様ご存知だと思います。気圧が下がると体にかかる圧力は減ります。例えば50hPa(ヘクトパスカル)下がっただけで、かなり影響を受けます。
気圧の影響というのは、脳神経外科医の蒼野は実感してきたことがあります。脳外科の患者様で、脳出血の後などに脳が腫れ上がる人に対して、外減圧術といって、血腫を取った後、骨を外したまま一旦皮膚を縫って手術を終了する人がいます。腫れた脳が外に飛び出すことで、頭蓋内の圧力をコントロールする手術法です。
時間と共に脳の腫れが治まり、外減圧部が1ヶ月くらいでどんどん凹んできたら、保管しておいた骨を入れる手術を行います。骨を入れただけで、意識が良くなることは何度も体験しました。頭蓋骨がないと、脳に直接気圧が影響するため、機能が低下するからと説明されています。普段は意識しませんが、気圧というのは、身体に大きな影響を与えているのです。
50hPaの気圧の低下でも、身体は外に膨らもうとする力を受けます。ホメオスタシスを保つために、ヒトは血管や筋肉を収縮させるよう、自律神経が、交感神経優位に働きます。水分を溜め込み、コリがひどくなり、全身の血流が悪くなります。
これが続くと自律神経のバランスが傾いたまま乱れてしまい、様々な体調不良につながってしまうのです。交感神経優位の状態はストレス状態ですから、ストレスホルモンも分泌されます。メンタルも悪くなり、太りやすくもなります。
以前、気象病、天気頭痛の話で書いたことがありますが、人によっては、体調が大きく天気によって左右されてしまいます。気圧を感じる圧受容器は内耳にあります。ここが敏感の人は影響が出やすいのです。内耳が敏感な人は揺れにも弱いので、乗り物酔いしやすい人が多いです。
梅雨の体調に影響する要素としては、湿度が高くなることも挙げられます。水分は身体に必要不可欠なものですが、やはりバランスが大事です。余分な水分が身体に溜まってしまうと、体調不良の原因となるのです。日本の気候自体、四方を海に囲まれ、高温多湿なモンスーン気候でもあることから日本人は湿気の影響を強く受けてきました。
過剰な湿気は、胃腸に影響しやすく、湿気の多い梅雨や夏には、食欲不振や消化不良が多く、乾燥する「食欲の秋」には、消化が良くなります。湿気の多い環境にいる日本人は、胃腸が弱りやすく、そのため昔から胃腸に優しい淡味の和食が浸透し根付いたとも言われています。
これは漢方的には湿邪(しつじゃ)と呼ばれ、体内の水分を必要以上に増やし、身体に悪影響を及ぼす水毒(水滞)の状態を引き起こします。むくみや頭痛、めまい、食欲不振など、さまざまな症状を引き起こす原因と言われます。水毒の診断は簡単です。舌の苔が分厚くなり、歯根舌と言って、下の周りが歯の形に合わせてギザギザになります。
健康に過ごすには、取り入れた水分をスムーズに回す必要があります。食べ過ぎ、飲み過ぎを控え、汗や尿でしっかりと排出しなければいけません。それでは梅雨時の体調管理法について、具体的に書いてみます。
まずは食養生からです。夏野菜を利用しましょう。ウリ科のきゅうりやズッキーニ、ナス、ゴーヤなどは、血の巡りを整え、余分な水分を排出してくれます。黒豆やハトムギのお茶も良いですね。昆布やワカメなどの海藻類にも、水の巡りを整える作用があります。しょうが、ネギ、サンショウなどの薬味も湿邪を発散させます。
冷たい飲み物を飲みすぎないことも大切です。アルコールも適量以上飲んでしまうと、浮腫みますよね。血の巡りが悪くなる糖質過多な食事や、飽和脂肪の取りすぎにも注意が必要です。消化が弱っていると吸収できないため、下痢などの体調不良の引き金を引いてしまいます。季節の野菜や果物、豊富なタンパク質を中心に、身体に良い油も取り入れて行きましょう。
次は運動です。自律神経を鍛えるために、運動は重要です。しっかり汗がかける体質をキープすることにもつながります。ストレス発散の効果も大きく、収縮した筋肉をほぐす必要もあるのです。ストレッチや歩行などは毎日少しでも取り入れてゆきましょう。
入浴も大事です。梅雨時は38℃~40℃ぐらいの微温浴がリラックスにもなりおすすめです。うっすら汗が出る程度まで、ゆっくりと湯船に浸かりましょう。温まったら水を浴びるのも、自律神経訓練になるので、蒼野は毎日やっています。毎日、一日中エアコンで過ごしていると、汗をかかなくなるので、夏バテしないためにも、適宜使えるよう考えていきましょう。
自律神経の1日のリズムを守ってゆくと、体調キープが楽になります。梅雨の晴れ間の朝散歩は貴重なチャンスです。日光を浴びてセロトニンを増やしましょう。気分良く一日過ごせるようになります。同じ時間に、朝食をしっかり噛んで食べて、昼間はしっかりと交感神経を優位にしましょう。
夕方からはゆっくり入浴して、副交感神経に切り替えます。就寝前に40度くらいの蒸しタオルや、ホットアイマスクで目元を温めるのも有効です。ストレッチも行い、十分な睡眠をとりましょう。気象病、片頭痛がある人は、耳クルクルマッサージも習慣にしましょうね。
梅雨時は、急に気温が上がることもしばしばです。食中毒の季節でもあるため、十分な注意が必要です。食材や手、調理器具もこまめに洗いましょう。肉や魚を切ったまな板は熱湯消毒しましょう。調理ではしっかり火を通しましょう。もちろん食材の置きっ放しはNGでお願いします。
熱中症も起こりやすい季節です。外出時に冷房の効き過ぎも体調不良の原因となります。体温調節ができる羽織物を用意したり、汗をかいた時の着替えは持って歩きましょう。特に気温を感じにくい高齢者は、室内での熱中症のリスクも高いため、外気温に注意して、エアコンの使用も積極的に行うべきです。
最後に、いくつか使えそうな漢方の紹介を! むくみ、めまい、頭痛など水毒全般には五苓散がお勧めです。お酒を飲むときにも、むくみや二日酔いの予防になります。めまい、肩こり、ふらつきなどには苓桂朮甘湯をよく処方します。下半身のむくみがひどい女性、膝の痛みや腫れ、汗かき、水太りなどには防已黄耆湯です。薬局でも買えると思うので、お困りであれば使ってみてください。
これから梅雨本番、雨が降っても、散歩は続けようと思っている蒼野でした。
耳くるくるマッサージ: https://blue-zone-life.com/卑弥呼の予知能力/
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