頭痛のトリセツ!

2022/06/09

 梅雨入りし、蒸し暑い日や晴れると眩しい日が増えてきましたね! 片頭痛のある方には辛い時期だと思います。5~9月は季節的に頭痛の頻度が増加しやすい季節です。今日はおさらいの意味も込めて、頭痛の対処と予防について書いてみたいと思います。

 頭痛の中で一番多いものは、緊張型頭痛、いわゆる肩こり、首こりの頭痛です。生涯の内でこの頭痛を経験する人は、12.9~78%と言われています。しかし短時間で治まったり、通常の痛み止めが効く事が多いため、わざわざ蒼野の所を受診する人はあまりいません。

 ということで、蒼野が診る頭痛は、他の病気があって起こっている二次性頭痛、一番診る事が多い片頭痛、思春期やメンタル疾患に伴いやすい(連日性)慢性緊張型頭痛、群発頭痛、ヘルペス頭痛、RCVSといった頭痛になります。

 見逃してはいけない物が二次性頭痛です。これには次の様な特徴があるので、もし経験する様な事があれば、後回しにせずに病院を受診して下さい。場合によっては命に関わることもあります。突然(突発ピーク型)の頭痛、今まで経験したことがない頭痛、血圧が急上昇し頻度や程度が増していく頭痛、50歳以降に初発の頭痛、麻痺や意識障害など神経脱落症状を有する頭痛、がんや免疫不全患者の頭痛、発熱と後部硬直を有する頭痛 などです。

 受診後はまずは画像検査(CTやMRI)で確認します。器質的疾患が否定されれば、片頭痛を始めとする一次性頭痛を問診で鑑別してゆきます。肩こり、首こりが酷く、ストレスを抱えている人は緊張型頭痛と考える人は多いのですが、片頭痛との合併も多いのが現状です。常に片頭痛を頭において診察を進めています。

 簡単な鑑別としては、体動時や頭を下げた時、湯船に浸かった時などに痛む場合には、片頭痛の要素が入っていると覚えておいてください。純粋な緊張型頭痛は、体操やマッサージ、入浴などで血の巡りが良くなると、軽くなる事が多いのです。

 日常生活に支障があって、寝込んだり吐いたりする頭痛がある人は、是非近隣の頭痛専門医を受診してみてください。最近では良い薬も沢山出てきているので、自分に合う薬に出会えれば、今までの苦労は何だったのと言われる方も多いです。最近CGRP製剤という、注射の予防薬を導入した方も、光が眩しく無くなって頭痛が激減し、人生が変わったとおっしゃられていました。

 とはいえ、薬に頼りたく無いという方や、病院を受診するほどでもないと言われる方も多いと思います。一次性頭痛の治療の基本は、まず非薬物療法からとなります。生活習慣を改善すると、頭痛が激減するのは、アドバイスしただけで、喜ばれた経験が多くありますので、是非取り組んで頂きたいことになります。

 基本は規則正しい、リズムを守った生活です。睡眠時間は7~8時間を確保し、早寝、早起き、朝散歩。休みの日も寝過ぎない様にしましょう。血糖スパイクを作らない食材で朝ごはんを食べる習慣が大事です。上がった後血糖値が下がりすぎると頭痛を誘発します。うたた寝や昼寝のしすぎでも頭痛を誘発します。

 日中は、帽子やサングラスで目に光を入れすぎない様にします。満員電車などの人混みもなるべく避けて、きつい匂いにも注意しましょう。高温多湿、低気圧の時は無理しないように。女性では生理周期を把握し、頭痛が起こりそうな時期が分かれば、早めに薬を内服してやり過ごしましょう。

 片頭痛の人は乗り物酔いもしやすいので注意が必要です。長時間の乗り物、飛行機などの30分前には、五苓散2包やトラベルミン1錠、ナウゼリン(吐き気どめ)1錠などで対処できる事があるので、自分に合う薬を見つけておくと良いと思います。合わせて使ってみるのも良いと思います。

 ブルーライトは、最近特に多くなっている片頭痛の誘因です。特に夜間は、メラトニンの日内変動を障害して睡眠の質が悪くなるため避けましょう。スマホやパソコン、ゲーム機、液晶テレビなどの普及により、不眠や睡眠相後退による昼夜逆転や、自律神経が障害されて、起立性調節障害を発症することも多くなります。

 スマホ、パソコン、ゲーム、テレビなどは合計して3時間以内に抑えましょう。また20時以降の使用も控えましょう。夜間の照明は少し明るさを落とす方が頭痛が起きにくくなります。ブルーライトカットメガネやカットフィルターも積極的に使ってください。

 ストレスコントロールは重要です。日本人は真面目すぎて、他人の目も気にしすぎる傾向が強いです。ストレスはまともに受け取らずに、闘牛士のように受け流すのが正解です。誰かに悪口や文句を言われても、真正面から受け取らず、そんな意見もあるよねーと身をかわす考え方を身につけましょう。

 ずっと頭の中に残し続けて、悩むことでストレスはどんどん強くなり、ダメージも強くなってしまいます。世の中の10人に1人は、自分にとってのアンチがいるのが当たり前ですので、そこだけにこだわるのではなく、10人に2人いる貴方の味方と一緒に、楽しく生きてゆきましょう。

 片頭痛にも、緊張型頭痛にもストレスや心理社会的要因の関与はとても大きい事がわかっています。ストレスはその人にとっての受け止め方ですので、受け止めずに放り出すのが一番、ストレスに影響されない方法なのです。もやもやする事があったら、仲の良い人に1度だけ聞いてもらい、吐き出してしまいましょう。外来でも話を聞いてあげただけで、頭痛が治る患者様も、何人も経験しましたよ!

 食べ物は、頭痛の誘因になっていることも多いのですが、毎日食べている物だと気づく事ができません。一般的には、空腹(低血糖)、脱水、アルコール(特に赤ワイン)、チョコレート、チーズ、ナッツ、カフェイン、柑橘類などは頭痛の誘因となります。血糖スパイクを起こさないように、甘い飲み物や小麦などを控えると頭痛が減ってゆく印象が強いです。

 アメリカの報告で、緑の葉物野菜、豆類、果物など、体内の炎症を抑える栄養素を豊富に含んだ食品を毎日摂取する食事療法をおこなったひどい頭痛持ちの患者でも、2ヶ月で、頭痛頻度が月に18~24日から1日に減り、3ヶ月後には完全に消えたという様な報告もあがっています。

 体内の炎症は片頭痛を起こしやすくする大きな誘因です。グルテンやカゼイン、グルタミン酸ナトリウムなどの食品添加物が多いと頭痛が増えてしまいます。激辛カレーや激辛ラーメンで頭痛が起こる人もいます。スナック菓子や外食の超加工食品は、片頭痛を持っていない蒼野自身も痛くなった事があるため、気を付けてくださいね!

 片頭痛改善のサプリメントとしては、マグネシウムやビタミンB2が挙げられます。現代の食生活では不足しがちですので、頭痛に悩んでおられる方は、試してみるのが良いと思います。自分の頭痛に何が大きく影響しているのかに気づく事が重要です。見つけるためには頭痛日記を書きましょう。何をしていたら、何を食べた後頭痛になった、ということを積み重ねれば、自ずと気づけると思います。

 以上頭痛の取り扱いについて、ざっとおさらいしてみました。皆様が、頭痛に悩まされずに、楽しい日々を過ごせることを願ってやまない蒼野でした。

参考書籍:  頭痛の診療ガイドライン2021   医学書院

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