昨日のCBDのブログの反響が大きかったことと、情報が多くて書ききれなかった部分がかなりあることから、今日は最近分かってきた、ホメオスタシスを保つシステムであるエンド・カンナビノイド・システム(ECS)について、追加して書いてみたいと思います。
調べるまで蒼野も知らなかったのですが、CBDが身体に対して、万能薬のように影響するのは、このECSに影響するからです。ECSの受容体である、CB1やCB2などのカンナビノイド受容体は脳や神経、臓器、骨、皮膚、筋肉、血管、眼球、粘膜など全身のありとあらゆる場所に発現しています。そして「食べる、眠る、休む、護る、忘れる」といった生きてゆく上で必要な活動を調整しているのです。
CB1は主に脳や中枢神経などに多く、CB2は末梢神経や免疫細胞などに多く発現している受容体となります。この受容体に作用するものが、3つあります。昨日書いた大麻に含まれるCBDや、大麻の麻薬成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)などの、植物性カンナビノイド。もともと身体の中で作られている内因性カンナビノイド(AEAや2-AG)。植物性カンナビノドの構造を基に人工的に作り出された合成カンナビノイドです。
これらのカンナビノイドが、CB1やCB2に鍵と鍵穴のように結合することで、エンド・カンナビノイド・システム(ECS)が活性化し、身体が本来の機能を果たせるよう、調節されてゆきます。抗痙攣作用、効腫瘍作用、抗酸化作用、神経保護作用(抗認知症作用)、抗精神病作用などが発揮されるのです。
植物性カンナビノドは、現在100種類以上見つかっていますが、昨日書いたように、大麻規制法があるため、日本ではかなり規制が厳しく、輸入のサプリメントを使うしかない様です。THCはCB1とCB2ともに結合しますが、CB1の方が結合親和性が高いとされます。脳のCB1に結合することで精神活性作用や陶酔作用などを引き起こします。
CBDは、CB1やCB2に直接結合することはありませんが、内因性カンナビノイドが破壊される酵素を抑制することで、間接的にCB1やCB2を活性化させるとされています。またCB1を阻害する作用もあるため、THCと同時に摂取すると、精神活性作用が抑えられるそうです。その他にも、合法であるCBN(カンナビノール)とか、CBG(カンナビゲノール)という成分も発見されています。
植物性カンナビノドの構造から、人工的に作り出された化学物質である合成カンナビノイドは、安価で大量に生産できる上、内因性カンナビノイドや植物性カンナビノイドよりも作用が強い物になります。HU -210という合成カンナビノイドは、天然のTHCの100~800倍の作用を有し、違法ドラッグとして、闇ルートで流通しています。もちろん違法です。
アメリカでは一部の合成カンナビノイドが、治療薬として認められていますが、日本では全て違法とされ、治療への使用も許可されていません。麻薬や危険ドラッグとの位置付けになっています。ただ合成CBDだけは、輸入や所持が許可されています。
ECSは、もともと身体の中に備わったシステムであり、ホメオスタシスを保つために最も大きな影響があるシステムです。生命維持のマスターコントロールシステムと言っても過言ではないと言われています。ECSが不調になると、自律神経失調症・過敏性腸症候群・片頭痛・線維筋痛症・老化促進など、さまざまなカンナビノイド欠乏症と関連した不調が現れます。
実際にこれらの病気を抱えている人の脳脊髄液中の内因性カンナビノイドの量を測定すると、健康な人と比べて有意な差があることが判明しています。カンナビノイド欠乏症のリスクファクターとしては、加齢や栄養不足、不規則な生活、ストレス、有害金属の蓄積などが挙げられます。
生きていくために本来備わっている身体調節機能がECSで、その主体となるのは内因性カンナビノイドです。言葉を変えれば、自然治癒力の一部であると思います。そういう意味でカンナビノイドを補う薬、サプリメントは万能薬にもなり得るし、内因性カンナビノイドのように使えれば、副作用も無いものだと思います。
健康オタクの蒼野が考えるに、様々な効果のある万能薬でも、健康のためにそれだけ摂取していれば良いという薬は存在しないと思います。内因性カンナビノイドのように、身体の状態に合わせた自動調節の機能が働かないからです。ずっと摂取していると、必要が無くなるということで、自ら分泌する内因性カンナビノイドが出にくくなるということもあるかもしれません。
健康長寿のためには、内因性カンナビノイドを増やす生活について知っておくことが重要だと思います。最重要なのが睡眠です。陽が昇ったら目覚め、夜になったら寝るといった概日リズムを守る生活によって、内因性カンナビノイドも日内変動します。毎日規則正しく生活することが重要なのです。
入眠後の3時間に深く良い睡眠がとれると、細胞の修復を行う成長ホルモンと、抗酸化作用の強力なメラトニンがしっかりと分泌されます。老化を予防してくれるのは睡眠です。生殖機能の低下、自律神経失調、免疫力低下も睡眠不足が大きく関与しており、がんや認知症、肥満などにもつながります。
ECSの機能を高めるためには、大麻ではない食べ物で、植物性カンナビノイドを摂るのも有効です。これは免疫力アップで有名なエキナセアや黒トリュフ、カカオなどにも含まれています。また内因性カンナビノイドは肉や卵、乳製品に含まれる「アラキドン酸」で増加します、また「オメガ3脂肪酸」を摂取するとCB1受容体の発現が促進され、ECSが活性化します。
CB2受容体は、様々な種類のスパイスや、香りの強い葉野菜を食べると活性化する様です。黒胡椒やローズマリー、オレガノ、シナモン、クローブなどに含まれる「β-カリオフィレン」はカンナビノイドと同じようにCB2受容体を活性化するのです。
飢餓や敵に襲われるなど過酷な環境でこそ、人間本来のECSが活性化します。食事を農耕以前の狩猟採集時代の食事に近づけることが、ECS活性化の鍵です。逆に現代にありがちな炭水化物や砂糖、アルコール、オメガ6脂肪酸、食品添加物などの過剰摂取は、ECSを低下させてしまう様です。
運動に関しては、昨日も書きましたように、ランナーズハイには、内因性カンナビノイドが大きく関与している様です。20分以上の「ややきつい強度の運動」で、内因性カンナビノイドが効率的に分泌されます。
ストレスで内因性カンナビノイドを破壊する酵素が活性化する様です。ストレスの緩和は、人それぞれではありますが、ヨガや瞑想、呼吸法、入浴、散歩はお勧めです。飲酒や喫煙や暴食などで発散するのは、逆効果ですのでやめましょうね!
こうして書いてくると、いつもと同じアドバイスになってきます。不思議な気もしますし、それはそうでしょうと確信にもなっています。ECSを活性化するという点から見た時にも、食事、運動、睡眠、リズムを守ってストレス発散というのが、健康長寿の王道なのです。
医学研究は本当に日進月歩ですね。ますますCBDや、ECSを活性化する方法に興味が出て来た蒼野でした。
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