食品添加物!

2022/06/28

 今日は消費者庁がこの4月から、「食品添加物表示制度」を改正し、「無添加」「着色料不使用」などの表示ができなくなったことについて、蒼野の考えを書いてみたいと思います。食品添加物の問題は、蒼野自身気にしている部分もあり、表示が無くなったら、何を基準に選べばいいんだよーと思ったりもしたのです。

 まずは無添加表示の現状についてです。これまで無添加商品と書いてあると、蒼野もこっちの方が良いかもと思って選びがちでした。食品添加物は、本来の食品ではない化学物質なので、健康に悪影響を及ぼす悪いものだろうから、食品添加物を使っていない『無添加』食品は、安全でよいものに違いないと思ってしまうのです。

 また日本は添加物大国で、海外では禁止されている添加物も、急性の被害が出ていない、将来の病気との因果関係がはっきりしないものは認可されてしまいます。例えば発がん性のある添加物を販売していても、生活には他の要素も多く、それが癌の原因と確定することは実際的には難しいという情報を見ると、無添加のものを選びたくなる訳です。

 しかしこれは量の問題であったりもします。動物実験で発癌性がある物質も、人間に換算すると、毎日バケツ一杯食べ続けるような実験で証明されるような発癌性だったりします。そうであれば、毎日タバコを吸ったり、多量のアルコールを飲む方がよほど癌が出来やすくなることが判明しているのです。

 食塩は自然の物で、無添加ですが、たとえ自然塩であっても、毎日多量に摂取していれば、高血圧症を始めとする、生活習慣病を発症するのは自明の理でしょう。そう考えると、現在の日本政府が打ち出している食品添加物の基準値の相対的リスクはかなり低いものとも考えられます。

 いつでも安全に美味しく食品が食べられるように開発されたものが食品添加物です。例えば保存料は、食品の腐敗や変性を防ぎ、食品の消費期限を伸ばします。食中毒で死んでしまう確率を大幅に下げるのです。現代でも未開の地では、食中毒による死亡率はいまだに高かったりするのです。

 人にはリスク認知に関するバイアスが存在しています。「危険か安全か分からないときは危険だと判断せよ」というものです。これがあるから人類は生き残ってこれました。藪がガサガサと音を立てたら、それがライオンなのか風なのか、判断する前に逃げるように本能が命令します。大丈夫と思い込むと、食べられて死ぬかも知れないのです。

 また今まで慣れ親しんだ身近なものは、安全だと判断する様に出来ています。確かに自転車事故で(蒼野もそうでした)死ぬ確率は、飛行機が落ちて死ぬ確率よりも高いのに、飛行機は怖くて乗れないけど、自転車は乗れる人は多かったりします。昔ながらの無添加食品よりも、化学物質の名前がついている添加物の方が恐ろしく感じます。

 人間は楽しさや快楽を伴うものに関しては、リスクを過小評価します。登山や海水浴、ハンググライダーなどを好む人は、事故やリスクのことは考えていません。飲酒や喫煙、甘いものを食べて過体重になることなどのリスクも、脳内物質が分泌されて、幸せを感じる物であれば無視する人も多いのです。

 各種リスクと平均余命損失(LLE)(単位:日)をみてみると、1、習慣的飲酒 4000日 2、男性の未婚3500日 3、喫煙2200日 4、女性の未婚1600日 5、35%体重過剰 964日と続きます。食品添加物の害は声高に叫ばれますが、圏外であることは間違いなさそうです。未婚が男女共に入っているのは、孤独とストレスとの兼ね合いが強いのでしょうね!

 これらの認知バイアスから、添加物が気になりすぎる人がいるのは当然なのだと思います。しかし「正しい食事に対する強迫観念」(=オルトレキシアと呼ばれます)が強すぎると、現代社会では、”無添加”にこだわるあまり、外食がしづらく、買い物がしにくくなることで、食の選択肢の幅が狭くなり、胃腸障害や栄養失調を引き起こしてしまうことさえあるのです。

 そこを逆手に取ったマーケティングが「無添加食品」ビジネスです。世の中は不況で、食品業界も厳しさを増しています。「これは無添加ですから安心してください」という売り方は強力な武器となります。特に小さな子供さんには添加物は食べさせたく無いですよね!表示はペットフードにまでついている時代になっています。

 表示義務が必要な添加物とそうで無い添加物が存在し、そうで無い添加物を使用している場合には、今までは無添加と表示が許されていました。報道で保存料のソルビン酸が嫌われるようになると、PH調整剤やグリシンに変更すれば、保存料は無添加となります。アミノ酸が主成分である 酵母エキスを使用し、アミノ酸等の調味料無添加と表示できました。

 元々添加物が使用できない様なものも、マーケティングのためにわざわざ無添加食品と表示しているものも多く見られていました。マヨネーズには、調味料(アミノ酸等)、酸味料、着色料 及び香辛料抽出物以外の添加物は使用できないことになっていますが、わざわざ無添加マヨネーズとなっていたのです。天然水は元々無添加ですが、あえて表示があったりするのです。

 原材料に添加物が沢山入っていても、食品の製造過程で食品添加物を使用していないことも表示できていました。添加物無添加と書いてあっても、その裏には何があってもおかしくなかったのです。そこで今回の食品表示基準第9条の改正が行われました。全ての食品から「無添加」「不使用」という表示が消え、使っている物質名を表示することとなったのです。

 これにはさまざまな批判も勿論あります。添加物を使用した加工食品を大量生産して安く売る大手に対抗し、小規模の食品会社ほど「無添加」や「着色料不使用」の食品を開発して独自色を出そうと企業努力を重ねてきたのに、それを台無しにするとか、あえて無添加にこだわらなくなるので、今後なお一層添加物入りの食品が蔓延するとかです。

 蒼野の意見としては、調べてみると、今までも決して安全という訳でもなく、騙されて無添加食品を選んできたのかも知れないと思うと、これは一歩前進の様に思います。気になる人は、本当にどの物質が危険なのか、自分に合わないのかなどを知り、しっかり勉強し、表示を検討して選ぶしか無くなったのだと思うのです。

 確かにめんどくさいし、蒼野も添加物のプロでもありませんので、出来るだけ加工食品や、外食、お惣菜、お弁当は避けよう、ということくらいしか対策はないかと思っています。素材から作ると言っても、有機野菜とか、遺伝子組み換え作物とかまで気にすると、家計の問題と、選択肢が少なくなるという問題がつきまといます。

 食品の流通に関しては、自給率が低い日本では、食品添加物に頼る文化が発達してしまったのでしょうね! 難しい問題ですが、楽しむときには楽しむ。気にして食べてストレスを溜めないということを基本に、生活を組み立ててゆきたいと思っています。でも毎日加工食品ばかり食べるのはやめましょうね!

 リスクの認知バイアスに陥らないように、健康にとって本当に大事なことを見極めていきたい蒼野でした!

参考書籍: 無添加はかえって危ない   有路昌彦

参考文献: リスク認知バイアスの進化心理学的な解釈 

https://criepi.denken.or.jp/jp/serc/discussion/11033.html

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