便秘のお話!

2022/08/18

 お食事中の方、すみません。今日は便秘の話を書きたいと思います。蒼野はもともと便秘知らずでしたが、還暦を過ぎてから、たまに便が固くなって、苦労する日が出てきました。水分も摂っていて、運動もしているし、食生活は偏ってはいないと思います。今日はその辺について調べてみたのでお付き合い下さい。

 2017年の最新の慢性便秘症の診療ガイドラインによると、便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」のことを言うそうです。現在の蒼野は基本は毎日お通じがあるのですが、なかなか出ずにいきむ必要があったり、量が少ないなあと思う日があったりするので、「快適」かつ「十分量」でないと言うことからは、便秘の仲間入りなのかも知れません。

 仮に1日に3~4回出ていても、残便感があれば、便秘の状態かもしれませんし、2~3日に1回しか出なくても、たっぷり、スッキリ出ていれば、便秘では無いと言うことができます。しかし体内の毒を排出するという点においては、毎日たっぷり、スッキリ出るのが理想です。

 便が腸管内に長く留まる程、腐敗が進み有害物質が増えてしまいます。それが再吸収されると、血流に乗って全身を巡ってしまうため、肥満などの代謝に関連するトラブル、うつや認知症などの脳関連のトラブル、肌トラブル、免疫力の低下などを引き起こすと言われています。

 また長時間溜まった便が、腸壁に接していると、腸壁の細胞が毒素に晒されるため、DNAが傷つき、癌のリスクが増えてしまいます。若い頃なら、DNAの修復機能や、異常細胞の細胞死による除去機能、生まれてきた癌細胞に対する免疫機能が高いために癌の発症までには至らず、大きな問題にはなりません。

 しかし癌は、これらの機能が低下してくる60歳を過ぎてから、急に増えてくるものなので、蒼野も便秘は出来るだけ避けたいと思います。大腸癌の死亡率は男性の癌の3位、女性では1位なのです。患者数も、年間で14万人。この50年で男性が8倍、女性が6倍に増えています。

 大腸癌の原因は多岐に渡ります。一般的には食生活の変化、食物繊維の不足、運動不足、人口の高齢化などが挙げられます。そのリスクを減らすために、便秘の解消、腸の健康を保つことは本当に重要です。

 便秘のなりやすさには男女差があります。女性ホルモンである、エストロゲンには排便を促す作用がありますが、プロゲステロンは流産させないホルモンですので、子宮の平滑筋だけでなく、腸の平滑筋の動きも鈍らせます。またプロゲステロンが便の水分を再吸収させるため、便を硬くします。プロゲステロンが優位となる、排卵日から生理前にかけて便秘になりやすいのはこのためです。女性は男性の倍近く、便秘に悩んでいます。

 また更年期を迎えエストロゲンの作用が低下してくると、自律神経の失調も伴い、ストレスにも晒されやすいために、副交感神経が働かず、腸管が動きにくくなります。腸管を動かすエストロゲン自体の減少も加わり便秘傾向が強まるのです。

 男性の場合は、60代になってから便秘を自覚する人が急に増えます。腸自体の老化に加えて、原因の一つは筋力低下です。便を押し出すために必要な筋肉が加齢で弱くなると、便を出しにくくなります。前立腺肥大による頻尿傾向とか、加齢による口渇の感じにくさなどからの、水分不足も原因に加わります。定年による環境変化も大きいです。腸年齢が進み、腸内細菌叢が変化することでも、便秘は起きやすくなるのです。

 コロナ禍になって、「巣ごもり便秘」という言葉が出てきています。在宅ワークで運動機会が激減し、会話も減り、ストレス発散の機会も減っていることや、自粛生活で生活リズムが乱れ、睡眠が悪くなっている事などが加って、便秘を訴える人が増えています。

 腸と脳とは相互に作用しているため、精神的なストレスの影響は大きいのです。毎日同じものを食べて、同じように生活しているのに、便秘の家族と、そうでない家族が居るのは、ストレスの受け流し方の違いかもしれません。規則正しい生活と、良質の睡眠、ストレス発散のためには、やはり朝の散歩が欠かせないと思います。

 健康に気を付ける人で陥りがちな、便秘の原因が実は糖質制限です。日本人は昔に比べるとお米を食べなくなりました。蒼野の経験でも糖質制限を行う前、ご飯をモリモリ食べていた時期の便の量は凄かったです。1日3回、食べる度にトイレに行っていました。黄色くて、水に浮くような便でしたので理想的な便の状態だったように思います。

 もちろん糖質制限で体重は落ちたのですが、最初の頃は肉などのタンパク質を中心に食べていたので、便の臭いがキツくなりました。もちろん、ある程度野菜も食べていたのですが、今考えると不足していたのだと思います。臭いから考えると、腸内フローラも、悪玉菌優位に変化していたのだと思います。

 昨今のタンパク質ブームでも、過剰なタンパク摂取は悪玉菌のエサとなっています。肉などが多くなると動物性の脂肪も増えてしまいますので、腸内環境が悪化します。食物繊維による善玉菌の発酵よりも、悪玉菌による腐敗が増えてしまうと、大腸癌リスクも上昇してしまうのです。炭水化物は糖質+食物繊維ですので、よく考えて食べないと食物繊維は不足してしまうのです。

 もう一つ糖質制限ダイエットではリバウンドする人が多いという問題もあります。もちろん続けられる人が少ないということもあるのですが、糖質制限中の人の腸内フローラをDNAレベルで調査解析してみたところ、興味深い結果が判明しました。

 健康な糖質制限をしている30~50代女性20人の腸内フローラのDNA解析を、普通の食事をしている同年代の腸内フローラと比較して見たところ、腸内フローラのバランスが悪い状態の人の割合は2倍、良い状態の人の割合は3分の1にとどまる結果が得られたのです。

 具体的には、穀類などに含まれる食物繊維の摂取が減ったことで、ビフィズス菌がエサ不足となって減少し、腸内フローラのバランスが悪くなっていました。それだけではなく、腸内のデブ菌(F=ファーミキューテス門)が増え、痩せ菌(B=バクテロイデス門)が減っていました。

 F/B比が大きいほど太りやすいと言えるのですが、普通の食事の人たちのF/B比が0.72であったのに対して、糖質制限の人たちのF/B比は1.48となっていました。脂肪燃焼物質を作る菌が減ってしまうことで、糖質制限後のリバウンドは、油断するとあっという間に起こってしまうということが示唆されたのです。

 なかなか思ったように、体重がキープ出来ないことも、腸内細菌に秘密があったようですね!今日は便秘の影響や、ホルモンや加齢による影響、糖質制限、高タンパク食の影響について書いてきました。それでは具体的にどうすれば良いのかについては、長くなるため次回に回したいと思います。

 これからの健康管理には『腸の健康を考えることが最重要である』と確信している蒼野でした!

参照ページ: 糖質制限すると太りやすい腸に? 腸内フローラ検査が示す驚きの事実
       https://www.asahi.com/relife/article/13564529

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