人類が摂ってきた、エネルギーの源となる食べ物は何だったのでしょうか?
400万年前から人類は、飢餓の歴史を生きてきました。たまたま果実のなった樹を見つけたり、根菜や木の実が、沢山採れた時には、出来るだけ食べて糖質を摂取することもあったでしょう。摂取した糖質を体脂肪に変えて蓄えることで、その脂質を食べられない間のエネルギーとして使っていました。
獲物が取れた時、火を使えない時期には、赤身肉は消化が難しいため、出来るだけ脂肪の豊富な、内臓や脳、骨髄などを食べていたと言われています。人類は元々、脂質をエネルギー源として、長い間生きてきており、『ファットバーニング』が、本来のエネルギー代謝だったという説を蒼野は信じています。
それが農耕生活に入った1万年前からは、栽培した穀物から、毎日糖質が摂れるようになり、元々の体のエネルギー代謝システムではない『シュガーバーニング』が主体となりました。そして、様々な弊害、がんや糖尿病、うつ病、肥満といった現代病が出現するようになりました。
農耕生活が始まるまでの人類が、摂取していた糖質は、1年で小さじ22杯程度だったと推測されています。それが現代では、1年で63kg、小さじ21万1400杯になっているのです。これは石油ストーブにガソリンを入れるようなもので、合わない燃料を摂り続けていると例えられています。いつ本体が爆発してもおかしくありません。
過剰な糖質は、タンパク質や脂質と一緒に、体温で温められ、結合して、AGEs(終末糖化産物)に変化します。AGEsは慢性炎症をひき起こしますが、体内にはそれを無毒化するシステムが備わっていません。それは、現代病の主たる原因と言われているのです。
脂肪を摂ると太ると思っておられないでしょうか? これは事実とは異なるようです。
糖質を摂取すると、インスリンによって運ばれた糖質は、筋肉をはじめとする、様々な細胞に運ばれて、エネルギーとして使われます。しかし現代生活では、運動量自体が減っており、また細胞がエネルギーとして取り込める糖質量は限られています。
過剰に糖質を摂取すると、行き場のない糖質は、最終的には脂肪細胞に運ばれ、脂肪細胞がそれを体脂肪や内臓脂肪に変えて蓄積します。一方脂質を摂取した場合には、糖質よりも複雑なプロセスを経て、体脂肪に変わります。しかも炭水化物を一緒に摂らなければ、インスリンは出ないため、体脂肪に変化できないのです。
そのため、過剰な糖質は、すぐに脂肪となって身体に蓄えられ、脂質+糖質の場合には、脂質も合わせて蓄えられるので太るのです。しかし脂質だけであればカロリーが高くても、それほど蓄積しません。糖質を少なくすれば、脂質をかなり摂ったとしても太らないのです。『ガチ促油ダイエット』という本が痩せると言って売れましたが、それが一つの証明でもあります。
安い原料で、たくさん売れる商品は、糖質、炭水化物を使った食品です。食品業界のプロパガンダによって、1960年くらいから脂質は悪者にされ、『脂質は太る』、『脂質は健康を害する』、『脂質は摂ってはいけない』という風潮が蔓延し、ローファット製品がヒットしました。今でも低脂肪食品は健康なイメージで売っていますよね。しかしその頃から、特にアメリカでは肥満率が急増してしまったのです。
脂質は、一緒に糖質を過剰摂取しなければ太りません。また脂質は細胞膜の主な原料であり、良い脂質を原料に使った細胞膜は、本来の機能を発揮することができるのです。良質の脂質は、細胞に運ばれてくる有害物質から細胞を守り、細胞の炎症を防ぎます。
脳も6割が脂質で構成されており、良い脂質を摂ることで、本来の機能が取り戻せます。良い脂質を摂れば、脳の機能も高めることができるのです。
一方、取ってはいけない脂質の代表が、トランス脂肪酸です。これはマーガリンやショートニングに含まれていたり、高温で熱した植物油が変化してできます。何度も使っている油で料理した揚げ物には、沢山含まれていおり、細胞膜の機能不全を起こし、細胞の炎症を起こす油です。
自然界にはほとんど存在していない、トランス脂肪酸を材料に作られた細胞膜や脳は、本来の機能を発揮することができません。また身体から排出されるまでに240日もかかります。トランス脂肪酸を食品に使うことは、欧米ではもう禁止されているのですが、日本では経済的な圧力のためか、禁止には至っていません。普通のパンやお菓子には沢山含まれているので、食べない方が無難です。
次にGMO(遺伝子組み換え)の原材料で作られる油は、摂らないようにしましょう。除草剤が多量に含まれていて、リーキーガット、免疫亢進、慢性炎症につながります。中でも大豆油には注意が必要です。サラダ油やキャノーラ油などの、加工された油も、化学溶剤が沢山使われているので避けましょう。これらは悪い脂質です。
摂りたい脂質は以下の通りです。
【飽和脂肪酸】ギー、グラスフェッドバター、バージンココナッツオイル、MCTオイル。肉、バター、チーズはグラスフェッドが安全です。
【不飽和脂肪酸・オメガ9】エキストラバージンオリーブオイル
【不飽和脂肪酸・オメガ6&オメガ3】亜麻仁油(あるいはヘンプシードオイル)
【不飽和脂肪酸・オメガ3】魚は小さな魚が良いです。アジ、イワシ、サバ、サンマ、サーモンなど、養殖でないものを選びましょう。
加熱するときの油は、酸化しにくいギー、バター、ラード、ココナッツオイルなどが良いです。
身体の75%は1か月で入れ替わり、95%は1年で入れ替わり、7年で100%入れ替わると言われています。今食べるもので、7年後の自分の細胞が出来るということです。
健康を維持したい方は、糖質は控えめにして、良質な脂質をエネルギーにする、本来の人類のエネルギー代謝に近づけていきましょう。そうすれば脳や細胞膜が蘇り、慢性炎症が抑えられます。減量も出来、頭が冴えて、仕事効率も大幅に改善されます。7年後に、よりレベルアップした自分になるために、日々食べるものもレベルアップを目指しましょうね!
参考書籍:世界のエグゼクティブを変えた超一流の食事術 アイザック・H・ジョーンズ
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