数えてみると、今日がブログ301本目になっていた蒼野です。記念すべき日?ということで(本当は昨日でしたが…)今日はこれからの医療の進歩の中心となってゆくと蒼野が思っている腸内細菌の話題を、もう一度振り返っておきたいと思います。
以前便移植の話を書きましたが、腸内細菌が変わるだけで、病気が治ると言う事実や、健康長寿のお年寄りの腸内細菌には共通点があることや、外来で問診していても、体調が悪いと言われる方は、便秘や下痢などが慢性化している方が多い事などを考えると、想像以上に腸内細菌は我々の健康に影響を与えているものだと思うのです。
現代社会になって、生活の変化は本当に急速です。ここ数十年しか食べていないものや、変化した食べ物の割合、肉体労働が必要な家事等の減少、交通の発達による運動量の減少、デジタルデバイスの発明による睡眠の悪化や、体内時計の乱れなどは、全て腸内細菌に大きく影響します。逆に言えば、健康を保つためには、生活を整えて、腸内環境を良好に保つ必要があるのです。
少し具体的に考えてみます。農林水産省の調査によると、1960年(蒼野が生まれた年です!)の食肉消費量は、1人当たり年間約3キロ程度でした。しかし2020年には50.8キロに増加してしまいました。食欲が増した訳では無いので、その分食物繊維などの減ったものもあると言うことになります。
食べ物のカスが腸内細菌を育てます。穀物、野菜、魚中心の伝統的な食事から、肉食中心の食事への変化は、日本人の腸内環境に大きな影響を与えているはずです。焼肉食べ放題とかで頑張ってしまうと、翌日のトイレで出会うウンチはいつもと違っていないでしょうか? 蒼野が自分で観察すると、色は黒っぽく、臭いがきつくなり、硬めで沈んでしまうような便になっています。
辨野腸内フローラ研究所理事長である、辨野 義己先生は、30代のころ1日に1.5キロの牛肉を40日間食べ続ける実験を行ったそうですが、続けてゆくと、体臭がどんどんきつくなり、皮膚が脂ぎって、便も腐ったような強烈な臭いで、色もタールのように真っ黒になったそうです。腸内フローラを調べると、ビフィズス菌が減少し、悪玉菌優位に大きく変化していました。
辨野先生は、腸内フローラを測定しながら研究を進め、2万人の腸内細菌を調べてこられたそうです。辨野先生が最近心配しておられるのは若い女性の腸内です。腸内細菌は母親から子供に伝わるものなので、適齢期の女性の腸内細菌の状態が、直接子供の健康にも影響を与えるからです。
調べるサンプルの便の中に、強烈な悪臭を放ち、石のように硬く、コロコロで、層状になっているウンチがあるそうです。その主は20歳の女性。不規則な生活で、お腹が空いたらお菓子で紛らわせる生活でした。喉が渇いたらペットボトルのジュースです。最近はこういう若年女性が多くなっているそうです。
調べた女性の半数は、3日間以上排便がない便秘で、臭くて硬い便となっています。間食でスナック菓子を食べる人が多く、喫煙や飲酒の習慣はない人が多いのです。ご飯よりもパンを食べる人が多いようです。善玉菌が急激に減り、悪玉菌が増加している状態です。
腸管運動が鈍くなって便秘となり、ビフィズス菌が減少・消失する変化は、加齢による変化と一致します。こういった腸年齢の老化が進むと、通常の生理機能が低下し、腸内でつくられた有害物質が再吸収され、老化がさらに加速するという悪循環に陥ってしまいます。自分の腸年齢をチェックしてみると良いですね。蒼野は腸年齢チェックシートでは3項目だけで、実年齢なりの腸年齢でした。
腸年齢チェックシートを多くの方にやってもらうと、若ければ若いほど腸年齢と実年齢に開きがあることが判明したそうです。20代の腸平均年齢は45.7歳、30代で51.3歳、40代で54.2歳でした。20代だと、食事を気をつける人が少ないためか、平均で20~25歳も腸年齢が高くなっていました。
子供は産道を通って出てくる際に、無菌の状態から、母親の腸内細菌を譲り受けるのです。若い女性の食生活や生活習慣が、生まれてくる自分の子どもの一生の健康を左右する可能性が有ると言うことは知っておく必要があるのです。妊娠・出産時期の母親の腸内環境は本当に大切なのです。
改善方法はプロバイオティックス+プレバイオティックスであることは何度も書いて来たのですが、具体的な方法としては、毎日300g以上の無糖ヨーグルトを食べていると、下剤を使って、2週間に1度しかウンチが出なかった女性たちでも、ほとんどが1週間程度で出るようになるそうです。
排便を促す腸のぜん動運動は、1日に1~2回程度しか起こらないので、その時を逃さないことが重要です。便意が起こっても、そのときに排便しなければ、次第に直腸は便意を伝えなくなります。我慢せずにトイレに行く習慣をつけましょう。
便秘が深刻なのは、若い世代ばかりではなく、高齢者も同じです。下剤を使うと頻回の下痢になってしまう人も多く、こういう高齢者にも、毎日250グラムのヨーグルトを続けてもらうと、6割の方が、下痢の回数が緩和し、便の状態も正常に近づきました。
腸年齢が実年齢以上に老いてしまう最大の原因は、食生活です。腸内の悪玉菌の大好物は、たんぱく質や脂肪を多く含む食品です。ビフィズス菌など善玉菌の好物は野菜、海藻、穀類などに豊富に含まれる食物繊維やオリゴ糖などです。食生活はヒトによって本当に違っているのは、いつも問診で聞いている蒼野も実感するところです。
糖質制限で肉ばかり食べる人や、野菜をほとんど食べず、インスタント食品やお菓子などの偏った食生活を送っている人は、頭痛や倦怠感、あちこちの痛みや、不眠、メンタルの悪化などがみられる人が本当に多いと感じています。自分の腸内環境のチェックは常に行うことをお勧めします。
簡単なチェック方法は、ウンチの観察です。便秘や下痢でないことが前提ですが、健康なウンチかどうかを判断しましょう。善玉菌優位のウンチは、色は黄色く、水分含量が多く、力を入れなくてもするんと出て来ます。
食物繊維を一日15グラムとれば、100から150グラムのウンチになります。ウンチ100グラムの量はバナナ一本分くらいです。理想は1日300g以上、1日にバナナ三本の量が出ているかチェックしましょう。規則的な排便の習慣を身に着けて、自分のバイオリズムの中で一定の時間に出すのが理想です。
ウンチを出すための腸腰筋や腸骨筋などのインナーマッスルを保つことも重要です。毎日の運動も、スキマ時間で良いので、必ず行いましょう。スロースクワットや座位での足上げなどがお勧めです。毎日快適に過ごすために、そして健康長寿につなげるために、腸年齢を若く保ってゆきましょう。
最近以前にも増して色々考えながら食べるようになり、トイレでいっぱい出ると嬉しくなる蒼野でした。
参照ページ: 腸年齢チェックシート https://bifidus.jp/choselfcheck/
参照書籍 : 「腸内細菌」が健康寿命を決める 辨野 義己
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