お酒に関する意外な真実!

2022/10/20

 秋の夜長、お酒も美味しい季節になって来ましたね。今日は定期的に書いているアルコールの話です。肝臓専門医の加藤眞三先生が書かれた著書に、知らなかったお酒の常識をたくさん目にしたので、今日は皆様にも知っておいてもらいたいと思います。

 アルコールは健康のためには、一滴も飲まない方が良いというエビデンスのある論文は既に発表されています。しかしアルコールの依存性は大麻よりも強く、世界では禁止されている国もある一方、日本では社会的に、世界でアルコールが最も容認されている国であり、身体に悪いと思っていない人が大多数を占めているという現実があります。

 交通事故に遭うまで毎日飲んでいた蒼野自身は、ある意味巡り合わせで、日常的にアルコールを飲みたい気持ちは消すことができました。しかしキッカケがなければ今でも飲んでいたと思うし、自分が飲んでいたら、アルコールが悪いという情報をこんな風に勉強することも無かったように思います。

 健康で、毎日美味しくお酒を飲んでいる人に、止めましょうとは言いません。しかし健康を害さないようにお酒との付き合い方を考えてみるのは良いことだと思います。どうせ飲むのなら、身体への負担を少しでも減らしたいですよね。お酒を飲む時の常識として、間違われやすいものについて、是非知っておきましょう。

 お酒を沢山飲む前には、予防としてウコンのドリンクなどを飲んでいる人がおられるのでは無いでしょうか? 実はウコンがアルコール性肝障害を予防するというデータはありません。ウコンには鉄がたくさん含まれており、それが肝臓をさらに痛めてしまう場合が有るそうなのです。

 全身の栄養をコントロールする肝臓にも沢山鉄が貯蔵されています。お酒を飲むと酸化ストレスが発生するのですが、この鉄が酸化されると、ヒドロキシラジカルと言って活性酸素の中で最も酸化力の高い物質ができるために、肝臓の傷害が進みます。アルコールによる肝機能障害はこうして起こるのです。

 ウコンを飲むことで、体内に鉄が増えてしまうと、余計にヒドロキシラジカルができる可能性があります。実際にC型肝炎や、2型糖尿病の人がウコンを飲むことで、肝臓全体が傷害され、劇症肝炎になった例が報告されています。肝硬変だった女性がウコンの摂取で死亡した例の報告まであるのです。

 ウコンは、二日酔いを予防してくれると謳われているのですが、この作用も医学的には眉唾です。二日酔いにならないためには、沢山飲まないことが一番です。アルコールの代謝には、肝臓で水分が多量に使われます。飲んだ夜中に喉がカラカラで目が覚めたりしますよね! チェイサーで同量以上の水をしっかり摂取するのが一番です。

 肝臓が元々悪くなっている人にとって、ウコンの摂取はリスクがありそうですね! クルクミンに抗炎症効果はありますが、盲目的に常用するのは避けるべきだと思います。ちなみにシジミ汁も二日酔いに良いと言われていますが、シジミにも鉄分がたっぷり含まれているため、こちらも信じない方が良いようです。

 飲む前に牛乳やチョコレートを摂取して、胃の表面をコーティングすると、アルコールの吸収が減って酔いにくくなるというのも根拠が無いそうです。アルコールはもちろん胃からも吸収されるのですが、小腸などからも素早く吸収されるため、予め牛乳やチョコを食べていても、吸収量は変わらないのです。

 アルコールはアルコール脱水素酵素によって分解され、酵素を助ける物質が食べ物に含まれるNADです。これは牛乳や、チョコに限らず、アルコールと一緒に食事を摂ることが大切です。脂肪肝の原因になる、脂質が多い牛乳やチョコレートよりも、焼きおにぎりなどの炭水化物の方が肝臓の負担は軽くなります。

 肝臓はグリコーゲンから血糖値を上げてコントロールする作用があるのですが、アルコールを多量に処理しなければならなくなると、血糖値を上げる作用が疎かになるため、特に糖尿病薬やインスリンを使っている人では、低血糖を誘発することがあります。糖質が多すぎる食べ物でなければ、シメの食事を摂っておくことは悪いことではありません。果糖は脂肪肝の元になるため、甘い飲み物だけは避けるようにしましょう。

 お酒を飲むなら身体に良い赤ワインと思われる方も多いかもしれません。蒼野もかつては赤ワインを中心に飲んでいました。確かにレスベラトロールなどのポリフェノールは身体に良くて、フレンチパラドックスと言って、高脂肪食を摂っていても、赤ワインの消費の多い国では、心臓死が少ないことがわかっています。

 しかしこの事実から日本でワインブームが起こると、日本人の心臓死は増えてしまいました。赤ワインと一緒に沢山の肉を食べる食生活に変わったためと考えられています。フランスは、赤ワインによってアルコール摂取は多い国です。国民のアルコール性肝硬変やアルコール性膵炎の罹患率はとても高いのです。

 しかも身体に良い効果が出るだけのレスベラトロールを摂取しようとすれば、1日10L飲まなければいけないそうです。チョコレートのカカオポリフェノールの方がよほど摂りやすいと言われています。総じて赤ワインもアルコールのデメリットの方が大きいのです。赤ワインが身体に良いというのは、フランスのワイン業界の宣伝であるというのが真相です。

 アルコールは毎日の習慣になってしまうと、肝硬変の原因となります。肝硬変になっても飲み続けていると、5年間で65%の人が死亡します。現在の日本でも、肝機能障害の患者数はここ30年で、どんどん増えており、3人に一人が肝機能障害を抱えています。

 特に肝硬変になりやすい人について知っておく必要があります。アルコールだけでなく、甘いもので起こる非アルコール性脂肪肝炎は、肝硬変から肝がんになるリスクが高い病態です。脂肪肝を合併している太った人の中からこういう病態に移行します。BMI25以上ある人は肝硬変になりやすいのです。

 肥満だけでも非アルコール性脂肪肝炎を起こし、肝臓が元で死ぬ人は通常の1.29倍になります。肥満+アルコール120g/週で、肝硬変になって死ぬ確率は、通常の4倍近くになると言われています。アルコール週120gといえば、ビール350mlで6本です。なりたくなければ肥満を改善するか、アルコールを止めるか、理想はどちらも改善することになります。

 また痩せていても、食事を摂らずにアルコールだけ飲む習慣がある人は肝硬変リスクが高い人です。低栄養でアルコールを飲む人は、エネルギーを与えずに肝臓を酷使していることになり、どんどん肝臓が弱ってゆきます。

 そして全ての女性に、肝硬変リスクがあります。エストロゲンの関係で、少量のアルコール摂取でも肝硬変になりやすいのです。男性はアルコール性肝障害が出るまで20年掛かりますが、女性は10年です。そして30~40代の若年で肝硬変になってしまう人が多いのです。毎日15g位の摂取で、35歳で亡くなる人もいるくらいですから、アルコールを習慣にすると、長生きは難しいと思います。

 また閉経後にも、肥満+1日15g(缶チューハイ1本程度)で、乳がんのリスクも3倍になります。日本人のアルコールが関与した死亡数は年間35000人も居るのです。女性の肝硬変はここ30年で3.7倍に増えています。飲まなければやっていられない社会なのかも知れませんね…。

 アルコール性肝障害は患者が一番の被害者です。アルコールは飲めば飲むほど依存が強くなる薬物です。酒税のこともありメディアでは語られにくいことですが、健康でいたい人には、どんなに体に悪いかを知っておいて欲しいなあと思います。だんだん毎日飲んでいた頃の気持ちがわからなくなってきている蒼野でした!

参考書籍: 肝臓専門医が教える病気になる飲み方、ならない飲み方  加藤 眞三

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