最近健康診断のバイトに時々行っている蒼野です。ただ診察するだけでは面白くないし、喜んでもらうこともあまり無いので、必ず「今困っていることはありませんか?」と一言聞く様にしています。すると頭痛をなんとかしたいと言われる方が結構居られ、対処法をお話しするとすごく感謝されることが多いです。
ブログを書き始めた頃に片頭痛の対処法について、何回かに分けて書いていたのですが、最近は読んでくれる方も増えた様に思うので、もう一度まとめて対処法について書いておこうと思います。全員が上手くいくとは思いませんが、蒼野が説明し、良くなった方がたくさん居られる方法ですので、皆様のお役にも立てるかもしれません。
慢性的な頭痛に悩む日本人は、約4000万人も居られ、まさに国民病の有様です。もちろん中には、頭蓋内出血やくも膜下出血、脳腫瘍などの命に関わる病気が隠れていることもあり、新たに起こった、今まで経験のない様な頭痛は、必ず脳神経外科などを受診して、一度は画像で確認して欲しいと思います。
患者数としては、肩、首凝りの頭痛である緊張型頭痛が最も多いです。蒼野も、若かりし頃、ゲームにハマって長時間ぶっ続けで下を向いて熱中していたりすると首がガチガチになって、それに伴い頭が重く、締め付けられるような頭痛を経験したことがあります。誰もに起こる頭痛であり、下向きでの長時間労働に就いている様な方では、慢性化して問題になることがあります。
しかし仕事の合間にこまめに肩や首を動かし血流を改善したり、姿勢に気をつけたり、痛み止めを飲んだりすると、解消する場合が多く、いわゆるただの頭痛として、対処されるものになります。市販の頭痛薬を活用すれば、生活の質が落ちるほどの頭痛では無い場合が多いのです。
片頭痛も肩、首凝りが誘因になる場合も多いです。ストレスも大きな誘因ですが、ストレスがあると肩や首の筋肉は緊張し凝ってしまうのです。そのため片頭痛なのに、緊張性頭痛と考えている人も多くいらっしゃいます。もちろん片頭痛+緊張型頭痛の場合もあるのですが、きちんと鑑別できている人は少ないと思います。
この二つの鑑別としては、頭を動かしたり、しゃがんだりなど、体動時にズキズキ痛むのが片頭痛です。片頭痛の人は頭痛がある時は動きたがらず、暗い部屋で静かに寝ていたい、ということを覚えておきましょう。純粋な緊張型頭痛は、頭や首を動かして血流を改善すると良くなります。動くのが嫌で無い頭痛は緊張型頭痛なのです。
片頭痛は日本全国では840万人、患者の74%が日常生活に支障をきたしており、市販の痛み止めでは止まらない発作になる場合も多く、困っている人が多い頭痛です。仕事中に痛くなると、能率は激減します。欠勤や早退などが必要になることもあり、日本の片頭痛による毎年の経済的損失は2880億円と試算されています。
しかし我慢強い日本人は、いつもの頭痛で病院を受診する人は30%に過ぎません。大半の方が頭痛薬を買って、肩、首をほぐして乗り切ろうとしています。頭痛薬のテレビCMが多い事に気づかれている方も多いのではないでしょうか? 中には市販薬の飲み過ぎで、薬剤の使用過多による新たな頭痛が起きて、一日中痛む様になって初めて受診される方も多い印象です。
受診したクリニックが、頭痛に興味のない先生の所だと悲劇です。大きな疾患がない事が判れば、市販薬と同じ様なロキソニンやイブプロフェン、カロナールなどと、筋肉をほぐす薬、一時的には気分を落ち着かせて痛みが良くなるベンゾジアゼピン系の精神安定剤などを処方されてしまうことになります。これは結構あるあるなのです。
懺悔も交えて告白すると、実は蒼野も研修医の頃は頭痛に興味がありませんでした。脳腫瘍や脳卒中にばかり目が向いていました。漢方の知識も無く、外来に多く来る頭痛患者様は、肩こりがひどい人が多く、ほとんどを緊張型頭痛と診断(誤診!?)していました。頭痛で死ぬことは無いので、まさに上記のワンパターンの処方しかしていなかったのです。
痛み止め+筋緊張緩和剤+精神安定剤は、ある程度効果はあります。しかし長期に渡って飲み続けると、痛み止めで薬剤使用過多による頭痛の発症に繋がり、ベンゾジアゼピン中毒を作ってしまいます。それだけでは片頭痛のコントロールはできないことが多いのです。自分が若い頃、診せてもらった患者様には申し訳無かったと思います。
片頭痛のメカニズムについては、まだ全部は分かっていません。蒼野が良く患者様に説明するお話でイメージを掴んでもらえれば、対処しやすいと思うので書いてみます。片頭痛は体質の頭痛です。様々な環境変化などに鋭敏に反応する体質です。片頭痛が女性に多いのは赤ちゃんのちょっとした変化にも気づいて対処できる能力にも繋がっています。大事な能力なのでその体質は遺伝して受け継がれてゆくのです。
つまり環境変化が片頭痛の誘因になります。ストレスの増減、ホルモンの増減(生理周期)、睡眠の増減(睡眠不足や寝過ぎ)、天気(気圧の増減)、肩首こり、血糖スパイクなどの体内炎症、食事の味の素や甘味料などの化学物質、強い匂い、強い光、温度変化、アルコール、その他にも様々なものが片頭痛のキッカケになります。
キッカケがあると、三叉神経からCGRPという血管を拡張させ、炎症を起こす物質が放出されます。脳内に頭痛物質が溜まり始めるイメージです。この時点で頭痛の予兆を感じる人も多いです。中には閃輝暗点といって、キラキラしたものやギザギザしたものや渦巻きなどが視野に入ってくる人もいます。
反応が進行し、頭痛物質が入れ物の中で一杯に溜まり、こぼれてしまうと頭痛になるイメージです。現在の片頭痛治療薬(急性期に使うトリプタンやレイボー)は、CGRPが溜まるのを止めてくれる薬です。痛みを止める作用はありません。痛くなってから使っても効かないと感じる人も多いのです。予兆や閃輝暗点が出始めて15分くらいがベストな使用タイミングです。
頭痛物質が溢れる前にCGRPを止めることができれば、痛みにならずに済みます。しかし片頭痛はCGRPが溜まり続ける時間が、3時間~72時間程度です。トリプタンやレイボーの効果が切れてくると、再びCGRPは溜まり、やがてこぼれます。こぼさないように飲めるよう、使いながら飲むタイミングを覚えてゆくとコントロールが容易になります。
飲むタイミングが遅れて、頭痛物質がこぼれてしまった時点では、片頭痛治療薬と一緒に、こぼれた頭痛物質を拭き取る、痛み止めが必要です。同時に飲んでも構いません。頭痛物質の流入が止まり、こぼれた頭痛物質が無くなることで頭痛は改善します。
痛み止めのみの対処では、頭痛物質を拭き取ろうとしても、頭痛物質の流入が止まっていないために、拭いた端からこぼれてくるために頭痛が治らないということになります。結局寝込んで頭痛物質の流入が自然におさまれば、頭痛が改善するという感じになるのです。
頭痛回数が多い人については、片頭痛治療薬や痛み止めの使用回数が多くなってしまいます。使い過ぎると薬剤使用過多の頭痛が出現してくるため、環境変化があっても頭痛物質が出てきにくいように、頭痛予防薬を飲んだり、注射したりする方法があります。これは頭痛専門医に罹って出してもらう必要があるので、悩んでいる方は一度受診してみて下さいね!
蒼野の経験からの私見ですが、漢方でも、証を見極めれば、同じように頭痛予防になる薬があります。薬局で買える薬もありますので、過去ブログをご参照ください! 鍼やマッサージ、温熱などでのコントロールが著効する人もいます。
ひどい頭痛でお悩みの方は多いと思います。基本的には誘因を避け、十分な睡眠を取り、体内時計を正確に刻める生活を送れば、頭痛は激減する人が多いです。体内の炎症を抑えるように、食材や食べ方を整え、腸内フローラを正常化すると頭痛はなくなる人もいます。無理をしてストレスが溜まるような形での整え方は、効果は少なくなるので、自分の出来る範囲で少しずつでも頭痛が軽くなる方法を探してゆきましょう。
いざという時には、うまく薬が使えるようになることはとても重要です。自分に合った武器を探すことも大事ですので、アドバイスが欲しい方は、公式ラインで気軽にご相談くださいね! 世の中の片頭痛で悩む方を減らしたい蒼野でした!
過去ブログ:
もし記事が良かったよ!と思われた方は蒼野健造公式ラインのボタンをポチッと押して、ご登録くださいね。ライン登録された方で希望される方は、オンライン面談での相談に乗りたいと思っております。