世の中には様々な情報があるので、最初に見た情報、学校で教えられる情報、世の中で沢山目にする情報が、正しいと思うのは自然な事だと思います。蒼野自身も、今信じている情報が全て正しいという自信はありませんし、確信がある訳でもないのですが(いい加減な奴だと怒ったりしないで下さいね…)、個人のブログですので、今まで勉強してきて、健康に役立つと思うことを書いてゆこうと思っています。
なぜこんなことを書くかと言うと、危険な食べ物について等の情報は、賛否両論があり、その食べ物業界に携わる人にとっては、死活問題につながったりすることもあるからです。前回は小麦について書きましたが、小麦業界の人、ごめんなさい。
栄養学の研究にはかなり胡散臭いものが多いのです。その研究は時間と金がかかる割に評価が低いし、お金が集まりません。わざわざ資金を提供するのは食品業界だけであり、援助を受けた研究者は業界に好都合な結果を出さざるを得ないのです。まさか、研究者ともあろうものが業界に不都合な結果を発表しないなんて、と思うでしょうが、業界は具合の悪い結果を出した研究者には2度と資金は提供しません。研究者も生活している人間ですから、業界に都合のよい研究結果だけが集積する傾向が強いのです。
蒼野はその点も考慮して、利害関係のない所から出た身体に良くない情報や、疫学とか人類本来の生活の中の食べ物とかの研究から、食べたら良いものと、食べるべきではないものを書いてみたいと思っています。
今日は牛乳の話です。アメリカの乳製品消費量は世界最高の水準にあり、乳製品のカルシウムは、全食品からのカルシウム摂取量の72%に相当するのに、骨粗鬆症と骨折の発生も高率です。このことから、多くの研究者が乳製品の摂取を奨めて骨粗鬆症を予防しようという栄養政策の有効性に疑問を投げかけています。
世界健康機関(WHO)は、 2003年、このカルシウム・ パラドックスの存在を認め、 骨折率の高い国々に居住する人と世界中の50歳以上の人に対する、あらゆる食品からの最小カルシウム摂取量として400-500mg/日を 勧告しています。
骨粗鬆症は、単にカルシウム摂取だけで解決する病態ではありません。食事中のタンパク質(乳製品のタンパク質も含む)は、体内のカルシウム・バランスに影響を与えます。カルシウムの尿中消失が増すと骨からのカルシウム吸収が増加し、その結果として骨折が増える。多くのカルシウムの代謝実験によると、タンパク質摂取量が2倍になると、尿中へのカルシウム消失は50%増加するのです。
また乳製品には多量のナトリウムを含むものがあります。ナトリウムとカルシウムは尿細管からの再吸収で競合するので、ナトリウムが多いとカルシウムの尿中排泄が増加するのです。
また、ビタミンDはカルシウムの吸収、骨発育、骨の再生に重要な役割を果たすのですが、牛乳が骨粗鬆症を改善したという論文の牛乳には、ビタミンDが添加されていました。
今までの研究でみる限り、牛乳がカルシウムの摂取源として優れているという証拠はない様です。実際、骨の健康に対する食事性因子に関する研究で、乳製品だけを取り上げた研究は少ないのです。1994年に出たNIH(米国国立衛生研究所)の最適カルシウム摂取量に関する合意文書でも、牛乳がカルシウムの摂取源として優れている、と言う記載はありません。
しかし、『牛乳はカルシウム含有量が、他の食品よりも高い』という理由が分かりやすいこともあって、政府も酪農業界・乳業メーカーの「牛乳が優れている」「骨粗鬆症の予防に牛乳のカルシウムを!」という主張を繰り広げています。資本主義の不都合な真実なのでしょうか?
先ほども述べたように、食品中のカルシウムが利用されるには多くの要因が関係しています。例えば、乳製品のカルシウムは、濃緑色野菜のカルシウムほどには吸収されず、その吸収率はカルシウム・サプリメント、カルシウム添加飲料、カルシウム入り豆腐、さつまいも、豆類のカルシウムと同程度です。
乳製品には、タンパク質とナトリウムが多く。ある種の乳製品(プロセスチーズなど)は、ナトリウム、含硫アミノ酸、リンが多いために、尿中に排泄されるカルシウムが増量するからです。牛乳で摂れるほどのカルシウムは、ほぼ等量の野菜からも、穀物からも摂れるのです。
蒼野は、牛乳を沢山飲むと、お腹が緩くなります。またスギ花粉症なのですが、春に乳製品を摂ると明らかに鼻水の量が増えるのです。自分の体験から、今まで読んだ本は、牛乳の害の話が多かったので、現在はそれを信じています。今回は内容が多くなりすぎるので、次回に牛乳の害について、書きたいと思います。
今日は『骨粗鬆症予防には、牛乳じゃなくてもいいんじゃないの』というお話でした。
参考文献: Calcium from Milk Products May Not Improve Bone Health
Pediatrics 2005;115:736-43