皆様は喉が痛い時や咳が辛い時にどうされておられますでしょうか。ドラッグストアに行って、咳止めや総合感冒薬を買ったり、クリニックを受診されて、風邪薬や咳止め、中には抗生物質を処方されてもらう人もいるかも知れませんね!それよりも安全で良い方法があることが証明されたので今日はそれを紹介したいと思います。
その方法はズバリ、ハチミツです。まずは2021年の研究論文です。オックスフォード大学が、過去の論文1345件を解析し、正しいと考えられる研究を14件抽出し、系統的レビュー&メタ分析をい行いました。上気道感染症(つまり風邪)に対する、風邪薬などの一般的な方法とプラセボ、ハチミツ使用の、複合的な症状改善度を比較しています。
結果として、ハチミツは、上気道感染症の症状の改善に関して、抗生物質や市販の咳止めシロップや薬などの通常のケアよりも優れていました。咳の重症度、咳の頻度、症状の長さなどが、有意に減少していたのです1)。ハチミツは古くからの伝統的な治療法ですが、その正しさが証明された形となりました。
蒼野自身の体感でも、喉が痛い時にトローチを舐めても、舐めた時だけしか効かず、ハチミツの方が長く効果が持続する印象は持っていました。トローチを舐め過ぎると胃が悪くなることもあり、蒼野は発熱外来でも、患者様にハチミツをお勧めしています。
何度も書いているのですが、風邪はウイルスが原因ですので、抗生物質は効きません。また総合感冒薬は、痛みを抑え、解熱する成分が入っていることから、体温を下げやすく免疫力が低下するため風邪が長引くことが多くなります。ハチミツを舐めながら、栄養を摂ってしっかり休む方が早く改善するのです。
この論文の良いところはハチミツの種類に関係なく有効だったということです。高いハチミツの方がより有効かも知れませんが、日常使いするのには、ティースプーン1杯分の小分けパックなどを御守り代わりに持ち歩くと、いざという時に頼りになるかも知れませんね! もし持っていなくても、コンビニでも買えるので、それでも良いと思います。
風邪は引きはじめの1日目に勝負するのが鉄則ですから、是非使ってほしいと思います。蒼野が若い頃の風邪治療は、必ず抗生剤を出していた時代があったのですが、多くの人が抗生剤を使っていると、抗生剤が効かない耐性菌が必ず生まれてきます。免疫力が低下した人にそんな菌がついてしまうと命に関わる事態になりますので、ウイルス感染には使わないことになっているのです。
次の論文は2018年の小児の急性咳嗽に対する蜂蜜の有効性についてのエビデンスです。過去の九つのランダム化試験を解析し、1230人の子供のデータから、治療なし、プラセボ、蜂蜜ベースの咳止めシロップ、またはその他の市販の咳止め薬と比較しています。
結果としては、蜂蜜は治療なし、またはプラセボよりも咳の頻度を大幅に減らしました。咳止め薬との比較では、デキストロメトルファンとは同等、ジフェンヒドラミンよりも咳の頻度を減らすのに優れている可能性が示唆されました。最初の3日間が特に有効で、4日以降の咳には効きが悪くなっています。有害事象はプラセボや治療なしと同等で、安全であることもわかりました2)。
ただ、お子様が居られる方はご存知と思いますが、ハチミツは1歳未満の赤ちゃんには与えてはいけません。ハチミツに混入しているボツリヌス菌によって「乳児ボツリヌス症(食中毒)」を発症するリスクがあるからです。また生蜂蜜には花粉が多いため、アレルギーを誘発することがあるので、花粉症の人などは、最初に少量舐めて様子を見ることも大事です。
抗菌作用のあるハチミツですが、インフルエンザウイルスに効いたという研究もあります。長崎大学の研究で、試験管内の研究ですが、インフルエンザウイルスの活性が、レンゲ、アカシア、甘露、ソバ、マヌカなどのハチミツで阻害されるのをみた研究です。その結果マヌカハニーが、抗ウイルス活性が最も高いことが判明しました。
ウイルスが細胞に感染するタイミングの、どの時点でハチミツを加えると効果的であるのかを実験すると、細胞に加える前のウイルスをハチミツで処理したものが、最も細胞への感染を防いでいました。マヌカハニーがウイルスを直接不活化している可能性が示唆されたのです3)。
またインフルエンザの抗ウイルス薬との併用では、タミフルやリレンザが、マヌカハニー3.13 mg/mL の存在下で、1000分の1の量で、同等のウイルス阻害活性を有することも分かりました。抗ウイルス薬とマヌカハニーを一緒に摂ると有効性が高まるという事だと考えます。
残念ながらまだ新型コロナに対する効果は検証されていない様です。しかし理論上はインフルエンザウイルスもコロナウイルスも構造は同じなので、効いてもおかしくないと蒼野は思います。マヌカハニーには、他のハチミツには無いメチルグリオキサール(MGO)という成分が入っています。
MGOはタンパク質を糖化して変質させる作用があり、ウイルスの表面を覆うタンパク質を阻害して、失活させると考えられているのです。高MGOのマヌカハニーは高いです。食品ですので、罰則は無いため、高濃度を謳う偽物も出回っている様です。品質保証基準をクリアした、ちゃんとした業者から購入するのが安全です。
少しマヌカハニーについて解説しておくと、主にニュージーランドに自生する植物「マヌカ」の木に咲く花の蜜から作られたはちみつのことです。先住民族マオリ族は、マヌカの木を1000年以上前から、万能薬として使ってきました。
葉は胃腸を整え、ビタミンが豊富なためお茶として飲まれています。樹皮は煮出して下痢止めに、樹液は咳止めや火傷、筋肉痛に、実や種も赤痢や下痢止めに使われます。マヌカのハチミツはとても抗菌作用が強く、ピロリ菌にも有効です。腸内環境を整え、善玉菌を殺さず、悪玉菌だけを殺菌することができる作用を持つそうです。
その蜜が取れるのは年間で花が咲く約4週間だけだそうです。高いはずですよね! 使い方としては、毎日摂るのでは無く、気になる症状や不調を感じる時に一定期間利用するのが現実的です。小さじ1杯5mlを1日3回舐めるのが良いとの事です。
不調がない場合には、最初の論文でもあった様に、普通のハチミツを日常使いにしましょう。シャンプーに小さじ1杯加えるとヘヤパックになります。生ハチミツは歯磨き粉がわりにすると口内細菌を抑えてくれます。ぬるま湯に溶かしてうがいするのは、口の殺菌だけでなく風邪予防にも有効です。炎症を抑える作用もあるので喉の痛みにも有効です。
うがいはぬるま湯150mlにハチミツ15ml(大さじ1杯)程度が目安ですが、お好みで変えて構いません。うがいした後、喉をゆっくり通す様に飲み込むのも有効です。口内炎にも良いですし、二日酔いにも効く様です。鼻うがいにも応用できる様です。慢性副鼻腔炎にも有効です。
何にでも効くというと怪しくなってしまいますが、論文の裏付けもありますし、いろいろ試してみたくなった蒼野でした! 今日さっそく帰ってやってみようっと。
参考文献:
1)Effectiveness of honey for symptomatic relief in upper respiratory tract infections: a systematic review and meta-analysis. ; BMJ Evid Based Med. 2021 Apr;26(2):57-64.
2)Honey for acute cough in children. ; Cochrane Database Syst Rev. 2018 Apr 10;4(4): 10.1002/14651858.CD007094.pub5
3)Anti-influenza viral effects of honey in vitro: potent high activity of manuka honey;Arch Med Res. 2014 Jul;45(5):359-65.
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