食物アレルギーの対処法!

2023/02/08

 そろそろ花粉の季節になりますね。蒼野は30代でスギヒノキ花粉症を発症してかなりのベテランです。2月の声を聞いたらアレルギーの薬を飲み始め、ここ数年は花粉が少なかったこともあり、鼻水が滝のように流れ続ける発作は鳴りを潜めています。事故以来、生活習慣をいっそう気をつける様になったのも関係しているのかも知れませんね。

 今日は食物アレルギーの話を書きたいと思います。食物アレルギーには五つのパターンがあります。一つ目が乳児に起こるアトピー性皮膚炎に関連するものです。卵、牛乳、小麦が原因になることが多く、3歳までに5割、小学校入学までに8~9割が治るものになります。

 二つ目は粉ミルクによるアレルギー=新生児・乳児消化管アレルギーです。赤ちゃんにミルクを飲ませたら嘔吐や下痢、血便などがみられるものになります。親御さんはすごく心配だと思いますが、アレルギー用のミルクを医師の指示で使いながら様子を見れば、1歳で5割、2歳で9割は治るものになります。

 三つ目からが我々大人にも関係するものです。リンゴや桃、洋梨、大豆や豆乳などを食べると口の中や喉、耳の奥などに痒みや痛みが起こるアレルギー=口腔アレルギー症候群です。特定の植物の花粉症と関連があり、ハンノキ、シラカバ花粉症の方の罹患率が最も高く約40%で、スギ花粉症の方は約10%にこの症状が起こります。

 原因になる食べ物で1時間以内(15分以内が多い)に症状が出現し、最悪の場合にはアナフィラキシーショックになることがあります。生の原因物質が口腔粘膜に触れると起こり、過熱すれば起こらないことが多いです。ラテックスゴムにもかぶれることが多いので、別名ラテックスフルーツ症候群とも呼ばれています。

 これは病院では有名で、手術や処置をする時に患者様にアレルギーがある時には、ラテックスが入っていないゴム手袋をつけるように気をつけています。コンドームでもラテックス入りのもので起こるため、診断された方はゴムにも触れないように十分な注意が必要です。

 四つ目が普通の一般的な即時型食物アレルギーです。幅広い年齢層に見られますが、子供の患者数は加齢とともに減少してきます。20歳を超えて初めてアレルギーが出る人が少し居られ、エビカニや小麦、青魚、果物、大豆などが原因になりやすいです。最近ではナッツによるアレルギーが増えており、アナフィラキシーショックのリスクが少し高いため、注意が必要です。

 ほとんどが食べて30分以内、少なくとも2時間以内に皮膚や粘膜、消化器、呼吸器の症状が出るため、比較的原因物質の同定は容易です。しかし中には食べてから5~14時間後に、急に症状が出るため、アレルギーの原因が分かりにくいことがあります。それは蒼野もお勧めする健康食材である納豆のアレルギーです。起こりにくい発酵食品で起こるアレルギーというのは特殊です。

 アナフィラキシーショックになることもあるため、危険なアレルギーでもあります。納豆アレルギーがあっても、大豆アレルギーでは無いのです。これは納豆に含まれるネバネバの元である、ポリグルタミン酸(PGA)によるアレルギーと考えられています。

 実は納豆アレルギーになる人は、有毒クラゲに刺される機会が多い人という特徴があることで有名です。クラゲの触手が触れると、その毒針にPGAが含まれているのです。何度か刺されるうちに、アレルギー反応が起こる様になります。納豆は、発酵の過程でPGAが増えてくるため、納豆を食べると、蕁麻疹やショックが起こる可能性があるのです。

 サーファーに多く、ダイバーや漁業従事者にも見られます。PGAが腸管内で分解されて小さい分子になった段階でアレルギー性が出てくることから、食べて半日程度の時間がかかる遅発性アレルギーになります。動物に刺されることで起こる食べ物アレルギーが発見されたのは2004年ですから、新しい概念なのです。

 厄介なことにこのPGAは、様々な物質を安定させる作用があるので、身の回りの多くのものに含まれています。食品の保存剤・増粘剤・旨味成分・化粧品用の保湿剤・医薬品・工業用品など多岐にわたるので、PGAでひどい症状が出る方は、色々な物に注意が必要になります。中華クラゲや冷やし中華を食べて、中華街から搬送されることもあったそうです。

 蒼野は小さい頃から海が好きで、小学生の時の作文で、世界中の海に潜る海洋科学者になりたいと書いたことがあります。社会人になって独身時代には、瀬戸内海で波が無かったため、ウインドサーフィンに熱中していました。夏になる度に沖縄に潜りに行く、素人ダイバーでもありました。納豆は大好きで、健康のためにも毎日食べているので、クラゲに刺されなくて良かったなあと思います。

 最後の五つ目は食物依存性運動誘発アナフィラキシーです。これも大人でも起こります。主に学童期以降にみられるアレルギーで、特定の食べ物を食べて、2時間以内に運動した時だけ現れる変ったアレルギーです。通常は食べただけでは症状は出ないのです。体調が関係するため、運動以外にも、寝不足や疲れ、風邪やストレス、月経前や天気なども関係して、症状を起こすことがあります。

 学童が昼食後の休み時間に鬼ごっこをしたり、5時間目が体育の授業だったり、昼食後に部活をしたりしたときに起きやすいと言われています。10~20歳代で、男子に多く、中学生の6000人に1人の頻度でみられるそうです1)。これも死亡例の報告があるため侮れません。こういうことがあるということを知らないと、診断されないアレルギーですので、疑うことが重要です。

 食後の散歩や入浴、飲酒が引き金になることもあります。特に大人の女性では15%に痛み止め(NSAIDs)の服用で起こることもあります。原因食物は日本人では小麦60%、甲殻類30%です。専門医での原因物質の同定と、その除去、もし食べた場合には運動は避けることが大切です。

 どのアレルギーでも共通ですが、アナフィラキシーの既往がある様な人では、常に緊急時のアドレナリンの自己注射製剤(エピペン)を持ち歩くこと、すぐに救急要請することが命を救う事につながります。もちろん蕁麻疹だけのように軽い場合も多いのですが、最悪を考えて行動することが大事だと思います。

 ひどいアレルギーで喉が腫れてしまうと、呼吸が出来なくなります。気管内挿管チューブも入らなくなるので、窒息のリスクがあるのです。滅多に無いことだとは思いますが、日本人の食べ物も欧米型に変化して、花粉症を始めとするアレルギーは増えてきています。ショック症状は病院を救急受診する人の10人に1人、初発例は64%もおられるので、おかしいと思ったらすぐに救急車を呼びましょうね!

 最近では木の実のアレルギーが増えており、特にカシューナッツが多く、クルミがそれに続いています。蒼野もお勧めする食材が多いので、皆様も十分にご注意を! 蒼野も家族共々気をつけたいと思います。

参考文献:

1)食物依存性運動誘発アナフィラキシー. ; アレルギー.2007;56(5):451-456.

参考ページ:令和3年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業 報告書
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_220601_01.pdf

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