スマホ依存の治し方

2021/12/23

 今日は昨日に引き続き、どうやってスマホと付き合ってゆくか、について考えてみたいと思います。大人の我々は、今までの経験もあり、すでに熱中できるものを持っていれば、スマホ一択の依存にはなりにくいと思います。物心ついた時からスマホがそばにあった、今の子供達にとっては、本能のままにスマホを使っていたら、大なり小なり、必ず依存状態になり、メンタルにも、身体にも重大な影響が出ることがわかっています。

 ただ昨日も書いたように、スマホ自体が、人間の報酬系に作用し、触るたびにドーパミンというご褒美が、脳内に生み出されるように設計されています。『次は勝てるかもしれない』と思った時にドーパミンが出るギャンブルと、全く同じ理由で、『何か素晴らしい情報が得られるかもしれない』とか、着信音で『何か重要な連絡かもしれない』と思っただけで、ドーパミンが分泌されるため、本能的にスマホを触らざるを得なくなるのです。

 これは特に脳が未熟な若者にとっては、大きな問題です。脳の発達は、後ろから前へと言われています。脳の報酬系は小学生でも、すでに機能しているのですが、自分の衝動にブレーキをかける役割のある前頭葉は、25歳くらいでようやく成熟するからです。子供の脳は、ご褒美には非常に弱く、ご褒美がもらえる衝動を抑える事ができません。

 蒼野の場合のスクリーンタイムは、パソコンで書いている時間が多く、1日平均では4時間半でした。昼休みを入れて職場で9時間過ごし、通勤時間は朝25分、帰り歩行で1時間15分くらい。健康のために7時間位は眠りたい。となると後1日に残された時間は2時間です。その間に夕食と入浴があると、本当に時間がないなあと感じます。現代は忙しく、時間は有限です。

 研究によると子供の1日の子供の理想的な時間配分は、運動が1日最低1時間、睡眠が9~11時間、学校が6時間くらいでしょうか? スクリーンタイムは1日2時間以下が理想です。しかしこの時間配分を保てているのは20人に1人だそうです。

 理想的な時間配分で過ごしたとしても、残された時間は4時間です。遊んだり、友達と話したり、スポーツしたり、勉強したり、本を読んだり、楽器を弾いたりする時間は、10年以前に比べて大きく減っています。

 スマホが全て悪い訳ではありませんが、色々な才能を伸ばせる、貴重な時期に、その時間がなくなるのは勿体無いと思います。またスマホで、すぐにドーパミンが出ることに慣れてしまうと、ドーパミンが出るまで、我慢して練習することが難しくなってしまうのも問題です。

 まずスマホの依存性について子供に理解してもらいましょう。それからスクリーンタイムの確認を、親子ですることが大事だと思います。確認したら、その時間で、できなくなっている事が無いか考えてみましょう。何に時間を使うかは、自分次第です。特に体を動かさなくなっていることは大きな問題です。何でも良いので、毎日体を動かしましょう。

 運動すると、ドーパミンが分泌され、幸せな気持ちになります。続けていれば、脳が発達して、賢くなり、集中もできる様になります。ストレスにも強くなり、発想力も豊かになって、記憶力も良くなります。脳がレベルアップするのです。学校の勉強も楽になり、成績も良くなります。色々なことに自信ができてきます。自己肯定感も上がり、何かに熱中できるスパイラルに入る事ができます。スマホより面白い事ができれば、必要に合わせてスマホとも付き合って行けるのです。

 スマホの時間がもったいないという共通認識が出来たらなら、次の事を試しましょう。

中毒性のあるアプリを消去しましょう。

集中する必要がある時間には、スマホをオフにしましょう。

時間を確認する時には、スマホではなく、時計を見ましょう。

プッシュ通知を全てオフにしましょう。

スマホ画面をモノクロにしましょう(ドーパミンの分泌量が少なくなります)。

チャットやメールをチェックする時間を決めましょう。

人と会っている時には、マナーモードにして、取り出さないようにしましょう。

ベッドに入る1時間前には、電源を切りましょう。

SNSはスマホからアンインストールして、パソコンだけで使いましょう。

運動は、最低週3回45分、心拍数が上がって汗が出るくらいの運動を行いましょう。

スクリーンタイムは、8歳以上なら最長2時間、8歳未満なら1時間を守り、他の楽しいことに時間を使いましょう。

 以上の方法がうまくいかない場合には、もう少しパワフルなテックブレイク(tech breaks)という方法もあります。カリフォルニア州立大学の真理学、テクノロジー依存症のLarry D. Rosen教授が提唱している方法です。

 まず、1分間だけスマホを操作します。メールやSNSなどすべてのチェックをこの時間で終わらせます。1分間が過ぎたらスマホの電源を切り、15分のアラームをセットし、画面を下にして置きます。スマホの画面が下になっていることで、心配してストレスを感じることもなくなります。15分経過後、また1分間ですべてのチェックを済ませます。

 頻繁にスマホをチェックしないのが普通のことと感じられるようになるまで、このサイクルを続けます。翌週は20分、その翌週は25分と5分ずつ長くしていくことで、常にスマホを気にする習慣から抜け出すことができるとのことです。

 実際に、スマホ依存があって、既に頭痛や、睡眠相後退、メンタルの不調、不登校などの状態がある場合は、本当に時間がかかると思います。自分の時間の使い方は、自分で決めるしか無いのですから、まずその病態を認識してもらい、回復するという決意を持って、少しずつ取り組むしかないのかな、と蒼野は考えます。スマホの時間を、楽しい運動の時間に変える事が、解決のきっかけになることを願ってやみません!

参考書籍:   スマホ脳    アンデシュ・ハンセン

        最強脳     アンデシュ・ハンセン