今日はスーパーフードの一つ、ブロッコリーを深掘りしてみたいと思います。アブラナ科アブラナ属の緑黄色野菜で、キャベツや芽キャベツ、カリフラワー、カブ、白菜、大根、わさびやホースラディッシュ、ルッコラやクレソンの仲間です。いずれも身体に良さそうな野菜です。
アブラナ科野菜の摂取は、癌予防、特に肺がんと消化管の癌の発症と逆相関し、リスクを低下させるデータが多いです。中でもブロッコリーには、強力な抗酸化作用を持つスルフォラファンが豊富に含まれています。体内の酸化ストレスを減らし、我々の細胞を守ってくれるので、アンチエイジング効果も期待できる成分です。
スルフォラファンの抗酸化作用は、ビタミンCやビタミンEのように直接、活性酸素を中和する作用ではありません。細胞の抗酸化応答に働く因子を活性化し、細胞内で抗酸化酵素や、デトックス酵素の遺伝子発現が促進され、活性酸素が除去されます。他の抗酸化酵素であるSODなどの産生を促進する作用もあります。
その他にも、炎症を起こすサイトカインや酵素の産生抑制作用もあり、炎症自体も抑えてくれるのです。がん細胞の増殖を抑制し、がん細胞の自己消滅(アポトーシス)を促すことや、がんの発生を防ぐ酵素、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)を活性化させる働きもあります。
GSTは細胞内でできる、有害な化合物を代謝する酵素で、細胞内でグルタチオンと結合して、毒性物質を無害な形に変換し、がん発生のリスクを低減する働きがあるのです。有害物質の排出を促がす、デトックス効果のある物質なのです。
その他にも、スルフォラファンは、神経細胞の損傷を防ぐ働きがあり、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の進行を遅らせる可能性も示唆されています。神経細胞の酸化ストレスを減らし、細胞内のデトックスを行い、炎症を抑えることで、アミロイドβなどの蓄積を抑制するのです。また同じ理由で心血管保護作用があることも報告されています。
脳血管疾患や心臓病、癌や認知症に至るまで防いでくれれば、日本人の死因の60%以上(2021年)を占める疾患の、予防に影響する食材ということになります。しっかり取り入れたい食材です。そして、スルフォラファン以外にも、動物実験段階ですが、ブロッコリーの有効成分による作用が報告されています。
それは腸のバリア機能を高めてくれる作用です。このブログでもしばしば、リーキーガット(腸漏れ症候群)が、全身の炎症を起こすため、加工食品やグルテン、カゼイン、ブドウ糖果糖液糖などを減らしましょうと書かせていただいているのですが、ブロッコリーは、逆に腸のバリア機能を改善させる効果が認められているのです。
これはブロッコリーの中のインドロカルバゾール(ICZ)という物質が関与しているようです。ICZは、細胞の核にある、芳香族炭化水素受容体(AHR)というところに結合し、腸上皮細胞の間の接着を促進し、バリア機能が改善します。炎症を抑え、ICZの抗菌作用で、腸内細菌叢のバランスを整えてくれます。
論文ではマウスたちに総カロリーの15%分のブロッコリーを24日間与えたところ(人間では1日約550g程度=2.5個くらい)、急激に大腸の炎症が解消し、体内毒素が激減、腸内細菌のバランスが改善したそうです1)。気合を入れないと食べれない量ですが、普通に100g程度の摂取でも違うのではと、蒼野は思います。
この素晴らしいブロッコリーを効果的に摂取するには、コツがあるようです。スルフォラファンはブロッコリーにもともと含まれている成分ではなく、その材料であるグルコラファニンという物質が含まれています。これがブロッコリーに含まれているミロシナーゼという酵素によってスルフォラファンになるのです。
しかしこのミロシナーゼは熱に弱いのです。加熱調理によって、せっかくブロッコリーを食べても、スルフォラファンに変わるものが減ってしまいます。生で食べるのが効果的ですが、蒼野は食べた事はありません(今度トライしてみようかな….)。ブロッコリースプラウトは生で食べるので、効果的にスルフォラファンが摂取できるということになります。
ブロッコリーの調理に関する研究が二つあります。一つ目は事前にブロッコリーを刻んで放置するという方法です。スルフォラファンはブロッコリーに傷がついた時に増えやすくなることがわかっています。フードプロセッサーで2mm角くらいに刻んだものを、すぐに4分炒めたものと、90分置いてから4分炒めたもので比較しました。
すると放置したブロッコリーのスルフォラファンは、すぐ炒めたものと比べて、2.8倍に増えていました2)。みじん切りにすると30分でグルコラファニンが、ミロシナーゼと反応して、スルフォラファンが作られるそうです。みじん切り後に少し待って調理すれば、お特にスルフォラファンがゲットできるということです。
もう一つ調理の必殺技があります。加熱調理したブロッコリーに、ブロッコリースプラウトなどのミロシナーゼを含む野菜と一緒に食べるという技です。論文では、新鮮なブロッコリースプラウトをブロッコリーパウダーと一緒に食べてもらう群と、どちらか一方だけを食べる群で、その後に血液検査を行うと、この2つの食品を一緒に食べた場合は、どちらか一方だけを食べた場合よりもはるかに高いスルフォラン値を示しました3)。
つまりブロッコリーを加熱した場合には、別の野菜やスパイスでミロシナーゼを補えば良いのです。いつもみじん切りを置いておくのは手間ですよね。お供になるものとしては、ブロッコリースプラウト、ホースラディッシュ、ワサビ、マスタード、大根、キャベツ、ルッコラ、クレソンなどを生のまま食べてください。
ブロッコリーは野菜にしては、100gあたりタンパク質は4.3gとまあまあ多いです。炭水化物は5gなので糖質制限、ダイエットにもピッタリです。アンチエイジングで注目されているNMNも多くはありませんが含まれています。時々は主食として、食卓に登場させるのは、とても健康的だと考えます。
ブロッコリーと一緒に食べたい、ブロッコリースプラウトは、家庭菜園で簡単に作れるようです。デトックスにもとても優れた効果がありますので、ちょこちょこ食べたい食材です。水耕で簡単に育てられ、種まきから一週間ほどで収穫できるようです。種を買って容器にスポンジやキッチンペーパーを入れ、発芽後は霧吹きで水を与え、5~6cmに育ったら日光を当てて2~3日で食べれるそうです。お部屋のグリーンにもなり癒されます。
蒼野家でも買ってきた豆苗は、食べた後も育てているので、スプラウトもやってみようかな!と思います。ネットでタネは250円、容器は306円くらいで売っていました。送料があるので近くで見つけると安いと思います。面倒な方はスルフォラファンサプリメントという手もありますが、野菜から摂るのが理想ですよね!
調べてみて、改めてストレスや食生活の乱れで生じる、慢性炎症の対処法、生活習慣病の予防として、多くの人に必要な食材だと感じました。是非、ブロッコリー+スプラウトを食べる頻度を増やしましょう!
参考文献:
1)Dietary broccoli impacts microbial community structure and attenuates chemically induced colitis in mice in an Ah receptor dependent manner. ; Journal of Functional Foods, ; 2017, 37, 685-698
2)Hydrolysis before Stir-Frying Increases the Isothiocyanate Content of Broccoli. ; J Agric Food Chem. ; 2018 ;66(6):1509-1515.
3)Enhancing sulforaphane absorption and excretion in healthy men through the combined consumption of fresh broccoli sprouts and a glucoraphanin-rich powder. ; British Journal of Nutrition. ; 2012, 9(14) 1333 – 1338
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