電子レンジは危ないのですか?!

2023/06/19

 今日は美味しく食べるための調理の話です。皆様は電子レンジは使っておられますでしょうか? 電子レンジ調理をすると、食べ物が変性するだとか、発がん物質が増えるとか、レンチンしたものを食べると、白血球が明らかに増えるなどの情報が、ネットには沢山上がっています。

 ネットは玉石混交なので仕方がないのですが、本当に正しいのかどうかについては、やはり論文や研究の裏付けが必要です。実は電子レンジについての研究は限られています。しかし健康の専門家で電子レンジは使っていない人がいるという情報もあるため、蒼野も調べてみようと思いました。

 一人暮らしだったりすると電子レンジはなくてはならない調理器具かもしれません。蒼野家でも、娘の一人暮らしの時には必ず持たせました。手間も無く解凍できたり温めたりできたりするため、使う機会が多い人がほとんどだと思います。

 まずは電子レンジの原理からです。電子レンジはマイクロ波を応用した器具です。マイクロ波とは周波数が1秒あたり3億回(300 MHz)から3000億回(300 GHz)の範囲の放射線を意味し、これを物体に当てると、その分子が振動します。特に水分子の変動が強く起こり、水分を含む物体は、振動することで熱を発します。一般的な電子レンジは2.4GHzなので、1秒に24億5千万回振動することになります。

 これは自然界ではありえない反応ですが、物理学や工学の分野では、マイクロ波が熱以外の生物効果を引き起こすことはないという見方が大勢を占めて来ました。しかし近年マイクロ波が組織反応に非熱的な影響を及ぼすとの報告も散見される様になってきている様です。

 1991年に米国で、女性患者が腰の手術の際に電子レンジで温めた輸血用の血液を輸血され死亡したとの報告や、レンチンした食べ物を被験者に食べさせると、比較的早期に、白血球数が上昇し、赤血球が減少、善玉コレステロールの比率が下がったという実験結果があったと、書かれている記事がありました。しかし残念ながら、その元になる文献を探し出すことはできませんでした。

 ただ2005年の論文に、他の調理法では変化しないのに、生乳のトランス脂肪酸が1.69%から、電子レンジ加熱では2.22%に有意に増加し(31%の増加)健康への影響が懸念されるとした報告を発見しました1)。また含まれている共役リノール酸(体脂肪減少や、抗酸化作用、抗がん作用、免疫増強作用のある脂肪酸)も、チーズを10分間電子レンジで加熱すると、その含有が53%減少したと書いてありました。

 トランス脂肪酸の割合が増えることで、善玉コレステロールの減少や、体内炎症の増加につながることは報告されているため、レンチンを多用することで、やはりコレステロールのバランスが悪くなったり、白血球が増えたりしても不思議では無さそうです。物質の分子が凄い速さで振動すれば、確かに壊れることもあると思えます。

 トランス脂肪酸の増加や共役リノール酸の減少は、従来の加熱では起こらない変化ですので、気になる方は、時間があるときにはレンチンではなく、鍋で温めたり、蒸したりして食べると良いと勧められていました。食事の長い間の積み重ねは、実証することが本当に難しいのですが、時短を優先するときでなければ、少し面倒でも、レンチンではない温め方にトライするのが、安全なのかも知れませんね。

 またレンチンすると味が落ちるという記事も結構ありました。食べ物の中の水分子が熱を持つため、そのまま蒸発しやすく、食べ物が乾燥してしまう事が一つの原因の様です。蒼野が尊敬している健康YouTubeの医師、石黒成治先生は15年前から電子レンジは使っていないそうです。ブロッコリーを茹でるときでも、レンチンと茹でるのでは、ずいぶん味が違う様です。

 ブロッコリーにはイソチアネートやシュウ酸といった、水溶性の苦味成分があるため、レンチンしただけでは苦味が残ります。また加熱ムラができやすく、水分が飛んでパサパサになる部分もできやすい事から、茹でブロッコリーはレンチンでは不味いとのことです。シリコンスチーマーを使えば少しは良い様ですが、やはり茹でる方が美味しいそうです。

 一方茹ですぎると、水溶性ビタミンについては溶け出しやすくなります。これについてはレンチンの方が栄養が残ります。しかし先ほども書いたように、レンチンの加熱は食べ物の分子構造に影響する可能性があり、油分を含んだものはトランス型に変化する可能性があるため、できれば昔ながらの調理法、特に蒸したりするのが推奨されます。

 料理を美味しく食べたい、勝間和代さんも、レンジは極力使わない派です。ヘルシオを使って蒸せば、温め直しもボタンひとつで楽ちんな上、美味しくできるそうです。もちろん電子レンジほど早くは出来ませんが、少し時間に余裕があるときには、やはり美味しくなる方が良いと、食いしん坊の蒼野も思います。

 「自宅で作っても、手軽にお店並みに美味しい料理が食べたい」という目的のために、勝間さんは電子レンジを使っていないそうです。ヘルシオのウォーターオーブンなら、水蒸気で加熱するので、出来立てのように内側までふっくらと加熱しながら温まります。自然な温まり方でもあり、ゆっくり温めるので栄養素も破壊されにくい様です。

 興味が出て蒼野もヘルシオを調べてみました。高いですね。良いやつは10万弱します。とりあえず今持っている電子レンジを使うときには、低いワット数で使えば、分子の変性は少なくなる様です。そして水分を残すためにはシリコンスチーマーに入れると良い様です。

 蒼野家の電子レンジは年数的にも、そろそろ限界です。頑張って楽天ポイントを貯めて、ヘルシオを買いたいなあと思った蒼野でした。

参考文献:
1)Effect of Heating and Processing Methods of Milk and Dairy Products on Conjugated Linoleic Acid and Trans Fatty Acid Isomer Content. ; Journal of Dairy Science 88 (4) 2005 : 1301-1310

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