糖化について 実践編

2022/01/05

 今日は糖化リスクを減らす生活習慣について、書きたいと思います。糖化も肥満も血糖値の急上昇が引き金となって、同時進行してゆきます。糖化対策は医学的にみて有効なダイエット法でもあります。アメリカの医学雑誌では「炭水化物ダイエット」が最も効果的であるという論文が発表されています。

 そこで、最初に最も大事なことは、食事の糖質量(炭水化物)を減らすことからです。「脳のエネルギー源はブドウ糖」ということは以前から言われていますが、代替エネルギーとして、脂肪燃焼によるケトン体があるため、糖質を食事で取らなければいけない理由にはなりません。

 白筋繊維を鍛えるような、ハードなトレーニング前には、筋肉量を減らさないように、糖質摂取が必要です。しかし、少なくとも現代日本の食生活では、糖質不足という事態はありえません。むしろ糖質の過剰摂取による、糖化の促進の方が問題なのです。

 アンチエイジングのための、緩やかな糖質制限食を提唱している北里大学北里研究所病院、糖尿病センター長の山田悟先生によれば、1食当たりの糖質量は20~40g(1日で60~120g)が適当とされています。我々日本人の平均糖質量は1日300gと言われており、かなり気合が必要な量になります。

 糖質20gの目安は、ご飯茶碗 4割弱の54.3g、6枚切り食パン 半分、フランスパン 1切れ、ロールパン 1個 うどん 0.4玉、 そうめん 0.6束、スパゲッティ 0.35人前です。ご飯はおかずを沢山食べて、最後に食べれば、満足できそうですが、麺やパンは、倍の40gでも、蒼野としては、満足できそうにありません。

 逆に言えば、このくらいの量であれば、食後の高血糖が抑えられるということです。しかし、料理に使う糖質や、調味料の糖質、根菜類の糖質や、たまのデザートなどを考えると、主食の量はもっと減らさなければなりません。いくら健康に良いと言っても、一生これを続けるのは厳しそうです。

 体にAGEsができやすいのは、食べてから1時間後です。糖尿病でない人は、空腹時血糖値とヘモグロビンA1cは、正常ですが、食後の血糖値が150を超えている場合には糖化が進んでしまいます。つまり糖化を防ぐには、食後の血糖値、血糖スパイクが問題なのです。

 代謝能力が高い、若いうちはAGEsを排出することができますが、年齢とともにAGEが体内に蓄積されてしまう人が多くなります。内臓脂肪が溜まってくる場合には、食後高血糖は必ず起こっているため、糖化反応が強くなり、AGEsが大量に作り出されます。もちろん糖尿病の人は糖化のスピードは上昇しています。糖化が進行すると、糖尿病合併症になる危険性も高まるのです。

  2番目は、糖質を含む食べ物の質です。食物繊維は、血糖の上昇を遅くしてくれます。糖化リスクを減らすためには、食物繊維の豊富な食事を、ゆっくりよく噛んで食べ、血糖値の上昇を緩やかにしてあげることが大切です。お米なら玄米や五穀米、もち麦ご飯、オーツ麦や全粒粉小麦などを選んで食べるようにしましょう。おかずに野菜を沢山摂ることです。

 急激に血糖値を上げない食品を選ぶことが重要です。食品のGI(グリセミック・インデックス)値は、ブドウ糖の血糖上昇率を100とした場合の、食後血糖の上昇を数値化した値です。なるべくGI値の低い食べ物を選びましょう。ちなみにGI値が高く、避けるべき食べ物は、小麦製品、白米、餅、じゃがいも、甘い飲み物、甘いお菓子などです。GI値は60未満が望ましいとされていますので、気になる方は調べてみてくださいね!

 焼いたり揚げたりといった調理をすると、こんがりとコゲ目がつきます。これはメイラード反応と呼ばれ、すなわち糖化反応を起こしている状態です。これを摂取すると、約10%が体に取り込まれ、そのうち7%前後が長期間体内にとどまると言われています。調理法は、茹でたり蒸らしたりするものがお勧めとなります。

 3番目は、食べる順番です。懐石食べがお勧めです。懐石料理では、最初に旬の野菜、次に魚や肉のメイン料理、最後に汁ものとごはんがでてきます。食物繊維→タンパク質→炭水化物(糖質)の順に食べると、血糖値の上昇がゆるやかになるのです。カーボラストとも呼ばれています。

 4番目は、食後の運動です。血糖値が一番上がるのは食後1時間です。この時間に運動することが重要です。30分から1時間のウォーキングは、糖化のリスクを減少させることができるだけでなく、さまざまな生活習慣病に対しても有効です。

 5番目は、禁煙です。タバコの煙がAGEsを増やします。自分で吸うだけでなく、隣にいる人が副流煙を吸うだけでも、AGEsを増やしてしまうと報告されています。

 6番目は、アルコールです。ウイスキーなどの蒸留酒は糖質を含まず、飲んでも血糖値は上昇しません。しかし飲み過ぎると、代謝の過程でできる「アセトアルデヒド」が、タンパク質としっかり結合して糖化と同じような反応を起こし、AGEsを作り出します。皮膚のAGEs沈着量とアルコール摂取の相関を調べたところ、お酒をよく飲む人ほどAGEsの沈着量が多いことが報告されています。適量が重要です。

 7番目は、睡眠です。睡眠とAGEsの関係を調べたところ、6時間未満の睡眠の群はそれ以上の群よりも、皮膚のAGEs沈着量が多いことも報告されています。睡眠が不足すると、代謝、排出されるAGEsが、減少するためと考えられています。

 8番目は、ストレスです。ストレス肥満という言葉があるように、ストレスでコルチゾールが出ると、インスリン分泌を促進し、低血糖になりやすくなり、空腹感が増し、イライラしてしまいます。糖質が欲しくなり、食べてしまうと、血糖値の乱高下が起こり、AGEsが生成されます。

 9番目は、朝食抜き、あるいは16時間ダイエットです。1食抜くことで、血糖を保つために、インスリン拮抗ホルモン(グルカゴンなど)が分泌されています。そのまま普通に食事を摂ると、食後の血糖値は、通常に比べて高くなり、AGEsの生成が増えてしまいます。

 とはいえ、16時間ダイエットは、その他の数々のメリットもあります。ダイエット明けの1食目を、できれば20g程度の、糖質摂取に抑えることが重要です。そうすればダイエット効果もとても高まります。2食目は食事の順番を守り、ある程度の糖質を食べても大丈夫です。

 お菓子などの甘い食べ物は、食べていけないのではなく、食後のデザートとして適度な量を楽しみましょう。食物繊維が豊富な果物が一番お勧めです。ジュースにはせずそのまま頂きましょう。

 柿の葉茶、クマザサ茶、グアバ茶、シソ茶、甜茶、ドクダミ茶、ルイボスティーには、生体内においても抗糖化作用があることが報告されています。普段の飲み物として採用するとグッドだと思います。

 なかなか厳しい糖化予防生活について、提案しました。知らなければ防げないことですので、知った上で、生活習慣を組み立ててゆきましょう。学生時代にスポーツをやっていて、社会人になってスポーツをやめたけれども、食事の量が減っていない方や、「食べ放題」が好きな方、「大盛り無料」「おかわり無料」に魅かれる方は、特に気をつけて頂きたいと思う蒼野でした。

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