正月休み明け、5日の蒼野の頭痛外来には、正月にひどい頭痛で寝込み、まだ痛みが続いているのでなんとかして欲しいという人が受診して来られました。
一番ひどく頭痛を訴えておられた方は、30代前半の女性で、体重は80kg、全身の炎症が強いだろうと思われる方でした。片頭痛も、全身の炎症が増悪すると、ひどい発作が出ることは、蒼野は経験的に感じています。変わったことはしていないと仰られるのですが、質問をしてゆくと、買ってきたお節とお餅を、結構食べられたとのことでした。
そこで思いついたのは、食品添加物と、お餅の血糖スパイクとアルコールが、全身の炎症を加速して、長く続く、強い頭痛発作になったのではないかということでした。その後来られた頭痛がおこった数人にも、質問していくと、市販のおせちの、うま味調味料、ハムなどの亜硝酸化合物で、頭痛が起こっている可能性が高い、と思うようになりました。
食品と片頭痛の関係は、今までも色々と報告されています。今日はそれについて少し詳しく書いてみたいと思います。片頭痛の遺伝子は、鋭敏で、僅かな変化にも反応するため、人によっては、食品中の成分で、脳の中の頭痛の導火線に火がついてしまいます。
まずは『亜硝酸塩による頭痛』です。これは主には発色剤として使われているものです。タラコやイクラなどを綺麗な赤色に発色させたり、ハムやソーセージが黒ずんでしまわないように使われます。赤ワインの酸化防止剤としても使われています。
亜硝酸塩は、薬で言うとニトログリセリンです。狭心症の際に、ニトログリセリンを飲むと、血管を広げてくれるため、発作が収まるのです。片頭痛は血管が拡張して、血管周囲の三叉神経が痛みを感じる病態ですので、亜硝酸塩が頭痛を起こすきっかけとなるのです。
ニトログリセリン頭痛・ダイナマイト頭痛・ホットドック頭痛(大きなソーセージ)などとよばれることもあります。
片頭痛の人が、最も注意するべきお酒は赤ワインです。亜硝酸塩も、アルコールもポリフェノールも血管を広げる作用があるからです。血管収縮作用のあるチラミンや、血管拡張作用にあるヒスタミンも入っており、最終的に片頭痛のきっかけになる成分が沢山入っているのです。
次は『グルタミン酸ナトリウムによる頭痛』です。中華料理店症候群とも呼ばれる事があるのですが、その後の研究では、普通の人を対象にしたランダム化比較試験で、グルタミン酸ナトリウムは、症状とは関係がないとの結論が出ています。しかし、脳の感受性が高い、片頭痛体質の方は、グルタミン酸で、一旦血管が収縮して、血中濃度が下がる摂取1~2時間後からの頭痛が起こりやすいとされています。
グルタミン酸ナトリウム(いわゆる味の素)は3g程度(ラーメン1杯分)で頭痛反応が起こる事があり、中華料理にもたくさん使われています。去年、蒼野自身も、チェーン店の天津飯を食べて、頭痛を経験しました。片頭痛体質の妻や娘は、もっと過敏に頭痛を起こします。私見ですが、チャイニーズレストランシンドロームは実在するものだと青野は思っています。カップ麺、インスタント食品、スナック菓子なども要注意です。
そして『チラミンによる片頭痛』です。チラミンというのは、古くなったアミノ酸が分解される時に生成される物質です。チラミンにも血管を収縮する作用があります。熟成したチーズ、ワイン、ビール、コーヒー、カジキ、ニシン、タラコ、スジコ、そら豆、鶏レバー、イチジク、ピクルスなどに多く含まれています。チラミンで一旦収縮した血管が、チラミン濃度が下がることで、血管が広がり頭痛を誘発するのです。
チョコレートやココアのβ-フェニールチラミンも同様の作用があります。外来では少しのチョコレートで頭痛を起こすと言う人は滅多にいないのですが、バレンタイン頭痛という言葉があり、モテモテの片頭痛さんが、沢山食べると痛くなる事があるようです。あとは柑橘類、オレンジジュースなどにもチラミンが含まれています。
逆に片頭痛を防ぐ成分についても、お知らせしておきます。サプリメント等も、考えてみても良いものになります。
片頭痛を起こしやすい人は、野菜の摂取が不十分な方が多く、マグネシウムが不足がちで、片頭痛患者の30~50%に低Mg血症が認められます。Mgは血管収縮作用を防ぐため、血管を安定させて、片頭痛を起こしにくくします。サプリメントとして、マグネシウムを補充することは、頭痛学会でもグレードBで推奨されています。
そのほかビタミンB2も、400mg/日投与で、有意に片頭痛頻度、日数が減少しており、グレードBの推奨、ハーブの1種のFeverfew(ナツシロギク)も、有効とのデータがあり、グレードBでの推奨となっています。
蒼野の外来に来た、ひどい頭痛の患者様は、点滴による消炎鎮痛で、何とか落ち着いて帰ってゆかれました。その時の採血結果は、血糖値は正常でしたが、かなりの高中性脂肪血症と脂肪肝でした。メタボリックシンドロームで糖化が進み、慢性炎症がくすぶっていることが推測されました。
若くても、メタボがあると頭痛が治りにくい印象は以前から持っています。片頭痛一つとっても、やはり生活習慣は大事だなあと、改めて感じた正月明けでした。
片頭痛の患者様は、来年のお正月は、買ってきたおせち料理は沢山食べないよう気をつけましょう。やはり健康のためには、手作りが一番なのでしょうね!(世の忙しい女性の非難の声が聞こえてきそうです。)
Now Foods, クエン酸マグネシウムクエン酸マグネシウム 粒がめっちゃデカいので、喉が小さい人は厳しいかもです。
https://jp.iherb.com/pr/now-foods-magnesium-citrate-180-softgels/22552?rcode=DBO7172
Nature’s Way, リボフラビンビタミンB2、400mg
https://jp.iherb.com/pr/nature-s-way-riboflavin-vitamin-b2-400-mg-30-tablets/22481?rcode=DBO7172
Nature’s Way, ナツシロギクハーブ、380mg
https://jp.iherb.com/pr/nature-s-way-feverfew-herb-380-mg-180-vegan-capsules/1959?rcode=DBO7172
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