お盆休みに入りましたね! 親御さんの所に帰省される方も多く居られるのでは無いでしょうか? 蒼野も明日から、広島の母親の様子を見に帰ります。母は91歳ですが、まだ一人暮らしで頑張ってくれています。でも、すぐに冷蔵庫が食べ物で一杯になり、うまく管理ができにくくなっているため、定期的に様子を見に行かないと心配です。
自分も含めて、人間は確実に歳を取ってゆきます。今後の事を考えると、日本の介護問題は、他人事ではありません。蒼野の病院にも介護病棟があり、さまざまなお年寄りが入っておられ、看護師さんの介護を受けています。見ていると介護の仕事は大変です。入院の必要がなくなると、介護施設への入所を検討してもらうのですが、それも中々決まらないことが多いです。
今でも、介護してくれる施設は限られており、入所するにしても、費用が高すぎて入れないという場合もよく見かけます。少子高齢化はもう決定事項であり、30年後には、現役世代が1人の高齢者を1.4人で支えなければいけない時代が来るのです。夫婦で1.42人支えるというのは、かなり無理があります。
介護の人手は、現時点でも不足しています。素晴らしい会社に勤めておられても、田舎の両親が要介護になり、誰も助けてくれない場合には、介護離職して田舎に帰らざるを得ないという話も、ちらほら耳にします。総務省の統計では、2002年10月から2012年9月の10年間に、介護離職した人は、105万4600人も居たそうです。
しかし世界で見ると介護離職というのは日本独特の問題のようです。北欧では要介護状態になったら、充実している公的な介護施設が引き取ってくれます。アメリカでは、施設に入れるか、自宅で看る場合でも、安く介護士が雇えるので、自分は働きながら対応できるようなのです。
ドイツ、スイス、スウェーデンなどの年金が多い国では、高齢者は年金を半分ほど使う形で、タイなどの外国のケア施設に入所する人もいます。タイの施設は、3食食べさせてくれて、24時間3交替で、濃厚に介護してくれるそうです。
日本の介護施設の利用料を調べてみると、申し込んで数年待ちもざらである、公的な特別養護老人ホームでは、入居一時金はゼロで、月額が5~15万円です。しかし要介護3以上の、介護度が高い人しか入れません。一方、民間の有料老人ホームは、介護付きと住宅型に分かれます。
現時点で、介護付き有料老人ホームは、平均の入居一時金は594万円、認知症が酷いなど、介護度が高くても対応してくれるところは、上は1380万円くらいまでかかります。そして利用料が月に15~30万円くらいかかるようです。身の回りのことはできる人が入るサービス付き高齢者住宅では、平均の一時金が20万円、月額平均が17万円弱くらいになります。
費用だけでも大変ですが、今後日本では、介護に従事する人が圧倒的に不足します。厚生労働省の2021年の試算では、2040年に必要な介護職員は280万人。2019年度の介護職員は211万人ですから、しかもどんどん現役世代が減ってゆくのに約69万人も不足する計算なのです。
日本では、親をタイの介護施設に預けようという人は少ないかもしれません。うちの母親もそうですが、要介護になっても、「住み慣れた自宅で最後まで生活したい」と思う人は67.5%。そしてできれば「子供に自分の介護に関わって欲しい」と思う人が76.5%だそうです。逆に子供も親の介護には関わりたいと思う人が61.2%います。情に厚い日本人の介護離職は、今後も続きそうです。
蒼野は立場上、介護現場の声を聞くことがあります。人手不足で、過重労働になって、頭痛や眩暈で受診される介護職員さんも多く居られます。施設職員の誰かが働けなくなれば、夜勤を10回以上するような職場になり、残った人が倒れてしまうような事は、普通に起きると思います。
ビジネス・ブレークスルー大学学長の、大前研一先生によると、人手不足解消のための一つの方法は移民の受け入れであると述べられています。しかし、移民については大きな問題が沢山あり、もう間に合いません。海外の人が日本語や日本の慣習を覚えて、役に立つ働き手として定着するためには、少なくても20年かかるからです。
ドイツでは移民を受け入れ、当初は貧困層による犯罪が増えたり、スラム街が出来たりしましたが、政府がドイツ語や社会慣習についての教育を2年間、公的費用で受けられるようにするなどの、積極的な政策を掲げ、20年で労働力として定着したそうです。
しかし今の日本では、外国人が労働力として働き続けるには、まだハードルが高いのです。2019年に出来た特定技能制度では、日本語能力試験や技能試験に受かった外国人は、建設や農業など特定の12業種に限り、単純労働に従事可能な在留資格を与えられることになったばかりです。
しかし日本はもう外国人にとって魅力的な職場では無くなっています。財務省主導の度重なる消費税増税で、国力は衰退し、暗黒の40年からまだ抜け出せずにいます。円安は進み、2021年のOECD加盟国34カ国の平均賃金では、24位になっています。これは1ドル102.1円計算の時点です。現在は1ドル144円です。日本で働いても、リッチにはなれません。
労働力が最大の輸出品である、フィリピン人は世界中で引っ張りだこだそうです。給料の高いシンガポールやUAE、言葉の問題のない英語圏で働く人が多いのです。難しい日本語を、自分のお金で学んで、給料の安い日本で働きたい人は、居ないのが当たり前です。
大前先生のもう一つのアイデアが、海外の介護施設に預ける方法です。言葉は通じなくても、一緒に絵を描いたり、手を繋いで歩いたりするのは支障はありません。日本の若い人がどんどん介護離職するよりかは、確かに良いかもしれません。しかし自分の母親を外国人に預けると想像すると、やはり蒼野は、すぐには受け入れられません。
難しいのは百も承知ですが、蒼野としては、まだ介護が要らない元気な内に、筋肉が落ちたり、転倒したり、認知症になったりしない生活習慣を確立して欲しいと思うのです。時にはジャンクな外食を楽しんでも良いのですが、普段は素材から作ったちゃんとした食事を摂り、毎日歩き、規則正しく寝て欲しいと思います。
自分が高齢になる時代には、介護の状況はさらに悪くなっていると思います。人手不足が深刻化すれば、介護費用も鰻登りに違いありません。中年になったら、健康に関する費用、特に食事には、お金と手間を掛けるべきだと思います。加工食品やスイーツ、ファーストフードばかり食べていてはいけません。昔ながらの和食を基本に、生活を組み立ててゆきましょう。
明日から、母親の家にある食材で、いっぱい料理して、いっぱいお話しし、一緒に歩こうと思っている蒼野でした!
参照ページ: PRESIDENT Online 大前研一
「日本人の介護は東南アジアに越境するようになる」…介護崩壊の現実的な末路とは
https://president.jp/articles/-/72246?page=1
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