このところ少し予定を入れすぎて、喉風邪を引いてしまった蒼野です。最初から漢方薬や鼻うがいを多用して、喉の痛みは3日ほどで治りました。発熱すること無く、通常通り仕事や犬の散歩は行っているのですが、3日目から痰が出なくなった代わりに咳が強くなり今日が5日目です。夜咳が出ると睡眠が細切れになってしまいしんどいです。今日は自分のために、咳の対処法について調べてみます。
咳は呼吸器系に異物、刺激物、ウイルス、細菌などが侵入した際に、呼吸器系を守るための生体反応です。喉や気管や気管支の粘膜の咳受容体が刺激されると、その原因を迅速に排除するために、咳の反射が誘発されます。刺激の種類としては、異物、煙、化学物質、アレルゲン、ウイルス、細菌、喉の刺激、気道の炎症などが挙げられます。
この反射には気道の乾燥が影響します。通常の状態では気道粘膜は湿潤で、粘膜細胞にある繊毛が、分泌する粘液によって刺激物を捕捉し、排出しています。気道が乾燥すると、この動きが滞ってしまうため、咳反射での排出が主体となって、咳が続くことになるようです。
確かにうがいをしたり、水を飲んだりするとしばらくは咳が治りますよね。夏よりも冬に咳が出やすいのは、空気が乾燥していることも影響しているようです。咳が出にくい環境に整えるためには、加湿器を使ったり、十分に水分を摂ることが大切です。特に温かい飲み物は、喉の血流も改善するので、お茶やスープ、味噌汁などが良いようです。夕食のスープが特に美味しく感じたのは理由があったようですね!
蒼野はタバコは吸いませんが、咳の時には特に余計な刺激になるので避けた方が良いようです。気道を乾燥させる作用もあり、化学物質が咳中枢を刺激します。同じ理由で、汚れた空気も吸い込まないことが重要です。寝室には空気清浄機を置いているのですが、昨日の当直では、夜中の咳で、たびたび目が覚めたので、影響があったように思います。
咳には、空咳と痰が出る咳があります。蒼野の今の咳は、痰を伴わない空咳(ドライな咳)です。経験上、空咳が続く方がキツイです。咳が続くと、怪我の後遺症で過敏になっている頭皮の動脈周囲の神経が、広がるためか、結構頭痛を感じます。こめかみや眉間を圧迫すると少し柔らぐので、おそらくそのための痛みだと考えています。
乾いた咳はかぜである場合が多いのですが、間質性肺炎や百日咳、咳ぜんそくなどの場合もあります。蒼野自身は、だんだん元気や食が出てきているし、胸は痛く無いので大丈夫だよね…! 当直明けの昨夜は、マヌカハニーを舐めながら、空気清浄機のある部屋で眠ると、時々咳は出るものの、前日ほどではなく、まずまず眠れました。
空咳がひどい場合は咳止めを使いたくなりますが、咳止めについて解説しておきます。使われている成分で多いものは、デキストロメトルファンとコデインリン酸塩です。どちらも咳中枢に作用して、咳を起こしにくくします。効果はデキストロメトルファン(メジコンなど)の方がマイルドで、副作用も少ないです。患者様に使ったことはありますが、あまり効きません。
コデインリン酸塩はオピオイド系鎮咳薬で、咳中枢に対する作用が強いです、便秘は必発ですし、眠気が起こったりします。確かに咳は治るのですが、同じオピオイドであるモルヒネと化学構造がよく似ており、使いすぎると依存が出てくるのです。コデインリン酸塩や効果が1.4倍強いジヒドロコデインリン酸塩を配合した薬は、意外にも沢山発売されているのでご注意を!
コデインリン酸塩を含む市販薬 https://www.plamedplus.co.jp/ing/ogn101.html
ジヒドロコデインリン酸塩を含む市販薬 https://www.plamedplus.co.jp/ing/ogn029.html
基本的には、風邪の場合、気道から奥に感染が広がらないようにするための防御反応の一つが咳なので、無理に咳中枢を抑え込んで、咳を止めてしまうというのは、身体にとって回復の邪魔になります。いわゆる痛み止めと同じように、対症療法であって、根治させる治療ではありませんから、出来るだけ使わない方が良い、と蒼野は考えています。
今蒼野が飲んでいるのは、空咳に効く麦門冬湯です。気管全体を潤す作用があり、刺激の排除を助けてくれることで、咳を鎮めます。かぜをひいた後、2週間以上咳が続いている患者25例を対象に、麦門冬湯と臭化水素酸デキストロメトルファンの単独投与での効果を比較すると、どちらも有意な鎮咳効果が認められましたが、麦門冬湯群では投与2日目で、より強い鎮咳効果を示したという報告もあります1)。
あと積極的に使いたいのは、鼻うがいとハチミツです。上気道感染症に対するはちみつの効果については14の研究を含む1345件についての結果が参考になります。通常のケアと比較して、咳の頻度、咳の重症度、症状の総合スコアの改善などについて、それぞれ有意に優れているという研究が散見されたとのことです2)。はちみつには保湿作用と抗ウイルス作用があるので、マヌカハニーならもっと効くように思います。
あとは部屋の空気を綺麗にしておくことと加湿ですね。人間にとって快適な湿度は40%から60%です。このところの部屋の湿度は44%、一応範囲内ですね! 今夜は加湿器でもう少し湿度を上げてみようと思います。当直室ではエアコンだったので、乾燥していた可能性があったことを、今思い出しました。今度は湿度計を持ってゆこうと思います。
寝る姿勢や呼吸法も影響があります。万病を防ぐのは鼻呼吸です。鼻を通ることで空気を加湿することができます。寝ている間は口呼吸になっているかどうか意識できませんから、口がカラカラになりやすい人は、マウステープを1枚貼るだけでも違うようです。もちろん両鼻が詰まる人や、アレルギーがあって鼻から呼吸できない人、鼻中隔の変形で鼻が通らない人などには、リスクがあることもあるため慎重にお願いします。
自分でも思うのですが、咳が出にくくなる寝姿勢はある様です。咳に限ってではあるのですが、横向き寝よりも、少し大きめの枕やクッションなどで頭の位置を上げて寝ている方が咳が出にくい様に思います。若干いびきをかくタイプなので(軽度睡眠時無呼吸の診断あり)真上を向くよりも頭が上がったほうが呼吸が楽で、鼻から吸いやすいのです。
横向き寝に比べて、仰向け寝の方が喉や気管粘膜の湿度が比較的保ちやすいことがわかっているようです。また横向き寝に比べても、胃酸や痰などが逆流して喉を刺激しにくくなるのが、頭部を少し上げた仰向け寝なのです。蒼野も今夜から意識してみようと思います。もちろん、ひどい睡眠時無呼吸症候群の人は、横向き寝があっている人もいるので個人差はあるかと思います。
今日は風邪の辛い咳の対処法についてまとめてみました。皆様のお役に立てれば幸いです。人それぞれ個人差はありますので、実践してみるしかありませんが、しっかり眠れて早く日常の健康状態に戻りたいと思います。何年かぶりに風邪を引いてしまった蒼野でした。
あと、このところのインフルエンザ、コロナの流行もあって、処方薬の麦門冬湯は入荷待ちの状態です。楽天ではまだ沢山売られているけど、心配な方はゲットしておくといいかもです。
参考文献
1)かぜ症候群後咳嗽に対する麦門冬湯と臭化水素酸デキストロメトルファンの効果の比較:日東洋医誌 2001; 51:725-732
2)Effectiveness of honey for symptomatic relief in upper respiratory tract infections: a systematic review and meta-analysis. ; BMJ Evidence-Based Medicine 2021 26 (2)
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