冷えは万病の元!

2022/02/15

 今年は積雪も多いですね! 「冷えは万病のもと」と言われるように、体温は、私たちの体調や免疫力に大きな影響をおよぼします。今日は低体温と冷え性について、書いてみたいと思います。

 我々の平熱は、36.5度から37.1度くらいの間が理想的とされています。人間の体のあらゆる器官で、酵素反応が起こり、全てが正常に働くためには、体温も正常範囲内になければいけないのです。50年前の日本人の平均は36.89度、一方現在の平均は36.20度と、現代人は低体温の人が多くなっています。

 平熱が36℃以下の人は「低体温」です。最近では、平熱が35度台という低体温の人まで増えているようです。低体温になると、血管が収縮して血液の流れが悪くなり、免疫細胞が身体中をパトロールできなくなります。そうなると感染症やがんに罹る可能性が高くなるのです。

 体温が1℃下がると、免疫力30~37%低下し、基礎代謝も12%低下、体内酵素活性は50%低下してしまいます。免疫力が30%低下すれば、1日に1500個近くのがん細胞が、免疫システムから見逃されて増殖していく可能性があります。

 逆に体温が1℃上がると最大5倍~6倍も免疫力が上がります。風邪などの感染症で発熱するのはこのためです。身体が体温を上げてウイルスを駆逐しようとしているのです。ですからこの時期に総合感冒薬や解熱剤などを飲んで、体温を下げるのは考えものです。せっかくウイルスを除去しようと体温を上げて、アップさせた免疫力を低下させることになるからです。

 ですから、高熱で体力が極端に奪われる場合は除いて、発熱時には、薬を使って熱を下げずに、できるだけ自然に任せたほうが、かえって早く治ります。最近では総合感冒薬を処方するお医者さんも減ってきています。蒼野のお勧めは漢方です。(参照:過去のブログ、風邪を早く治すには)

 低体温の人が増え、平均体温が下がっている理由は、現代のライフスタイルにあると言われています。低体温の原因の9割は筋肉量の低下です。便利になった現代社会では、乗り物や家電の充実によって、移動や家事に費やす運動量は低下の一途を辿っているのです。

 運動量の低下にともなって、筋肉量が減少します。筋肉は人体最大の熱産生器官ですから、筋肉が少なくなると、体温も下がり、基礎代謝も下がります。基礎代謝が落ちれば、エネルギーが消費されにくくなり、内臓脂肪が増加傾向となり、生活習慣病の始まりとなってしまいます。

 1日中動かない生活をしていると、1日で0.5%もの筋肉が失われます。加齢による筋肉の減少率は、年間で約1%と言われています。2日何もしないで寝ていたら、1年分の筋肉が失われてしまうということです。

 恐ろしいですね! 蒼野も事故の時に3日くらいベッドで寝たきりでしたが、17日後の退院時には、あっという間に5kgくらい痩せていました。退院後にボディスキャンで測ってみると、筋肉の減りが著明だったので驚きました。

 宇宙飛行士も無重力空間でたった数日間過ごすだけで、地球に帰還したときには筋肉が衰えてしまい、歩くこともできなくなってしまうといいます 筋肉を維持するためには、毎日の生活の中で、適度な負荷をかけ続け、筋肉量を増やす生活を習慣にしてゆく必要があります。

 毎日のウォーキングを習慣にしましょう。雨の日も風の日も毎日30分、体温の一番低い朝に歩くようにすると、0.7~1度体温が上昇します。毎朝、一気に体温を高めることで1日の体調がよくなり、30分の有酸素運動で毎日8gの内臓脂肪を減らすこともできます。土砂降りの日は家の中でスクワットでもいいですよ!

 ストレスによって分泌するコルチゾールは、筋肉を分解する作用があります。ストレスが強いと筋肉をやせさせてしまい、その結果、低体温を招くことになるのです。低体温の原因には、現代のストレス社会も影響しています。

 さて筋肉を増やす以外の、体温を上げる方法についても書いておきます。まずは食事です。タンパク質摂取は、脂肪や炭水化物よりも体温を上げてくれます。また朝食をとることにより体温が約0.3度上がると言われています。また、生姜やニンニクなど、温かくなる食材を取り入れましょう。朝、生姜をすって生姜紅茶や生姜湯にして飲むと、水分の温かさもプラスされて、とても温まります。

 1日1回、湯船に入って体温を上げましょう。40℃のお湯で20分、41℃で15分、42℃で10分程度つかれば、体温が1℃以上がります。免疫の要となるNK(ナチュラルキラー)細胞が、活性化します。入浴はシャワーで済ませないようにましょうね。

 天気予報で最低気温と最高気温をチェックし、汗をかかず、冷えないような服を選んで着ましょう。寒い日には、首や手首、足首など、首と名がつく部分が冷えないよう、しっかり防御しましょう。寒い日には、ヒートテックはもちろん、ヒーター付きの服や、腹巻き、カイロなども活用して下さい。

 体温は年齢でも変化します。乳児を赤ちゃんというのは、体温が高く、血流も豊富なため赤く見えるためです。成長すると体温は下がってゆき、10歳くらいから安定します。50歳をすぎたあたりから、代謝も落ちて、体温も低くなってゆきます、免疫力も低下しますので、十分な注意が必要です。

 『冷え』に使える薬は、西洋薬にはありません。漢方で使う『冷え』は必ずしも低体温の人を指してはおらず、自覚的に手足が冷えたり、お腹が冷えたり、と感じる個人の感覚を『冷え』と表現しています。漢方でも冷えは、治すべき状態であり、様々な生薬が使われています。

 漢方のショウガには2種類あり、生の状態から乾燥させたものを生姜(ショウキョウ)、蒸した後に乾燥させたものを乾姜(カンキョウ)と呼びます。成分で言うと、生のショウガに多いジンゲロールは、加熱することにより一部がショウガオールに変化します。どちらも辛味成分ですが、ジンゲロールは殺菌力や抗炎症作用に優れ、ショウガオールは血流改善に優れています。

 漢方では、生姜や乾姜の他にも、人参、桂枝(シナモン)、芍薬、大棗、甘草、山椒など、体を温める生薬はたくさんあります。これらを、冷えのタイプ、つまり全身の冷えや、頭は熱いけど足が冷える、とか四肢が冷えるなどのタイプに合わせて使っていきます。それぞれに有効な薬があるのです。

 健康のためには、体温を高く保つことが必須です。寒くて運動不足になりがちの冬はなおさら、毎日身体を動かして、筋肉による熱産生を保ってゆきましょう。免疫力を高めて、コロナや癌をぶっ飛ばしましょうね!  

 元々体温が高いため、夏は嫌われるけど、冬は家族に喜ばれてひっつかれるのが嬉しい蒼野でした。

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